笠田潤による誘惑放浪記

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ガラガラ亭見参!

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「あ~、会いたい」

 ワイは一ヶ月間働き詰めだったライターの仕事から解放したいが為に、スカート姿の佐藤さんを拝みに参る。

「ガラガラ」

 扉を開くと、いつもの店員さんが見当たらない。案内されたカウンタに座り、肩を落とした。
 しばらくすると、扉が開く音がした。ワイはチビチビと、好みの日本酒を呑んでいたのだが、気になり視線を向ける。そこには、見覚えのある人物が映った。
 二度見して確認すると、片桐さんだった。ワイはビックリして、お猪口を滑らかし、テーブルに少しばかりこぼしてしまった。
 店員さんを呼びつつ、頭をかいていたら、五メートル先に片桐さんが平然とカウンタに座っていた。

 「まずい、見られた? 」

 そうこうしているうちに店員さんが対応してくれたおかげで、片付いた。
 申し訳ない気持ちになり、店員さんへ謝罪の言葉をかけると、スカートの姿に魅了される。

「さ、佐藤さん」

「はい、佐藤ですよ」

「申し訳ないです」

「いえいえ、また会いたかったですし」

 ワイは気を取り直し、再びお酒をひとくち呑む。すると、耳元から片桐の声が染み渡る。聞こえてきた方を振り向くと、いつの間にか三メートル距離が縮まっていた。

「奇遇だねぇ、ここで会うなんて」

「ホントですね、どうしてここに? 」

「ないしょ、知り合いが気にするから」

 ワイは小鉢に入った五つの金平糖を一つつまみ、口へ放り込む。

「ワイとまた勝負しにきたんじゃないん? 」

「カラカラ‥カラカラ、それじゃ、一枚脱いじゃおぅ」

「ご遠慮くださいませ、片桐様、笠田さん」

「えっ、佐藤さん」

「夏奈ちゃん、元気そうだねぇ」

「はい、お呼び頂いたので、伺いに参りました」

「ゴクゥ ゴクゥ。ではなぁ、帰るよ」

「はい、ありがとうございました」

 一方その頃、ワイは佐藤さんの新たな一面が見れたことと、二人の関係性にそっと温かく見守る親の立場で見ていた
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