185 / 215
第5章 皇帝編
第167話 冒険者デビュー ~戦乙女と黒い従魔~
しおりを挟む
ブリュンヒルデ・フォン・ザクセンは、ロートリンゲン大公フリードリヒの長女である。
彼女はフリードリヒが結婚前に女神アフロディーテとの間にもうけた私生児であったが、嫡子として認知されていた。
フリードリヒは半分神の血を持つ身であるから、神との間にできた彼女は4分の3神の血を持つ神に近い存在だった。
そんな彼女には以前からやりたいことがあった。
3歳のときに魔女イゾベル・ゴーディの使い魔のジルと探検にいった黒の森が忘れられなかったのだ。
あの時は怖い思いをしたが、彼女もフリードリヒが冒険者を始めたという10歳になった。
──私もお父様のように冒険者をやってみたい…
以前からこのことを懇願されていたフリードリヒだったが、自分が10歳で冒険者を始めた手前、結局は拒み切れなかった。
──あそこは予想外に強い敵がいたりするからな、本当は心配なのだが…
◆
今日は、ブリュンヒルデが冒険者としての一歩を踏み出す日である。
「ではお父様、お義母様。行ってまいります」
お供にはリーンハルト・フォン・エーレルトを連れていく。彼は湖の乙女ヴィヴィアンがランスロットの後継として面倒を見ている男爵家の遺児で、騎士の卵なのだが、今ではすっかりブリュンヒルデの舎弟が板についてしまった。
「お供がリーンハルトだけでは不安だから、パールを連れていけ」
黒豹のニグルパール、愛称パールは、闇の上位精霊オスクリタ配下の中級レベルの闇精霊であり、フリードリヒの従魔の体をとっているが、最近はあまり出番がない。
『パール。ブリュンヒルデをしっかりたのんだぞ』
『御意』
『お嬢。よろしく頼む』
『こちらこそよろしく』
ヴィオランテが言った。
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
◆
ブリュンヒルデは、テレポーテーションでバーデン=バーデン町へ行くと、冒険者ギルドに向かう。
装備は、腰の左右にオリハルコン製の片手剣が2本の二刀流と背中には弓矢。魔法耐性を付与したジュラルミン製の胸当てと同じく魔法耐性を付与した白いマント。
すべてフリードリヒのお手製だ。
彼女は幸い発育が良く、身長は150センチを少し超えていたものの、10歳という年齢と金髪碧眼の美貌の少女ということで、冒険者になめられるであろうことは火を見るよりも明らかだった。
冒険者ギルドの建物に入ると、知らないやつが来たということで注目を浴びた。が、美貌の少女ということで、皆は冷笑している。
カウンターに向かうとチンピラっぽい人相の悪い男がからんできた。
「お嬢ちゃんよう。ここはままごと遊びする場所じゃねえんだぜ」と言うと足を投げ出してブリュンヒルデを通せんぼした。
──これはお父様が言っていた。冒険者のマウンティングってやつね。ここでなめられる訳にはいかないわ…
ブリュンヒルデは目にも止まらぬ速さで剣を抜くと男の首筋に突き付けた。刃が少し当たって、男の首には血がにじんでいる。
その場に居合わせた冒険者たちは見事な剣技に目を見張った。
ブリュンヒルデの横では黒豹のパールが唸り声を上げて威嚇している。リーンハルトもいつの間にか剣を抜いて臨戦態勢だ。
そこでギルドの職員が割り込んできた。
「お客様。ギルド内でのトラブルは困ります」
これで一息つけた。
「けっ!覚えてやがれ」
いかにも雑魚キャラなセリフを残し、因縁をつけた男たちはギルドの外に去っていった。
ブリュンヒルデが目配せをするとリーンハルトが言った。
「ところで、冒険者の新規登録をしたいのですが…」
「新規登録ですね。では、カウンターで登録用紙にご記入ください」
そしてギルト職員からギルドのシステムについて簡単な説明があった。
ブリュンヒルデたちは新規登録なので、Eランク・ウッドプレートからのスタートになる。
Eランクは見習いの扱いで薬草などの採取やごく弱い魔獣の狩猟がクエストのメインになり、Dランクからが一人前の冒険者の扱いになる。
リーンハルトが質問した。
「確か狩猟・採取を先に行って後からクエストを請けることも可能なのですよね?」
「そういうことも可能でございます」
ブリュンヒルデが言う。
「それならば、最初はクエストを絞りこまず幅広くやっていくことにしましょう。結果として上のランクの魔獣を討伐しても達成扱いにはしてくれるんですよね?」
自信満々の質問にギルド職員は一瞬怪訝そうな顔をしたが、「そこは心配ございません」と答えた。
「クエストはそちらの掲示板に貼ってありますので、ご自由に見ていってください」
「わかりました。丁寧な説明をありがとうございます」とリーンハルトがお礼を言う。
掲示板に目を通すとメインの狩猟・採取以外にも、お困りごと相談的なクエストも結構数がある。
ここまでくると何でも屋だ。
しかし、ブリュンヒルデの心は決まっていた。
黒の森での狩猟・採取の一択である。
◆
ギルドを出ると、早速、町の南にある黒の森へ向かう。パールはおとなしくブリュンヒルデの横を付かず離れずついて来る。
町の人々はパールを見ると、ぎょっとして後ずさる人もいた。
フリードリヒが冒険者をやっていた頃から10年以上経っているから知らない人も多いのだろう。
そのうちに年配の女性から声をかけられた。
「あら。黒豹ちゃん。お久しぶりね。あなた白銀のアレクさんのお知り合いなの?」
一瞬どう答えるか躊躇したが、無難なところで応える。
「ええ。実は娘なんです」
「アレクさんにこんな美人の娘さんがいるなんて…私も歳をとるはずだわ。あなたも冒険者をやるのね。血筋は争えないものね」
「ええ。そうですね…」と適当に答える。
「じゃあ。頑張ってね」
「ありがとうございます」
◆
そして黒の森に着いた。
ブリュンヒルデたちは3歳のときの苦い経験もあるので、背伸びするつもりは全くない。
「まずは、Eランクの駆け出しらしく採取をメインにして、あとはエンカウントした獣や魔獣を適宜狩っていきましょう」
薬効のある薬草や食べられる山菜の種類や植生はハイエルフのネライダや神ヘスティアに習って既に学習済みだ。
パールに周辺を警戒させ、ブリュンヒルデとリーンハルトは採取に集中することにする。
獣や魔獣にエンカウントしたときは、パールが教えてくれる。
まだ、森の浅い場所なので、一角ラビットや土の轢弾を飛ばしてくるソイル・モールぐらいしか出没しない。これらは体も小さいので、よほど追い詰めたりしない限り、人間に向かってきたりはしない。
発見したら2人が弓で仕留め、パールがダッシュで取り押さえるという単純作業を繰り返している。
採取に夢中になっていたら次第に森の奥へ侵入していた。魔獣もファイアボア―などの中型が増えてきたので、2人と一匹で連携して倒していった。
そのうちアイスグリズリーなどの大型の魔獣も混じってきたが、気にせず機械的に倒していく。
採取した大量の植物・野草や魔獣は、フリードリヒから借り受けたストレージの魔法をエンチャントしたポーチにどんどん収納していった。
太陽がずいぶんと西に傾いてきたので町に戻りギルドへ向かう。
ギルドに到着すると、早速買取カウンターで買取を依頼した。
リーンハルトが困ったように言った
「量が多くてカウンターに乗り切れないのですが、どうしたらいいでしょうか?」
「しかし、そんなに荷物が多いように見えませんが…」
「それは、このポーチがストレージをエンチャントしたマジックバッグでして…」
「もしかして白銀のアレクさんのご関係者ですか?」
「まあ、そんなものです」ととっさに言い訳する。
どこに行っても白銀のアレクの影があって、なんだかやり難い。
「それでは倉庫の方に案内しますので、おいでください」
ギルドの倉庫にどんどん放出していくと、ギルド職員は一瞬驚いた顔をしていた。
「あなたは今日新規登録された冒険者さんですよね。ですが、さすがアレクさんの関係者ですね。今日1日でこの量とは…」
「はあ…恐れ入ります…」
「この量ですと買い取り額の査定には2・3日かかります。査定が終わりましたら、ギルドの口座に入金しておきますので…。
それから通常の山菜や獣も混じっていますね。これらは八百屋や肉屋で売ってください」
「それもそうですね。失礼いたしました」
山菜・獣肉を再度収納したが、それほど量はなく、結果、倉庫の半分以上をブリュンヒルデたちの獲物で占拠してしまった。
帰りに八百屋と肉屋に立ち寄り、山菜と獣肉を売ったが、新鮮で質が良く採り方も丁寧だということで結構な高額で売れ、銀貨10枚とちょっとになった。
この調子なら悪くない。明日からも頑張ろう。
◆
狩猟を終わり、ブリュンヒルデたちはホーエンバーデン城へ向かった。
ナンツィヒからテレポーテーションで通えないこともないのだが、せっかくフリードリヒの実家があるのだから、そこを拠点にしない手はない。当然、事前に話は通してある。
門番のところでブリュンヒルデは堂々と言った。
「ロートリンゲン公フリードリヒの娘、ブリュンヒルデです。通してもらいますよ」
「ど、どうぞお通りください」
門番たちは、その美貌と堂々たる態度にあっけにとられている。
城へ入ると、城主のヘルマンⅣ世とフリードリヒの兄のヘルマンⅤ世が迎えてくれた。
ヘルマンⅢ世は高齢のため、息子に家督を譲って引退していた。
「お久しぶりです。おじい様、伯父様。お出迎えありがとう存じます」
「いやあ。ブリュンヒルデも綺麗になって…見違えたぞ」
「そんな…お世辞は不要ですわ」
「いや…お世辞ではないぞ」
そう言っている横にブリュンヒルデと同年輩の少年が立っているが、なぜかリーンハルトと睨みあっている。ヘルマンⅤ世の息子のヘルマンⅥ世である。
ブリュンヒルデはヘルマンⅥ世に声をかけた。
「お久しぶりです。ヘルマン様。これからお世話になります」
「あ、ああ。君も見たところ元気そうでなによりだ。我が家だと思ってゆっくりと過ごしてくれ」
「ありがとうございます」とブリュンヒルデは優雅に礼をした。
ヘルマンⅥ世の顔がみるみるうちに赤くなる。
だが、ブリュンヒルデはそのことに気づいていないようだ。
──これは黒の森よりも、お城の方がたいへんだな…
リーンハルトは、これから一波乱ありそうだなと気が重くなった。
彼女はフリードリヒが結婚前に女神アフロディーテとの間にもうけた私生児であったが、嫡子として認知されていた。
フリードリヒは半分神の血を持つ身であるから、神との間にできた彼女は4分の3神の血を持つ神に近い存在だった。
そんな彼女には以前からやりたいことがあった。
3歳のときに魔女イゾベル・ゴーディの使い魔のジルと探検にいった黒の森が忘れられなかったのだ。
あの時は怖い思いをしたが、彼女もフリードリヒが冒険者を始めたという10歳になった。
──私もお父様のように冒険者をやってみたい…
以前からこのことを懇願されていたフリードリヒだったが、自分が10歳で冒険者を始めた手前、結局は拒み切れなかった。
──あそこは予想外に強い敵がいたりするからな、本当は心配なのだが…
◆
今日は、ブリュンヒルデが冒険者としての一歩を踏み出す日である。
「ではお父様、お義母様。行ってまいります」
お供にはリーンハルト・フォン・エーレルトを連れていく。彼は湖の乙女ヴィヴィアンがランスロットの後継として面倒を見ている男爵家の遺児で、騎士の卵なのだが、今ではすっかりブリュンヒルデの舎弟が板についてしまった。
「お供がリーンハルトだけでは不安だから、パールを連れていけ」
黒豹のニグルパール、愛称パールは、闇の上位精霊オスクリタ配下の中級レベルの闇精霊であり、フリードリヒの従魔の体をとっているが、最近はあまり出番がない。
『パール。ブリュンヒルデをしっかりたのんだぞ』
『御意』
『お嬢。よろしく頼む』
『こちらこそよろしく』
ヴィオランテが言った。
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
◆
ブリュンヒルデは、テレポーテーションでバーデン=バーデン町へ行くと、冒険者ギルドに向かう。
装備は、腰の左右にオリハルコン製の片手剣が2本の二刀流と背中には弓矢。魔法耐性を付与したジュラルミン製の胸当てと同じく魔法耐性を付与した白いマント。
すべてフリードリヒのお手製だ。
彼女は幸い発育が良く、身長は150センチを少し超えていたものの、10歳という年齢と金髪碧眼の美貌の少女ということで、冒険者になめられるであろうことは火を見るよりも明らかだった。
冒険者ギルドの建物に入ると、知らないやつが来たということで注目を浴びた。が、美貌の少女ということで、皆は冷笑している。
カウンターに向かうとチンピラっぽい人相の悪い男がからんできた。
「お嬢ちゃんよう。ここはままごと遊びする場所じゃねえんだぜ」と言うと足を投げ出してブリュンヒルデを通せんぼした。
──これはお父様が言っていた。冒険者のマウンティングってやつね。ここでなめられる訳にはいかないわ…
ブリュンヒルデは目にも止まらぬ速さで剣を抜くと男の首筋に突き付けた。刃が少し当たって、男の首には血がにじんでいる。
その場に居合わせた冒険者たちは見事な剣技に目を見張った。
ブリュンヒルデの横では黒豹のパールが唸り声を上げて威嚇している。リーンハルトもいつの間にか剣を抜いて臨戦態勢だ。
そこでギルドの職員が割り込んできた。
「お客様。ギルド内でのトラブルは困ります」
これで一息つけた。
「けっ!覚えてやがれ」
いかにも雑魚キャラなセリフを残し、因縁をつけた男たちはギルドの外に去っていった。
ブリュンヒルデが目配せをするとリーンハルトが言った。
「ところで、冒険者の新規登録をしたいのですが…」
「新規登録ですね。では、カウンターで登録用紙にご記入ください」
そしてギルト職員からギルドのシステムについて簡単な説明があった。
ブリュンヒルデたちは新規登録なので、Eランク・ウッドプレートからのスタートになる。
Eランクは見習いの扱いで薬草などの採取やごく弱い魔獣の狩猟がクエストのメインになり、Dランクからが一人前の冒険者の扱いになる。
リーンハルトが質問した。
「確か狩猟・採取を先に行って後からクエストを請けることも可能なのですよね?」
「そういうことも可能でございます」
ブリュンヒルデが言う。
「それならば、最初はクエストを絞りこまず幅広くやっていくことにしましょう。結果として上のランクの魔獣を討伐しても達成扱いにはしてくれるんですよね?」
自信満々の質問にギルド職員は一瞬怪訝そうな顔をしたが、「そこは心配ございません」と答えた。
「クエストはそちらの掲示板に貼ってありますので、ご自由に見ていってください」
「わかりました。丁寧な説明をありがとうございます」とリーンハルトがお礼を言う。
掲示板に目を通すとメインの狩猟・採取以外にも、お困りごと相談的なクエストも結構数がある。
ここまでくると何でも屋だ。
しかし、ブリュンヒルデの心は決まっていた。
黒の森での狩猟・採取の一択である。
◆
ギルドを出ると、早速、町の南にある黒の森へ向かう。パールはおとなしくブリュンヒルデの横を付かず離れずついて来る。
町の人々はパールを見ると、ぎょっとして後ずさる人もいた。
フリードリヒが冒険者をやっていた頃から10年以上経っているから知らない人も多いのだろう。
そのうちに年配の女性から声をかけられた。
「あら。黒豹ちゃん。お久しぶりね。あなた白銀のアレクさんのお知り合いなの?」
一瞬どう答えるか躊躇したが、無難なところで応える。
「ええ。実は娘なんです」
「アレクさんにこんな美人の娘さんがいるなんて…私も歳をとるはずだわ。あなたも冒険者をやるのね。血筋は争えないものね」
「ええ。そうですね…」と適当に答える。
「じゃあ。頑張ってね」
「ありがとうございます」
◆
そして黒の森に着いた。
ブリュンヒルデたちは3歳のときの苦い経験もあるので、背伸びするつもりは全くない。
「まずは、Eランクの駆け出しらしく採取をメインにして、あとはエンカウントした獣や魔獣を適宜狩っていきましょう」
薬効のある薬草や食べられる山菜の種類や植生はハイエルフのネライダや神ヘスティアに習って既に学習済みだ。
パールに周辺を警戒させ、ブリュンヒルデとリーンハルトは採取に集中することにする。
獣や魔獣にエンカウントしたときは、パールが教えてくれる。
まだ、森の浅い場所なので、一角ラビットや土の轢弾を飛ばしてくるソイル・モールぐらいしか出没しない。これらは体も小さいので、よほど追い詰めたりしない限り、人間に向かってきたりはしない。
発見したら2人が弓で仕留め、パールがダッシュで取り押さえるという単純作業を繰り返している。
採取に夢中になっていたら次第に森の奥へ侵入していた。魔獣もファイアボア―などの中型が増えてきたので、2人と一匹で連携して倒していった。
そのうちアイスグリズリーなどの大型の魔獣も混じってきたが、気にせず機械的に倒していく。
採取した大量の植物・野草や魔獣は、フリードリヒから借り受けたストレージの魔法をエンチャントしたポーチにどんどん収納していった。
太陽がずいぶんと西に傾いてきたので町に戻りギルドへ向かう。
ギルドに到着すると、早速買取カウンターで買取を依頼した。
リーンハルトが困ったように言った
「量が多くてカウンターに乗り切れないのですが、どうしたらいいでしょうか?」
「しかし、そんなに荷物が多いように見えませんが…」
「それは、このポーチがストレージをエンチャントしたマジックバッグでして…」
「もしかして白銀のアレクさんのご関係者ですか?」
「まあ、そんなものです」ととっさに言い訳する。
どこに行っても白銀のアレクの影があって、なんだかやり難い。
「それでは倉庫の方に案内しますので、おいでください」
ギルドの倉庫にどんどん放出していくと、ギルド職員は一瞬驚いた顔をしていた。
「あなたは今日新規登録された冒険者さんですよね。ですが、さすがアレクさんの関係者ですね。今日1日でこの量とは…」
「はあ…恐れ入ります…」
「この量ですと買い取り額の査定には2・3日かかります。査定が終わりましたら、ギルドの口座に入金しておきますので…。
それから通常の山菜や獣も混じっていますね。これらは八百屋や肉屋で売ってください」
「それもそうですね。失礼いたしました」
山菜・獣肉を再度収納したが、それほど量はなく、結果、倉庫の半分以上をブリュンヒルデたちの獲物で占拠してしまった。
帰りに八百屋と肉屋に立ち寄り、山菜と獣肉を売ったが、新鮮で質が良く採り方も丁寧だということで結構な高額で売れ、銀貨10枚とちょっとになった。
この調子なら悪くない。明日からも頑張ろう。
◆
狩猟を終わり、ブリュンヒルデたちはホーエンバーデン城へ向かった。
ナンツィヒからテレポーテーションで通えないこともないのだが、せっかくフリードリヒの実家があるのだから、そこを拠点にしない手はない。当然、事前に話は通してある。
門番のところでブリュンヒルデは堂々と言った。
「ロートリンゲン公フリードリヒの娘、ブリュンヒルデです。通してもらいますよ」
「ど、どうぞお通りください」
門番たちは、その美貌と堂々たる態度にあっけにとられている。
城へ入ると、城主のヘルマンⅣ世とフリードリヒの兄のヘルマンⅤ世が迎えてくれた。
ヘルマンⅢ世は高齢のため、息子に家督を譲って引退していた。
「お久しぶりです。おじい様、伯父様。お出迎えありがとう存じます」
「いやあ。ブリュンヒルデも綺麗になって…見違えたぞ」
「そんな…お世辞は不要ですわ」
「いや…お世辞ではないぞ」
そう言っている横にブリュンヒルデと同年輩の少年が立っているが、なぜかリーンハルトと睨みあっている。ヘルマンⅤ世の息子のヘルマンⅥ世である。
ブリュンヒルデはヘルマンⅥ世に声をかけた。
「お久しぶりです。ヘルマン様。これからお世話になります」
「あ、ああ。君も見たところ元気そうでなによりだ。我が家だと思ってゆっくりと過ごしてくれ」
「ありがとうございます」とブリュンヒルデは優雅に礼をした。
ヘルマンⅥ世の顔がみるみるうちに赤くなる。
だが、ブリュンヒルデはそのことに気づいていないようだ。
──これは黒の森よりも、お城の方がたいへんだな…
リーンハルトは、これから一波乱ありそうだなと気が重くなった。
1
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる