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第5章 皇帝編
第166話 独立国家共同体ガイア ~ガイア帝国の誕生~
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モンゴル帝国では、キプチャク汗国のバトゥと摂政トレゲネとの対立がまだ続いている。
だが、トレゲネの方はしびれを切らして、バトゥ不在のままクリルタイを強行する可能性も出てきた。
再び緊張関係が高まる前に体制整備を急がねばならない。
次回の欧州条約機構の総会に向けて準備が必要だ。
フリードリヒは、外務卿のヘルムート・フォン・ミュラー、農林水産卿のアーベル・フォン・エッゲブレヒト、国土交通卿のクリスト・フォン・ボルクを呼んだ。
防衛、経済産業に引き続き、農業、国土交通分野でも国家間協力を進めるためだ。
「エッゲブレヒト卿。農業については、気候によって各国の得手不得手がある。国家間で得意な産品を融通しあうような協力関係を構築して欲しい。
特にお茶とトマトについては南方でないと生産が難しいからな。これらを生産できそうな国と信頼関係を築いてくれ」
「御意」
「ということで、ボルグ卿。そのためには各国をつなぐ交通網の整備が急務となる。国家間の協力関係を構築し、交通網の整備を急ぐのだ」
「毎度、陛下のスケールの大きさには驚かされますな。御意にございます」
「ところでミュラー卿。ここまで国際間の協力関係が広がってくると『条約機構』という名称はいかがかとおもうのだが…」
「左様にございますか…ではいかがいたしましょうか?」
「『独立国家共同体』というのはいかがであろうか?」
「はあ…」
──やっぱりそういう反応だよな…
「やはりピンとこないか…」
「そうでございますね。何しろ今まで前例のないことですので…」
「では、親しみのある名前にするために神の名を借りて、『独立国家共同体ガイア』というのはどうかな?
大地の神、ガイアの名を借りるのだ。広域の国家どうしが協力関係を築くに当たってふさわしいと思うが…」
「それは名案にございますね。そちらの方が断然親しみを持てるかと思われます」
「よし。ではそれで行こう。では、各国との調整を頼む」
「御意」
◆
アメリカ合衆国の政治学者であるチャールズ・メリアムが発表した政治権力についての学説によると、権力の基盤はミランダとクレデンタに区別され、ミランダは人間の象徴に対する非合理的な崇拝の感情であり、記念日、記念碑、国歌、国旗、制服、神話、儀式などに基づいた権力はミランダに基づいている。
クレデンタは社会で承認された同意に対する合理的な服従の信念であり、この同意は政府への尊敬、既存の権威への服従、公共のための自己犠牲、そして政府による合法性の独占によって基礎付けられる。
この二つの権力基盤は実際には別物ではなく、相互に補完し合う関係にある。
例えばロートリンゲンで使用しているロートリンゲン十字はミランダの一つである。
今回、独立国家共同体ガイアの名称に神ガイアの力を借りようということもミランダの一つである。
これを見越してナンツィヒにはガイアの神殿が建ててあり、市民の間にもなじんできている。今回、ガイア神が一挙にクローズアップされるわけだ。
──この流れで各地にガイア神殿が建てられるとよいのだが…
まあ、こういうことは強制してやることではないので、自然の流れに任せるか…
◆
それはそうと、独立国家共同体ガイアに力を入れるのは良いが、神聖帝国も連邦国家であり、いわば国の集まりだ。
そういう意味では入れ子の構造になっている訳で、独立国家共同体ガイアの力が強まっても、神聖帝国への帰属意識が薄まってもらっては困る。
神聖帝国皇帝は、選帝侯による選挙により選出される。これは一種のクレデンタだ。
そして今回切り捨ててしまったローマ教皇による戴冠というのは、ミランダとクレデンタの両面がある。
これらを踏まえ、神聖帝国の権力への帰属意識を高めるためにテコ入れをしたいところだが…
クレデンタの方はなかなか触ることが難しい。
そうするとミランダの方で手っ取り早いのは国旗と…国歌だ。
国旗については、この時代、朱色に白色で十字を抜いたシンプルなものが神聖帝国の国旗として用いられていた。
だが、やはり神聖ローマ帝国といえば双頭の鷲ではないか。
断然こっちの方がカッコいいし、インパクトもある。
国旗の方はこちらを先取りして採用するとして、問題は国歌の方だが…
この時代、国歌というものは存在していない。国歌というものは遡っても17世紀頃が一番古いと言われている。
音楽そのものがまだあまり発達していないのだから仕方がないといえばそうなのだが、この時代に国歌があって悪いということはない。
むしろ、文盲率の極めて高いこの時代、文字によるプロパガンダは難しいだけに、歌というのは効果的なのではないか?
フリードリヒは、早速、内務卿のスヴェン・フォン・ハグマイヤーを呼んだ。
「ハグマイヤー卿。欧州条約機構の方にいろいろとテコ入れをしているところなのだが…」
「それは耳にしております」
「一方で、神聖帝国への帰属意識が薄まってもらっては困るのだ」
「それは確かに。陛下のおっしゃるとおりかと…」
「そこで人々に印象づけるために国旗を変えようと思う」
「それも一案ではありますな」
「現在の国旗はシンプルに過ぎる。そこでローマ帝国でも用いられたという伝承のある双頭の鷲をモチーフにした国旗に一新しようと思うのだが、いかがか?」
「確かに印象には残りそうですな」
「では、その線で意匠作りの方を頼む」
「御意」
「それから…」
「まだ、あるのですか?」
「国歌を作りたいのだ」
「国歌? ですか?」
──やはりピンとこないか…
「歌であれば文字の読めない者も覚えられるだろう。神聖帝国と皇帝を讃える歌を作り、集会などの際に歌わせるのだ」
「はあ…歌ですか…」
「効果の方は未知数だが、やってみる価値はあると思う」
「左様でございますか…」
「とにかく、吟遊詩人などに作らせてみてくれ」
「承知いたしました」
ところが…
できてきた歌を聞いてみるとどうもピンとこない。
現代の歌を知っているフリードリヒとしては、あまりにおとなしくて単調なのだ。
仕方がない。国旗もパクったのだから、国歌もパクるか…
パクリついでだ。
神聖ローマ帝国の国歌といえば、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作曲によるオーストリア皇帝讃歌「神よ、皇帝フランツを守り給え」があまりにも有名である。
このメロディーは、数多くの讃美歌やクラシック音楽の中で用いられた、いわば大ヒットソングである。
だが、この曲が作られたのは18世紀である。そんな新しい感覚の曲がこの時代に受け入れられるだろうか?
そこで、フリードリヒは妻・愛妾や宮中伯とその家族を集め、試奏してみることにした。
「今度、帝国統合の象徴として歌を作ることにしたのだが、あまりいいものがなくてな。朕が作ってみたので、聞いてみて、忌憚のない感想を言ってもらえるだろうか?」
「「「御意」」」
──いや。「御意」じゃなくて、ダメならダメと言ってくれよ…
フリードリヒはリュートを片手に弾き語りを始めた。
もちろん「フランツ」の歌詞は「フリードリヒ」に変えてある。
神よ、皇帝フリードリヒを守りたまえ
われらが良き皇帝フリードリヒを!
皇帝に長寿あれ、
幸運の輝かしき栄光のうちに!
皇帝も行くところ
月桂樹の一枝も栄誉の花輪に繁れり!
神よ皇帝フリードリヒを守り給え、
われらが良き皇帝フリードリヒを!
歌い終わってみたが、反響がない。シーンとしている。
──やっぱり新し過ぎたか…
やがて正妻のヴィオランテがポツリと言った。
「フーちゃん。素晴らしいわ。厳かで、威厳があって、感動的で…こんな曲が作れるなんて、あなたは天才よ…」
──いや。完璧にパクリなんですけど…
素直に喜べないけど…まあいいか…
ヴィオランテの言葉を皮切りに、皆が賛辞の言葉を述べた。
表情を見る限り、いちおうお世辞ではなく、本気で言っているようだ。
ヴェロニアが言った。
「でも、ちょっと短いな。続きはないのかよ?」
「今のは1番だ。実は4番まであるんだ」
「なんだよ。出し惜しみしないで聞かせてくれよ」
「よし。それじゃあ…」
フリードリヒは調子に乗って4番まで歌う。
今度は歌い終わると拍手の嵐だった。
「旦那。カッコいいぜ。最高だ!」とヴェロニアが言うと抱きついてきた。
──これならばなんとか行けるだろう。
蓋を開けて見ると、国旗と国歌は大うけだった。
特に国歌は貴族から民衆にいたるまで大流行した。
子供までが口ずさんでいる。歌詞の意味をどこまで理解しているかは不明だが…
音楽というものは、時代を越えた普遍的なものだと実感させられた。
◆
それから程なくして欧州条約機構の総会が開催された。
前回の経済協力で効果を実感していた各国の代表たちは、農業、国土交通分野でも国家間協力についても、前向きに賛成してくれた。
だが、名称変更については反応が薄かった。
「『独立国家共同体』ですと…?
まあ、それはともかくガイア神の名前を借りることは賛成ですな」
「我々も特に反対はしない…」
だが、皮肉を言う者がいた。
「ガイア神の名前を借りるとは…フリードリヒ皇帝陛下は、モンゴル帝国を打倒して世界征服でもお考えなのですかな?」
会場の参加者は苦笑した。
「広域連合の象徴としてガイア神の名前を借りるだけだ。世界征服など考えてはいない」
「それは残念です」
会場を再び苦笑が覆った。
だが、悪魔や眷属まで全部動員すれば武力制圧するだけならできそうなところが怖いところではある。
今まで、フリードリヒは本当の意味での全力を出し切ったことがないだけに、各国代表は実感がないと思うが…
結局、表立った反対はなく、名称変更の案は可決された。
こちらは蓋を開けて見るとやはり「独立国家共同体」という名称は貴族や民衆の間になじまなかった。
結局、人々は単純に「ガイア帝国」と呼び始め、いつしかこちらが通称として定着してしまった。
だが、ドイツ語の「ライヒ」は「帝国」とも邦訳されるが、重層性に根差した、弾力性のある複雑な政治体を表現した名辞であり、端的に表現していると言えなくもない。
民衆の割り切りの方が実は鋭かったのである。
だが、トレゲネの方はしびれを切らして、バトゥ不在のままクリルタイを強行する可能性も出てきた。
再び緊張関係が高まる前に体制整備を急がねばならない。
次回の欧州条約機構の総会に向けて準備が必要だ。
フリードリヒは、外務卿のヘルムート・フォン・ミュラー、農林水産卿のアーベル・フォン・エッゲブレヒト、国土交通卿のクリスト・フォン・ボルクを呼んだ。
防衛、経済産業に引き続き、農業、国土交通分野でも国家間協力を進めるためだ。
「エッゲブレヒト卿。農業については、気候によって各国の得手不得手がある。国家間で得意な産品を融通しあうような協力関係を構築して欲しい。
特にお茶とトマトについては南方でないと生産が難しいからな。これらを生産できそうな国と信頼関係を築いてくれ」
「御意」
「ということで、ボルグ卿。そのためには各国をつなぐ交通網の整備が急務となる。国家間の協力関係を構築し、交通網の整備を急ぐのだ」
「毎度、陛下のスケールの大きさには驚かされますな。御意にございます」
「ところでミュラー卿。ここまで国際間の協力関係が広がってくると『条約機構』という名称はいかがかとおもうのだが…」
「左様にございますか…ではいかがいたしましょうか?」
「『独立国家共同体』というのはいかがであろうか?」
「はあ…」
──やっぱりそういう反応だよな…
「やはりピンとこないか…」
「そうでございますね。何しろ今まで前例のないことですので…」
「では、親しみのある名前にするために神の名を借りて、『独立国家共同体ガイア』というのはどうかな?
大地の神、ガイアの名を借りるのだ。広域の国家どうしが協力関係を築くに当たってふさわしいと思うが…」
「それは名案にございますね。そちらの方が断然親しみを持てるかと思われます」
「よし。ではそれで行こう。では、各国との調整を頼む」
「御意」
◆
アメリカ合衆国の政治学者であるチャールズ・メリアムが発表した政治権力についての学説によると、権力の基盤はミランダとクレデンタに区別され、ミランダは人間の象徴に対する非合理的な崇拝の感情であり、記念日、記念碑、国歌、国旗、制服、神話、儀式などに基づいた権力はミランダに基づいている。
クレデンタは社会で承認された同意に対する合理的な服従の信念であり、この同意は政府への尊敬、既存の権威への服従、公共のための自己犠牲、そして政府による合法性の独占によって基礎付けられる。
この二つの権力基盤は実際には別物ではなく、相互に補完し合う関係にある。
例えばロートリンゲンで使用しているロートリンゲン十字はミランダの一つである。
今回、独立国家共同体ガイアの名称に神ガイアの力を借りようということもミランダの一つである。
これを見越してナンツィヒにはガイアの神殿が建ててあり、市民の間にもなじんできている。今回、ガイア神が一挙にクローズアップされるわけだ。
──この流れで各地にガイア神殿が建てられるとよいのだが…
まあ、こういうことは強制してやることではないので、自然の流れに任せるか…
◆
それはそうと、独立国家共同体ガイアに力を入れるのは良いが、神聖帝国も連邦国家であり、いわば国の集まりだ。
そういう意味では入れ子の構造になっている訳で、独立国家共同体ガイアの力が強まっても、神聖帝国への帰属意識が薄まってもらっては困る。
神聖帝国皇帝は、選帝侯による選挙により選出される。これは一種のクレデンタだ。
そして今回切り捨ててしまったローマ教皇による戴冠というのは、ミランダとクレデンタの両面がある。
これらを踏まえ、神聖帝国の権力への帰属意識を高めるためにテコ入れをしたいところだが…
クレデンタの方はなかなか触ることが難しい。
そうするとミランダの方で手っ取り早いのは国旗と…国歌だ。
国旗については、この時代、朱色に白色で十字を抜いたシンプルなものが神聖帝国の国旗として用いられていた。
だが、やはり神聖ローマ帝国といえば双頭の鷲ではないか。
断然こっちの方がカッコいいし、インパクトもある。
国旗の方はこちらを先取りして採用するとして、問題は国歌の方だが…
この時代、国歌というものは存在していない。国歌というものは遡っても17世紀頃が一番古いと言われている。
音楽そのものがまだあまり発達していないのだから仕方がないといえばそうなのだが、この時代に国歌があって悪いということはない。
むしろ、文盲率の極めて高いこの時代、文字によるプロパガンダは難しいだけに、歌というのは効果的なのではないか?
フリードリヒは、早速、内務卿のスヴェン・フォン・ハグマイヤーを呼んだ。
「ハグマイヤー卿。欧州条約機構の方にいろいろとテコ入れをしているところなのだが…」
「それは耳にしております」
「一方で、神聖帝国への帰属意識が薄まってもらっては困るのだ」
「それは確かに。陛下のおっしゃるとおりかと…」
「そこで人々に印象づけるために国旗を変えようと思う」
「それも一案ではありますな」
「現在の国旗はシンプルに過ぎる。そこでローマ帝国でも用いられたという伝承のある双頭の鷲をモチーフにした国旗に一新しようと思うのだが、いかがか?」
「確かに印象には残りそうですな」
「では、その線で意匠作りの方を頼む」
「御意」
「それから…」
「まだ、あるのですか?」
「国歌を作りたいのだ」
「国歌? ですか?」
──やはりピンとこないか…
「歌であれば文字の読めない者も覚えられるだろう。神聖帝国と皇帝を讃える歌を作り、集会などの際に歌わせるのだ」
「はあ…歌ですか…」
「効果の方は未知数だが、やってみる価値はあると思う」
「左様でございますか…」
「とにかく、吟遊詩人などに作らせてみてくれ」
「承知いたしました」
ところが…
できてきた歌を聞いてみるとどうもピンとこない。
現代の歌を知っているフリードリヒとしては、あまりにおとなしくて単調なのだ。
仕方がない。国旗もパクったのだから、国歌もパクるか…
パクリついでだ。
神聖ローマ帝国の国歌といえば、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作曲によるオーストリア皇帝讃歌「神よ、皇帝フランツを守り給え」があまりにも有名である。
このメロディーは、数多くの讃美歌やクラシック音楽の中で用いられた、いわば大ヒットソングである。
だが、この曲が作られたのは18世紀である。そんな新しい感覚の曲がこの時代に受け入れられるだろうか?
そこで、フリードリヒは妻・愛妾や宮中伯とその家族を集め、試奏してみることにした。
「今度、帝国統合の象徴として歌を作ることにしたのだが、あまりいいものがなくてな。朕が作ってみたので、聞いてみて、忌憚のない感想を言ってもらえるだろうか?」
「「「御意」」」
──いや。「御意」じゃなくて、ダメならダメと言ってくれよ…
フリードリヒはリュートを片手に弾き語りを始めた。
もちろん「フランツ」の歌詞は「フリードリヒ」に変えてある。
神よ、皇帝フリードリヒを守りたまえ
われらが良き皇帝フリードリヒを!
皇帝に長寿あれ、
幸運の輝かしき栄光のうちに!
皇帝も行くところ
月桂樹の一枝も栄誉の花輪に繁れり!
神よ皇帝フリードリヒを守り給え、
われらが良き皇帝フリードリヒを!
歌い終わってみたが、反響がない。シーンとしている。
──やっぱり新し過ぎたか…
やがて正妻のヴィオランテがポツリと言った。
「フーちゃん。素晴らしいわ。厳かで、威厳があって、感動的で…こんな曲が作れるなんて、あなたは天才よ…」
──いや。完璧にパクリなんですけど…
素直に喜べないけど…まあいいか…
ヴィオランテの言葉を皮切りに、皆が賛辞の言葉を述べた。
表情を見る限り、いちおうお世辞ではなく、本気で言っているようだ。
ヴェロニアが言った。
「でも、ちょっと短いな。続きはないのかよ?」
「今のは1番だ。実は4番まであるんだ」
「なんだよ。出し惜しみしないで聞かせてくれよ」
「よし。それじゃあ…」
フリードリヒは調子に乗って4番まで歌う。
今度は歌い終わると拍手の嵐だった。
「旦那。カッコいいぜ。最高だ!」とヴェロニアが言うと抱きついてきた。
──これならばなんとか行けるだろう。
蓋を開けて見ると、国旗と国歌は大うけだった。
特に国歌は貴族から民衆にいたるまで大流行した。
子供までが口ずさんでいる。歌詞の意味をどこまで理解しているかは不明だが…
音楽というものは、時代を越えた普遍的なものだと実感させられた。
◆
それから程なくして欧州条約機構の総会が開催された。
前回の経済協力で効果を実感していた各国の代表たちは、農業、国土交通分野でも国家間協力についても、前向きに賛成してくれた。
だが、名称変更については反応が薄かった。
「『独立国家共同体』ですと…?
まあ、それはともかくガイア神の名前を借りることは賛成ですな」
「我々も特に反対はしない…」
だが、皮肉を言う者がいた。
「ガイア神の名前を借りるとは…フリードリヒ皇帝陛下は、モンゴル帝国を打倒して世界征服でもお考えなのですかな?」
会場の参加者は苦笑した。
「広域連合の象徴としてガイア神の名前を借りるだけだ。世界征服など考えてはいない」
「それは残念です」
会場を再び苦笑が覆った。
だが、悪魔や眷属まで全部動員すれば武力制圧するだけならできそうなところが怖いところではある。
今まで、フリードリヒは本当の意味での全力を出し切ったことがないだけに、各国代表は実感がないと思うが…
結局、表立った反対はなく、名称変更の案は可決された。
こちらは蓋を開けて見るとやはり「独立国家共同体」という名称は貴族や民衆の間になじまなかった。
結局、人々は単純に「ガイア帝国」と呼び始め、いつしかこちらが通称として定着してしまった。
だが、ドイツ語の「ライヒ」は「帝国」とも邦訳されるが、重層性に根差した、弾力性のある複雑な政治体を表現した名辞であり、端的に表現していると言えなくもない。
民衆の割り切りの方が実は鋭かったのである。
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