9 / 19
9話
しおりを挟む「ほら! 朝だよ! さっさと起きなさい!」
突然入って来た侍女はとてもこの家の主人の娘に対するものでは無い。
今はまだ、この家の娘。その娘に対しての無礼。愚かなこの侍女には分からないらしい。
「……」
「ちっ! 起きていたか……。ほら、早く用意して来な!」
そう言うと侍女はセシリアの用意もせずにそのまま何もせずに出て行く。
だから、ここ最近は自分でも着れる服に着替えて自分で準備するしか無かった。
それでも自分で準備するには限界がある。それにまだ4歳のセシリアは着替えにしても完璧では無い。貴族の令嬢は準備してもらうのが当たり前。それすらセシリアにはしてもらえなかった……。
精一杯頑張って準備して、みんなが居るダイニングへ向かうがお義母様とキャシーには笑われて、お父様だったは私に怒る。そんな見窄らしい姿で来るなと。
それなら、仕事を怠っている侍女を注意してくれれば良いのにお父様だった人はそんな事はしない。むしろ分かっていて私を怒っている。
その後は無理やり侍女にお世話をされ、髪を梳かすのも力強くするから痛いし、服も私には全然似合わない物を着せて来る。
もうここにはセシリアを虐げる者たちしか居ない。
すると、セシリアの側で禍々しい雰囲気を感じる。
『あの女……』
『我のセシリーに……』
お母様とお父様はカンカンに怒っていた。お顔がものすごーく怖い……。
(おかあさま、おとうさま……)
セシリアに呼びかけられてハッとする2人。セシリアの方に顔を向ける時はにこやかに笑った。
『セシリー、大丈夫よ。これからはお母様と精霊さんがセシリーの準備をするからね』
『ああ、心配することは無いぞ! どれ、すこーしお仕置きをするかな……』
お母様とお父様がそう言うとふわりと風が吹いた。部屋の中なのに風が吹いた。
その事に少し驚いていると、その風が私のことも包み込む。ふわふわと風に包まれていると髪は綺麗にハーフアップにされていて、魔法の様に服も可愛らしい服に変わっていた。
「わあ! かわいいおようふく!」
こんなに可愛らしい服は一年ぶりだ。可愛らしい服は全てキャシーに取られてしまった。
『セシリー、気に入ったかしら?』
「うん! おかあさま!」
『それは良かったわ♪』
「あっ……、でも……」
『どうしたの、セシリー?』
可愛らしい服を着れたことは嬉しい。でもこんな服を着てキャシーに会ったら取られてしまう。せっかくお母様が用意してくれた物なのに……。
「このおようふくをきて、キャシーにあったら、せっかくおかあさまがよういしてくれたのに、また、とられちゃう……」
『ふふっ、そのことについては心配しなくても大丈夫よ、セシリー。それにそのお洋服はセシリーの元でしか価値が無いわ』
「??」
『とりあえず、取られても大丈夫。また、お母様が新しいお洋服を用意するわ』
『お父様もセシリーにお洋服を用意するぞ!』
「……うん!」
『それじゃあ、その姿であの人達に会いに行きましょう。きっと驚くわよ!』
ふふふとお母様は不敵に笑った。
6
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
隣にある古い空き家に引っ越してきた人達は、10年前に縁を切った家族でした
柚木ゆず
恋愛
10年前――まだわたしが男爵令嬢リーリスだった頃のこと。お父様、お母様、妹は自分達が散財した穴埋めのため、当時住み込みで働いていた旧友の忘れ形見・オルズくんを悪趣味な貴族に高値で売ろうとしていました。
偶然それを知ったわたしはオルズくんを連れてお屋敷を去り、ジュリエットとガスパールと名を変え新たな人生を歩み始めたのでした。
そんなわたし達はその後ガスパールくんの努力のおかげで充実した日々を過ごしており、今日は新生活が10年目を迎えたお祝いをしていたのですが――その最中にお隣に引っ越してこられた人達が挨拶に来てくださり、そこで信じられない再会を果たすこととなるのでした。
「まだ気付かないのか!? 我々はお前の父であり母であり妹だ!!」
初対面だと思っていた方々は、かつてわたしの家族だった人達だったのです。
しかもそんな3人は、わたし達が気付けない程に老けてやつれてしまっていて――
行き倒れていた人達を助けたら、8年前にわたしを追い出した元家族でした
柚木ゆず
恋愛
行き倒れていた3人の男女を介抱したら、その人達は8年前にわたしをお屋敷から追い出した実父と継母と腹違いの妹でした。
お父様達は貴族なのに3人だけで行動していて、しかも当時の面影がなくなるほどに全員が老けてやつれていたんです。わたしが追い出されてから今日までの間に、なにがあったのでしょうか……?
※体調の影響で一時的に感想欄を閉じております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる