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第二章 エウクラトア聖王国

24話 ウーラノスの加護

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 ウーラノスの加護が裏目に出たとは一体……?

「前に僕が言いましたよね? 徳を積んでいたから加護を与えたと……」

「このお仕事をする前の説明の時だよね?」

 確かに言っていた。ウーラノスは私の答えに頷くと、詳しく説明してくれる。

「その加護を与えたというのは、人に授けたわけではなくて物に加護を与えたんだ」

「物に加護??」

 ちょっとよく分からない……。人に加護っていうのは分かるけど、物に加護??

「簡単に言うとね、僕の力が込められている神器。 それをこの国を救った信徒に与えたのさ」

「じゃあ、今この国にまだウーラノスの加護が作用しているのは……」

 ウーラノスはそうだよというように頷いてから言う。

「そう、今でも僕の与えた神器が存在しているから。 それがきっと教会にあるのだと思う」

 やっと今でもウーラノスの加護が存在している事実を理解した。そして辻褄が合う。

 ウーラノス、神が作った神器だもん、壊れることなんてないだろうしね。

「でも、なんでウーラノスの加護で大精霊であるマーエル達が気づかない事態になるの?」

「それは、神器に込めた加護のせいでしょうね……」

 ウーラノスは神器ついて詳しく教えてくれた。

 ウーラノスの与えた神器は三つ。

 光の杖、守りの首飾り、そして、力の水晶。

 この三つの神器は三つ揃うことでこの国を守れる様になっている。ただし、正しく使えばだけど……。

 まず、力の水晶に様々な力を込めることができる。基本的は魔力を込めることが多い。しかし、この水晶のすごいところはさまざまな思いも力に変換することが出来る。例えば、国を守りたいと思う国民の祈りとか……。誰かを思う思いやりの気持ちとか……。とにかく様々。そして、この水晶は力を溜める神器。

 そして、水晶で溜めた力はどこで使われるのかというと、後の二つの神器。光の杖と守りの首飾り。

 守りの首飾りはその名の通り、守るための首飾り。しかし、その守りの範囲はとてつもなく広い。国全土を守るくらいにはできる。しかし、ピンポイントで守ることも可能。その首飾りをしたものは絶対に守られるという。

 光の杖、こちらは攻撃用の神器。水晶で溜めた力を攻撃魔法へと変換する。ただし、使用者は並大抵の者では扱えない。もっとも危険極まりないから。未熟な者が使用した場合、何らかの代償を負うことになる。

 この三つがウーラノスが与えた神器。

「だけど、この三つのうちのどれが混乱させている神器な訳?」

「それは、力の水晶でしょうね……」

 ウーラノスは難しい顔をしながら言う。

「まず、力の水晶は純粋に力を集める為の神器。 力を集めることはその神器にとっては当たり前。 何も悪いことなどしていない。 それが不当に集められた力であってもね……」

「じゃあ、不当に力を集めている人がいるってことだよね? いくら神器にとって当たり前のことでも、不当に力を集めている人がいたら不審に思う人もいると思うの」

 だって力の水晶だけでは周りの人の行動は隠せないと思うんだけど……。

「だから、もう一つの神器さ。 首飾りは何の神器?」

「!!!!」

 そっか!そういうこと!!

「守りの首飾りがその悪い奴らを守っているのね!」

「そう。 守りの首飾りは首飾りをしている人のことはもちろん、それから何を守るのかも決められる。 きっと首飾りをしている者は自分の利になることを守っているのではないかと思う」

 結局首飾りをしている人は自分の都合よく水晶に集めた力を使いたい為に首飾りで守り、そして、何かを企んでいるのね。

「一体、力を集めて何がしたいのかしら……?」

「それはある程度は予想出来るけど、僕はこれ以上言えないかな……」

 ウーラノスは困ったように笑った。

「ごめんね。 だけど、アマネもきっとすぐに予想がつくさ」

「何だか腑に落ちないけど……」

 きっと神様のルールでもあるのだろうと私は思った。

「まあ、神器のこと教えてくれたし……。 それに明日教会へ行ってみることにするよ」

 そしたら、きっと何かが分かると思う。

「うん、そうしてみるといいかもよ」

 ウーラノスも教会に行ってみることに賛同した。

「ちなみに神器はどうすればいいの?」

「それは、アマネの判断に任せる。 神器を使うに値しないと判断したのなら取り上げてもいいよ。 取り上げた後はアマネが使ってもいいし」

「いやいや、使い道に困る……。」

「だって、僕の加護がある神器だよ? 使徒であるアマネは相性抜群の物だよ?」

 ……いや、それはそうかもしれないけどね。

「まあ、まだ取り上げた訳ではないし、もしそうなったら考えるといいよ!」

「そうだね。 取り上げないかもしれないしね」

 さて、どうなることやら……。

「そろそろ、僕は仕事に戻らなくては……」

「ごめん、お仕事中だったのに」

「ううん、僕はアマネと話ができて嬉しかったよ! また、こうして連絡してくれると嬉しいなっ!」

 満面の笑みでウーラノスにそう言われてこちらまで嬉しくなる。

「ありがとう! じゃあまたちょくちょく連絡するわ!」

「うん! 待ってるよ!」

「じゃあお仕事頑張ってね! あまり無理しちゃダメだからね!」

「ははっ! 神である僕のことを心配してくれる人はアマネだけだよ。 大丈夫、無理はしてないから」

 ウーラノスは優しく微笑んだ。だから私も自然と笑顔になる。

「ウーラノス、色々教えてくれてありがとう! じゃあ、またね!」

「うん! またね、アマネ」

 そう言ってウーラノスとの連絡終えた。


 
 
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