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エレベーターのトリック
しおりを挟む商店街
-城南銀行-
看板
ビルの角地に有る銀行
蘭子来る
「いらっしゃいませ」
蘭子、銀行員に警察手帳を見せる
「こういう者ですが」
蘭子、銀行員と何やら話している
「少しお待ち下さい」
銀行員がカウンターに行き資料を持って来る
「ありがとうございます」
蘭子が言って資料を見て大きく頷く
下町
「田島」表札
-玄関-
下駄箱の上にクマのぬいぐるみが置いてある
足の裏にHの刺繍
-居間-
田島幸太郎、加奈子と美穂がテーブルを囲んで座っている
美穂が幸太郎に
「お義兄さん、警察に捕まったって......」
「美穂ちゃんは心配しなくて大丈夫だよ」
幸太郎、美穂をなだめる
部屋のチャイムが鳴る
インターホンの画面に蘭子と仲村が写っている
「刑事さん、お待ち下さい」
元の居間
蘭子と仲村入って来る
「お邪魔します。やっぱり美穂さんもここにいらっしゃいましたね」
蘭子、美穂を見て言う
「今回の星野さん殺しの一件、犯人がわかりましたよ」
「えっ!」
一同、ハッとする
「加奈子さん!美穂さん!幸太郎さん!そして本部で黙秘を続けている将志さん!あなた方は皆、共犯ですね!そして幸太郎さん!貴方が主犯です!」
幸太郎、ビクッとする
「こ、こんな足でどうやって人を殺したというのかね!」
「自分でやらなくても復讐の方法はありますよ。貴方の口座から湯浅将志さんに500万円振り込んでいますよね」
と蘭子が資料を見せる
「貴方は湯浅将志に頼んで星野さんを殺させた」
「ど、どうしてそれを!」
「最初に幸太郎さんのお宅に伺った時、テーブルの上に無造作に通帳が置いてありました。貴方は『ついうっかり』とおっしゃったので最近その通帳を使ったのだと思ったわ」
「ウゥゥゥ......開き直ったんだ!星野のヤツ!」
-回想-
星野が道端でタバコを吸っている
幸太郎が
「慎介はお前が殺した様なものだ!」
「何を今更。あれはれっきとした事故ですよ」
「美穂とまだ続いているのなら、せめて、せめて慎介の為にも離婚して美穂を幸せにしてやってくれ!」
「あの女には情けを掛けてるだけさ。まー、ひなたは俺の子だから認知位はしてやってもいいけど。最もマンションの1つでも与えとけばホイホイ俺の言う事を聞くアホな女さ。旦那が死んでよっぽど寂しいのかね」
「なにをー!慎介の事だけにとどまらず、美穂の事までバカにしやがって」
幸太郎、星野に殴りかかろうとする
「その身体で何が出来るんです?ケガしないうちに早く帰った方がいいですよ」
星野、せせら笑う
-回想終わり-
元の居間
「でも、加奈子と美穂は関係無いんだ!」
幸太郎が言う
「直接手を下していなくても殺人事件に関わったという事は立派な犯罪です」
蘭子、加奈子と美穂に向かって言う
-回想-
星野さんが非常階段で屋上に上がる
屋上には誰も居ない
星野さんが電話を掛ける
湯浅が電話に出る
「下に下りて来て下さい」
湯浅が言って星野さんが下りて来る
湯浅、慌てて非常階段に酢酸ナトリウムをまいてそのまま非常階段で逃げ去る
-回想終わり-
「私の推測ですが、湯浅が電話で星野さんを屋上に呼び出した。屋上に誰も居ないので星野さんが湯浅さんに電話した。電話に出た湯浅さんが下りて来る様に促した。自分の薬局で仕入れた酢酸ナトリウムを持ち出していて非常階段にまいた。加奈子さんの持っている合鍵を使って。次の日、星野さんが死んでいるのを確認する為に美穂さん、貴女が10階まで行きましたね。事件当日の犯人の足跡は雨で流されていたはずなのに女性の足跡が有りました。次の日に階段から下りてきた美穂さん、貴女の物ですね。加奈子さんが出勤した時にはエレベーターは4階で止まっていた。どう考えても不自然です。美穂さんは私達がエレベーターから降りた後、ひなたちゃんに死体を見せるわけにはいかなかったので一度5階でひなたちゃんを一人で降ろさし帰宅させ、美穂さんが一人で10階まで上がった。そして、星野さんが何階で死んでいるのか分からなかった為10階から一階ずつ下りてきて4階で星野さんが死んでいるのを確認した。エレベーターで4階から5階に上がり、降りる寸前に4階のボタンを押してから帰宅した。4階でエレベーターを止めておく為です。だから加奈子さんが出勤した時エレベーターは4階に止まっていた。それは星野さんが4階で死んでいるという合図だった。そして加奈子さんが第一発見者になるというシナリオよ!監視カメラの映像には私達以外の利用者は居なかったんですよ!違いますか!」
蘭子が加奈子と美穂に言う
「ウゥゥゥ......」
と言葉を無くす加奈子と美穂
「加奈子さん、貴女は最初から星野さんに近づく為に星野さんの家の政婦になった。そうですよね。半年前の求人雑誌を調べた所、家政婦の求人は何処にも無かったわ」
「その通りです。私は弟を死なせた星野が憎かった。いつか、いつか復讐しようと機会を狙っていました」
加奈子がうなだれる
「それで、皆で星野さん殺害計画を立てた?」
蘭子が言う
「そうですよ。私達家族は皆、星野を憎んでいましたから」
幸太郎が言う
蘭子が
「それは違うわよね?美穂さん。少なくとも貴女は今でも星野さんを愛してた」
と言う
「ど、どうしてそれを?」
「お宅にお邪魔した時、ご主人の慎介さんの写真が一枚も有りませんでした。しかも、慎介さんが亡くなってから旧姓の矢口に戻られてる。貴女は慎介さんを愛していないと思ったわ。ひなたちゃんが持っているクマさんのぬいぐるのHの刺繍はひなたのHではなくて星野さんからの贈り物の証のHですね。星野さんのスマホに美穂さんとひなたちゃんの3人で写っているデータが複数あったわ」
「ウゥゥゥ......あの人は、慎ちゃんは最初は優しかったんです......」
-回想-
慎介、美穂と向かい合ってテーブルの前に座っている
「美穂、お腹の子供は星野との子供なのか!」
慎介が声を荒らげる
「それは、それは、慎ちゃん、ごめんなさい、ごめんなさい」
「そうか!どうして、どうしてあんな男の!」
慎介、椅子を投げたりテーブルの上の物を投げて暴れる
-回想終わり-
「それから慎ちゃんは私に頻繁に暴力を振るう様になって......私が、私が悪いんです。慎ちゃんは私が殺した様なものなんです。私が慎ちゃんを裏切ったせいで慎ちゃんは......でも私は変貌して行く慎ちゃんから逃げたくて、それで、それで星野さんと......」
「それなのに美穂さんも共犯になったのは幸太郎さんからの言葉ですね?」
蘭子が言う
「はい」
と美穂
-回想-
幸太郎と美穂が居間でテーブルに向かい合って座っている
「美穂ちゃん、星野はお前の事なんて愛していない!遊ばれてるだけだ!アイツは酷い男だ!いい加減に目を覚ましてくれ!」
「......分かりました......お義父さん」
うつ向く美穂
-回想終わり-
「私がバカだったんです。慎ちゃんが亡くなった後も星野さんと関係を持ってたなんて。でもひなたの為にはそうするしかなか無かったんです。でも、でも......星野さん殺しに加わったのは慎ちゃんへのせめてもの償いです」
「そうでしたか。でも、美穂さん、星野さんの自宅から離婚届けと婚姻届けが見つかりましたよ。星野さんは口では酷い事を言っていたかもしれないけど真央さんとは離婚して美穂さん、貴女と結婚するつもりだったのよ。本心は美穂さんとの将来をきちんと考えていたのよ」
「婚姻届けが!」
泣き崩れる美穂
蘭子が葵刑事に電話する
警視庁
取調室
葵刑事と湯浅が向かい合って座っている
葵刑事のスマホの着信音が鳴る
葵刑事、席を立って電話に出る
「分かったわ」
葵刑事が静かに言う
「湯浅さん、田島幸太郎と奥さんの加奈子さんそれに美穂さんが自白しましたよ」
「ウゥゥゥ......」
肩を落とす湯浅
「田島家」
-居間-
2階からドタバタと言う足音
「佑樹君とひなたちゃんも2階にいますね。ひなたちゃんのぬいぐるみが玄関の下駄箱の上に置いてありました」
「は、はい......私が保育園から佑樹君を連れ去りました。ひなたを迎えに行ったら、佑樹君が、家に帰りたくないと私に泣き付いてきたもので......」
美穂が言う
「佑樹君はひなたちゃんとは異母兄妹。ネグレクトに有ってる佑樹君を見て見ぬふりをする事は出来なかったのね」
蘭子が言う
「はい、そうです......」
美穂が泣き崩れる
部屋のチャイムが鳴る
「はい、どちら様ですか?」
加奈子がインターホン越しに言う
「星野真央と申します」
「星野?」
加奈子、不思議がる
「私が呼びました」
蘭子が言う
加奈子、玄関に出向き真央を部屋に招き入れる
2階から佑樹が降りて来て
「ママッ!」
と真央に抱きつく
「ネグレクトでも子供は母親が一番なんスね」
仲村が感心した様に言う
「こんな可愛い子の面倒を見なかったなんて......佑樹が居なくなって初めて分かったわ。仕事は辞めて、これからは佑樹の面倒をちゃんとみるわ」
佑樹を抱きしめ泣きながら言う真央
「美穂さんが罪を償うまでひなたちゃんの面倒も私が見るわ。星野が愛した人の子。私が責任を持って面倒みなくちゃね!」
真央、照れ笑いしながら言う
「ウゥゥゥ......ありがとうございます......」
泣き崩れる美穂
「さぁ、行きましょうか」
蘭子が言って仲村と一緒に、田島幸太郎と湯浅加奈子、矢田美穂を連行する
警視庁
捜査一課
窓の外を見ている蘭子
「何してるんスか?」
仲村が言う
「星を眺めてるのよ」
「こんな都会で星なんか見えます?」
「どんな空の下でも星は消えないわ。星野さんも美穂さんとひなたちゃん、そして佑樹君との生活を夢見て星に託していたのかも」
「蘭子さんも案外ロマンチストなんスね」
「なぁに?生意気言って。あっ、流れ星!」
「えっ、どこ、どこ?」
仲村、窓の外を見る
「ばぁーか」
「あっ、騙したッスね!」
仲村、蘭子の額を人差し指でパチンと弾こうとする
サッと避ける蘭子
「10万年早いわよ」
蘭子、胸元をパチンと弾く
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蘭子の聡明さと繊細さ、仲村のセンスの良さと愛嬌が魅力の、引きつけられるキャラクターが繰り出す、このカトレアシリーズにハマっております。
伏線の数々にワクワクし、紐解いたときのスッキリ感がたまらなく楽しく拝読させていただけました。
次回作も楽しみにしています。
コロ様
お返事が大変遅くなり本当に申し訳こざいませんでした
何と!コロ様の感想に気付いたのが今なもので🤣
いつも拝読いただきまして本当にありがとうございます😊
コロ様の感想で意欲が湧きます
これからも宜しくお願いします❣
複雑に入り組んだ伏線を、物の見事に全て綺麗に回収してくれて、スッキリ爽快!!日曜劇場『VIVANT』みたいで最高でした!!ありがとうございます♪
jeymama様
最高の褒め言葉
凄く嬉しい😃🎶です
ありがとうございます!
続編ずっと待ってました!!
蘭子と流星の掛け合いがリズミカルで大好き!!エレベーターのトリックにもワクワクしますね〜めっちゃ楽しみです!!
jeymama様
今回も感想ありがとうございます!
時間を掛けて書き上げた甲斐がありました
また宜しくお願いします