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イアンの宝物
しおりを挟む私がギロチンで首を切り落とされた途端、群衆から歓声が上がった
私の体は二つに別れてしまったというのに......
首はまるで、スイカが転げ落ちるかの様にゴロゴロと転がり落ち、男が私の髪の毛をわし掴みにし、私の頭を高々と持ち上げ、群衆にさらけ出した
"フランス万歳!!"
歓声がわき起こった
私の37年間の人生に幕がおりた瞬間だった
-1769年-
ウィーン
ハプスブルグ家宮殿
朝日がサンサンと降り注ぎ、色とりどりの花が咲き誇る庭園
満面の笑みで花の中を駆け回る、マリア•アントーニア(14歳)
馬小屋の前で白馬を洗っている、イアン(16歳)を見つける
側に駆け寄るマリー
馬を洗っているホースの先をマリーに向けるイアン
「キャッ」
笑いながらドレスの裾をたくしあげてホースの水を避けるマリー
キャッキャッとはしゃぐマリーとイアン
「マリーのその笑顔は、正に天使だね」
イアンがホースの水を止めて言う
「こっちこっち」
イアンがマリーを馬小屋へ手招きする
馬小屋の中
小窓から、山積みの藁の上に朝日が差し込んでいる
イアンとマリーは藁の上に座り込んだ
すると、マリーがドレスをたくしあげて中からニンジンを取り出す
「シェフの目を盗んで持ってきたの。いつも私達のお話を一緒に聞いてくれてるお馬さんへのご褒美よ」
マリーがお茶目な笑顔で言う
「ありがとう」
イアンが笑いながら言う
マリーが立ち上がって馬にニンジンを食べさせて再び藁の上に座り込む
するとイアンがおもむろにズボンのポケットから古びた懐中時計を取り出した
イアンは懐中時計をマリーの目の前にブラブラさせて見せる
「何?」
不思議そうにマリーが言う
「おじいちゃんの形見なんだ。僕の宝物さ」
「まぁ、私はキラキラ光る物しか見た事がないけど、とっても素敵ね」
イアンは懐中時計をマリーに渡すとゴクリと唾を飲み込んだ
「僕の、僕のお嫁さんになって欲しい」
やっとの思いでイアンが言った
「もちろんいいわ。ありがとう」
突然の告白にマリーは驚いたが嬉しさの余り目には涙が光っていた
マリーはドレスの中に懐中時計を隠した
「マリー?マリー?」
遠くの方から、マリア•テレジア(35歳)の声が聞こえて来る
「お母様だわ。ごめんなさい。行かなくちゃ」
マリーがドレスに付いた藁を払いながら立ち上がる
「じゃあね」
「えぇ......」
手を握り見つめ合いながら別れを惜しむ、マリーとイアン
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