デキナイ男と病気の女

Yachiyo

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7 葵とのギャップ

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それから半年程葵(ひとみ)からの連絡は無かった

しかし弥生が毎朝目を通す葵(ひとみ)のインスタの投稿から葵(ひとみ)の幸せぶりは伺えた

【分厚いステーキに赤ワインのグラス】

【ヤシの木にサンセットビーチ】

葵(ひとみ)が三浦先輩と行ったであろうレストランや海外の写真がアップされていた。

『葵(ひとみ)ったらバブリー街道まっしぐらね』

弥生は安堵していた

ウエストミンスターの鐘の音が5時に変わり桜の花も散り初めてきた頃

弥生は仕事を終えていつもの「診察」タイムを楽しんでいた

「フェアリーさんこんにちは」

観葉植物に話しかけていると電話が鳴った

「もしもし?弥生?」
「葵(ひとみ)?久しぶりじゃないの?」
「うん、弥生、今度の土曜日会える?」
「いいわよ。どうしたの?」
「う…ん。弥生にちょっと話ある」
「わかったわ」
「有り難う。じゃ3時に新宿のいつもの場所で」

土曜日の午後3時

新宿の大スクリーンの前

弥生は腕時計をチラチラ見ながら行き交う人の群れの中に葵(ひとみ)の姿を探す

腕時計の針は既に3時を過ぎていた

「遅いわねぇ。葵(ひとみ)」

すると遠くから葵(ひとみ)が小走りに近寄ってくる

「ごめん、ごめん、360°が言うこと聞かなくてさ」

少し息が上がっていた呼吸を整えると弥生を拝みながら謝った

「罰として今日は私に付き合う事」

弥生が言うと

「はい。かしこまりました。弥生さん」

葵(ひとみ)が言う

「じゃ、こっちね」

弥生はスタスタと人混みをぬって歩き出した。その後を葵(ひとみ)が付いて行く

2つ目の信号を右に曲がると

「KAMOME」の看板

「ここここ。今日はこのファミレスね」

弥生が言うと

「えー?ファミレス?」

葵(ひとみ)は不満気に言ったが弥生はお構いなしに大きなガラスの扉を引いて中に入る

家族連れの多い広い空間

弥生が店内を見渡して

「あそこでいいかしら?」

一番奥の席を指さすと、葵(ひとみ)も

「うん」

と賛同した

夕暮れの日差しが差し込む窓際の席に向かい合って座ると葵(ひとみ)が物珍しそうに店内を見回して

「ファミレス人生で2回目。拓也と来て以来だよ」

肩をすぼめて言った。

「あの20歳下の彼氏とね?」

弥生は自分とは、住む世界が違うと感じた。

葵(ひとみ)はメニューを手に取り食い入るように眺める。するとメニューの隙間から

「弥生?煙草は?」
「辞めたし今はこういう所では吸えないわよ」
「そーだよね?肺がんだもんね?」

全くストレートなお方だ

再びメニューに見入る葵(ひとみ)とは裏腹に弥生はメニューも見ずに

「私もう決まってるの。葵(ひとみ)呑んでもいいわよ」

と言うと慣れた様子で店員を呼んだ

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