煌めく氷のロマンシア

沖田弥子

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初恋の成就 2

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 愛しい人の薫りに包まれたまま、膝裏に手を差し入れられて横抱きにされる。アレクは悠然とした足取りで、天蓋付きのベッドへ煌の肢体を運んだ。薄い紗のカーテンがさらりと捲られて、肌触りの良いリネンに体をそっと下ろされる。

「抱かせてほしい」

 直截な言葉と好きな人に求められるという奇蹟のような現実に理解が追いつかない。
 けれど、心はアレクを求めていた。彼の体温に包まれたくて、体も疼くような熱を持ち始めている。

「……はい」

 小さく答えれば、華奢な肩に手がかけられる。
 伸し掛かってきたアレクの双眸には明確な欲が宿っていた。
 少し怖いけれど、好きな人と結ばれるという喜びのほうが何倍も勝っていた。煌は自らのローブに手をかけて、アレクの前に裸身を晒そうとした。皇帝の手を煩わせてはいけないと思ったからだが、その手をやんわりと留められる。

「私が脱がせたい。キラは何もせず、感じていてほしい」
「はい……。アレク」

 するりと紐を解かれ、肩からローブを外される。中に纏っていた薄手のシャツも、下肢を覆う下穿きも剥かれて、露わになった素肌を暖炉の灯火が淫靡に浮かび上がらせる。
 細身の白い体だ。貧相とも思えるその体を、アレクは瞬きもせずに見つめている。
 鎖骨も、平らな胸も、薄い茂みを掻き分けて勃ち上がりかけている花芯すらも。

「綺麗だ。キラの体は、喩えようもなく美しい」
「そんな……恥ずかしいです」

 アレクの熱い眼差しに晒されていると、たまらない羞恥が湧き起こる。昂ぶる花芯を隠したくなってしまう。そっと掌で覆うと、アレクは悪戯めいた眸をむけながら口端を引き上げた。

「おや。美しく秘めやかなところが隠れてしまったな」
「だって、勃って、しまって……」

 見られただけで勃たせているなんて、はしたないと思われる。
 けれど意識するほど花芯は頭を擡げ、先端からとろりと蜜を零し始めた。
 痴態を凝視しながら、アレクは自らの体を纏っていたローブを潔く脱ぎ捨てる。
 強靱な筋肉に覆われた均整の取れた肉体に眸を瞠る。まるで名匠が丹精込めて造り上げた彫刻のように美しい体だ。小屋で体を温めてもらったときは直視する余裕がなかったが、こんなにも逞しい体に包まれていたなんて。

「アレク……。高貴なお体なのに、どうして僕に見せてくださるんですか?」

 王は閨でも着衣を乱さず、たとえ妃でも高貴な体には指一本触れさせないものだ。それが王と閨を共にする際の儀礼であると煌でさえも知っている。
 小屋で全裸になり、温めてくれたのは不可抗力だった。
 煌と同じく一糸纏わぬ姿になったアレクに、ふわりと抱きしめられる。
 彼の熱い体温を直に感じる。まるで灼熱の大地のようだ。

「ベッドでは私は皇帝ではなく、君に恋焦がれるひとりの男だ。恋人なのだから、裸で抱き合いたい。キラと素肌を重ね合わせたいのだ」

 アレクは掟を破り、恋人として接してくれる。
 胸に喜びが溢れる。熱い体をきつく抱きしめ返した。

「嬉しい……」
 
 ゆっくりと精悍な顔を傾けられて、自然に瞼を閉じた。柔らかくも情熱の込められた唇が触れる。
 重ね合わせ、互いの心まで交わる。
 口づけを交わしたまま、褥に押し倒される。腿に押し当てられた雄芯の硬さに、彼も興奮してくれているのだと分かった。普段は威厳に満ちて冷徹ですらある皇帝の姿からは想像もできないような雄の本能を間近に見られて喜びが迸る。
 腕を伸ばして、愛しい男の重みを受け止めた。
 アレクの体の熱が浸透していく。溶かされていく。
 口づけが解かれると、アレクは体をずらし、唇で首筋を辿った。

「あ……アレク、お願い、離れないで」

 熱がほんの少しでも離れてしまうと心許なくて、か細い願いが紅い唇から零れ出る。
 彼の大きな掌が薄い胸をまさぐる。差し出された舌は鎖骨の窪みを舐めた。

「離れはしない。頼む。愛撫をさせてくれ。愛したいんだ」

 情熱的な懇願に絆されてしまう。強靱な肩に回した腕を緩めると、体を起こしたアレクは確かめるように両の掌で煌の体を撫でさすった。
 平らな胸から鳩尾を辿り脇腹にかけて。腿を撫で下りると、ふくらはぎから踝まで。足の指までくすぐられるように擦られて、くすぐったさに身を捩らせる。

「ん、ん……くすぐった……い」

 未知の快楽に誘われて、肌が粟立つ。触れられることのない花芯はきつく反り返り、それが感じているのだと語っていた。

「くすぐったいだけではないようだが……? こちらも勃ってきたな」
「あ……っ」

 アレクの悪戯な指先が粒を優しく突き、捏ね回す。胸元を悦楽が弾けた。連動するように腰が甘く疼き、またとろりと蜜が滲む。胸元に目を遣れば、ささやかな粒はぷくりと膨らみ、紅く色づいていた。淫靡な光景に目眩がする。
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