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15 最高の贈り物
しおりを挟む弥生はとっさに大理石の柱の陰に隠れた
そこから覗き込むように2人を目で追うと2人は顔を見合せニコニコとしながら仲睦まじくエントランスから外に消えて行った
「えっ?どういう事?やっぱり…あの2人…」
天罰だ!弥生はそう思った
隼人に罵られ友人にも、ましてや和茂にまで裏切られた弥生は失意のどん底にいた
どうやって家路についたのか覚えていない
家に着いてからも到底落ち着いては居られなかった
悩んだ挙げ句、葵(ひとみ)に電話する
「もしもし?葵(ひとみ)?」
「弥生?生きてたー?」
あっけらかんとしている葵(ひとみ)に腹立たしさを覚えながら
「今から会えない?」
と聞く弥生
「急ぎの用事?」
と葵(ひとみ)
(私の事避けようとしてる)
弥生は勝手に思い込む
「うん、急いでる」
弥生が答えて会う約束をする
新宿ファミレス
「KAMOME」の看板
弥生と葵(ひとみ)が向かい合って座っている
「どうしたの?急に呼び出して?何だかへんだよ?弥生?」
「葵(ひとみ)、和茂さんと会ってるでしょ?」
「へぇっ?」
キョトンとする葵(ひとみ)
弥生はそんな事はよそに
「私が上げた万年筆どうした?」
と問い詰める
葵(ひとみ)は言葉に詰まって
「ごめん…。実は…あれ…落としちゃったみたいで…あの…その…あの万年筆、弥生の大切な物だって知っていたから…無くしたって言えなくて…」
何とも言い訳がましい
弥生はおもむろにバッグの中から万年筆を取り出して葵(ひとみ)に見せる
それを見た葵(ひとみ)はハッとして驚きを隠せない
すかさず弥生が叫ぶ
「和茂さんの部屋にあったのよ!」
「えっ?何で?」
「葵(ひとみ)!とぼけないでよっ!」
「ごめん、弥生、とぼけてないよ。本当に知らないって」
弁解する葵(ひとみ)
「じゃあ、どうして和茂さんの部屋にあったのよ!」
「それは、その…私が落としたの和茂さんが拾ったとか?…」
弥生には葵(ひとみ)の苦しい言い訳にしか聞こえない
「そんな偶然有る訳ないでしょ!?それに…それにこの前、大帝国ホテルに和茂さんと一緒に居たでしょっ?」
弥生の怒りはピークに達していた
「そ、そ、それは、弥生の見間違えだよ」
何を言っても今の弥生は誰にも止められない
「分かったわ!もういいわよ!裏切り者!」
弥生はテーブルに千円札を叩き付けると勢い良く立ち上がって葵(ひとみ)を残して店を出た
それから和茂からも葵(ひとみ)からも勿論隼人からも連絡は無かった
何とも言えない虚しさが弥生を襲いとてもじゃないが仕事も手に付かない
こんな状態で人の相談に乗れるはずもなかった
失望の日々…。自分の愚かさを悔やんでいたある日…電話が鳴る
電話の向こうに懐かしい声
和茂だった
「弥生ちゃん?」
「和茂さん…」
声を聞いた途端に涙が溢れ出た
「今から会えない?」
「えっ?」
「弥生ちゃんっ、飛びきりおめかししておいて。迎えに行くから」
弥生は狐に摘ままれたような気持ちになっていたが和茂の言われるがままにおめかしをした
洗面所の鏡に写った顔を見る
「うわっ、凄い目」
泣き腫らした目を見て言う
その上からシャドーをして真っ赤なルージュを引く
襟元にレースがあしらってある、黒いロングドレスに、コートを羽織ると弥生のマンションの前で和茂を待つ
5分程すると、タクシーが弥生の前で止まって中から和茂が身を乗り出して弥生を手招きする
タクシーのドアが空き弥生がタクシーに乗り込む
「大帝国ホテルまで」
と和茂
弥生は訳が分からない
タクシーは大帝国ホテルのエントランスに到着
タクシーをおりてホテルの中に入る
すると葵(ひとみ)の姿
「えっ!?葵(ひとみ)?何で?」
ドギマギする弥生に葵(ひとみ)が駆け寄り
「弥生!お誕生日おめでとう!」
「えっ!?」
そう言えば、今日は弥生の43歳の誕生日だった
落ち込む余りそんな事などすっかり忘れていた
呆然と立ち尽くす弥生
すると葵(ひとみ)が弥生の腕を掴んでエレベーターに乗り込む
エレベーターが2階で止まりドアが開くと「鶴の間」と書かれた大きな扉の前まで弥生を連れて行く
その扉を葵(ひとみ)が開けると中には弥生の知った顔100人が集まっていた
弥生を見ると大歓声
その歓声の奥からスーツ姿の和茂がゆっくり歩いてくる
手にはカトレアのブーケ
弥生の前まで来ると
「弥生ちゃん、僕が弥生ちゃんの全てを受け止めてあげるよ」
と言って弥生にカトレアのブーケを手渡した
「ごめんなさい…和茂さん…私…」
「何も言うな」
和茂はそう言うと弥生の唇にゆっくりキスをした
弥生は感激の涙が止まらない
すると葵(ひとみ)が近寄ってきて
「て訳で浮気してました。ねっ?」
と和茂に向かってウインクをした
「葵(ひとみ)…有り難う…」
すると
「お目出とうございます」
と、背の高いスラッとした30代前半の彫りの深い顔に浅黒い肌の男
「支配人で和茂の息子の橘優人(たちばなゆうと)と申します」
弥生が戸惑っていると、その男に葵(ひとみ)が駆け寄り腕にしがみついて
「私達、付き合ってるの」
「えー?いつの間に?」
拍手の渦の中からスキンヘッドのマッチョな男が近寄って来る
「ママ…」
「これは、私からのプレゼントよ」
と言って指を鳴らすと、スパンダーバレーのトゥルーが流れる
葵(ひとみ)が弥生の側に来て
「弥生、私のママになるんだもの私の結婚式まで死なないでよっ!」
デキナイ男と病気の女2につづく
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