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二人への思い
しおりを挟む「萌音の、萌音の母親が悪いんです。オレを脅してきて......」
荒井が話し出す
-回想-
Hotel 富士
荒井と萌音が廊下を歩いている
向かいから掃除婦の内藤咲が清掃用ワゴンを押しながら来る
「お母さんっ?!」
萌音が驚く
「萌音!」
咲も驚く
咲、荒井を見て更に驚く
「あなた達いつから......」
咲が萌音を問い詰める
「看護師学校に通っている時からよ」
萌音が言う
「ボク達、結婚する事になりました」
荒井が言う
「お腹に赤ちゃんもいるのよ」
萌音が荒井の顔を見上げながら嬉しそうに咲に報告する
「それは、それはダメよ!萌音!この男はダメ!」
「どうして?お母さん」
「この男は、荒井病院の保険料の水増し請求を指示していた男。そんな不正をするような男と結婚してはダメ!」
咲がキツい言葉で言う
「でも、赤ちゃんもいるのよ」
萌音が咲に泣き付く
「おろしなさい!」
咲が怒鳴る
「お母さん、酷いじゃないですか!」
荒井が言う
「とにかく、別れないなら荒井病院が不正していた事、警察に言うわよ!」
-元のカフェ-
「それで殺したわけ?」
蘭子が言う
「そうだよ!荒井病院を潰す訳にはいかなかったんだ!それに、萌音の事も心から愛しているんだ!」
荒井が叫ぶ様に言う
「萌音さん、あなたがアリバイ工作に加担しましたね?」
蘭子が静かに言う
「はい......私も直樹さんを愛しています。でも、母に結婚を反対されて、子供までおろせと言われて気が動転しました......」
萌音、うつ向きながら言う
「看護師だったあなたは事件当日、荒井病院に看護師のふりをして荒井さんの夜勤の時間帯に代わりに病院に居ましたね?看護師だったあなたなら、患者の織田さんの点滴交換も容易に出来たはずです。寝ていた織田さんにも気付かれなかった。でも監視カメラに萌音さん、白衣を着たあなたの姿が映っていましたよ」
蘭子が言う
「間違いありません......」
萌音が言う
-回想-
事件当日
荒井病院
駐車場
白衣のまま、黒のワゴン車に乗り込む荒井
バッグを持っている
高速に乗り静岡へ向かう
Hotel 富士
荒井が入ってきて、清掃中の内藤咲を見付ける
「お母さん、ボクは萌音とは別れない!お腹の子供と三人で新しい家庭を築くんだ!」
と咲に言う
「じゃ、仕方ない。警察に病院の不正を密告するわ」
咲きが言い残して去ろうとすると、咲の背後から荒井が、バッグに入っていた手術用のメスを取り出して咲の首筋を切りつける
返り血を浴びながらも急いでその場を立ち去る荒井
-元のカフェ-
「でも、でもどうしてボクの犯行だと分かったんですか?アリバイまで作ったのに」
「白衣ですよ。」
蘭子が言う
「白衣?」
荒井が不思議そうに首を傾げる
「事件の翌朝、あなたを訪ねた時、夜勤明けだと言うのにシワひとつ無いクリーニング済みの白衣を着てらっしゃった。着替えたばかりだと直ぐに気付いたわ。それと、死体の傷口よ。あれだけ綺麗な傷口はメスで切られたもの。見た瞬間に医療従事者の犯行だと思ったわ」
蘭子、白衣を取り出して
「これは、犯行の翌日に病院のクリーニング業者さんからお借りしてきた白衣よ。勿論血液は洗い流されていたけど、試薬を使って判定済みよ。荒井病院の手術用のメスも鑑定させて頂きますね」
と言う
「うぅ......」
泣き崩れる荒井
「どうして、それまで証拠が揃っているのに、私達を逮捕しに来なかったんですか?」
萌音が不思議そうに聞く
「若いお二人、自首となれば少しは状況も有利になるでしょ」
蘭子が言う
「ありがとうございます......」
荒井と萌音が言う
入口が開いて真理子が入って来る
「真理子叔母さん!」
萌音が驚いて叫ぶ
「私が呼んだのよ」
蘭子が言う
真理子、萌音に近づくとバックの中からハンカチを取り出す
大事そうにハンカチを広げると中から折り鶴
その折り鶴を萌音に見せる
萌音、不思議そうに折り鶴を見る
「萌音ちゃんが、昔、私の為に折ってくれた折り鶴よ」
真理子が言う
「自首するように仕向けてくれたのは真理子さんですよ」
蘭子が萌音に言う
「うぅ......」
泣き崩れる萌音
「萌音ちゃん、罪を償ったら、私が母親代わりになるわ」
真理子が言う
「ありがとう。真理子叔母様」
萌音が涙を見せながら言う
「連行して下さい。俺達の事」
荒井と萌音が両手を前に差し出す
「せっかく、素敵なカフェに来たんだからコーヒーでも飲んでからにしましょ」
蘭子と仲村、テラス席に座る
「カトレアの香りはいつも確かッスね」
蘭子、ウインクしながら、胸元をパチンと弾く
完
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いつも、ありがとうございます!
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コロ様
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次作も楽しみにしていて下さい(*^^*)