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ソメイヨシノ
私の周り
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「おはよーハルカぁー」
朝、いつもの通学路でユキネが抱き着いてくる。
(女子ってこうやって抱き着いてくるの未だに慣れない。)
入学式からしばらくたった。
何の因果かユキネと仲良くなった私は、だいぶ学校にも慣れてきた。
ただしクラスではまだあまり馴染めない。
ユキネはというとどんな人とも話せる。入学式終わってから数日は、私がユキネと話すのも四苦八苦していた時に、いつの間にかどんどん話せる人を増やしていたようだ。
同じ制服の人達がユキネに挨拶をしている。
ユキネはそれに笑顔で返す。
私はまるで見えてないみたいに周りからスルーされている。
いろんなもの達がユキネを見て、「模範的な優等生」と褒め称える。
いろんな噂をしている花たちでさえ彼女が近づくと、その容姿や振る舞いを見て、「綺麗」といっそう話に花を咲かせた。
当たり前のように私の話は一切出てこない。
比較されるのも嫌だけど、ここまで気にされないのも不思議だ。
「…ユキネってさ、すごいね。
みんなから好かれてる。」
嫉妬とか、羨望とか、そういうの無しにただすごいと思った。
ユキネがキョトンとした顔になる。
(まずい、言ったらいけなかったかも。)
必死にどう言い訳しようかとワタワタしていると、ユキネが嬉しそうに言った。
「なんかハルカに褒められると照れちゃうよ。ありがとう。」
(よかった、嬉しそう。)
それに続けてユキネが、
「ありがとうついでにもっと褒めてよ。」
と、少し恥ずかしそうに言った。
少し、いや、だいぶ意外だ。
「褒められるの好きなの?」
「んーなんかさ、ハルカから褒められると不思議とめっちゃ嬉しいんだよね。ほら、周りの人は褒めててもなんか怖いの。ハルカは純真な褒め言葉だからかな。」
よく周りを見ている。
(悪い気はしない。信用してもらえてるって事なのかな。)
「えっと…じゃあ、とりあえずいい所いえばいいの?」
「そうそう、じゃんじゃんお願いします!」
おどけてユキネがそう言う。
「んー」
少し考えると沢山いい所が出てきた。
「明るくて、周りが一気に楽しくなれるような雰囲気が作れるところ。」
「うんうん」
「成績はいつも学年上位だし」
「うん」
「センスもあるし」
「おぉ」
「どんな人とも分け隔てなく仲良くしてるし」
「よく見てるねー」
「道徳心もあるでしょ」
「もーめっちゃほめてくれるじゃん!!やっぱり照れるから終わり!!」
顔を真っ赤にしながら私の肩をばしばしと叩く。
まだまだ言い足りないけど、ユキネがいいって言ってるしいいか。
色白なユキネは顔が赤くなるとわかりやすい。まだ顔を赤くしながら恥ずかしそうにしている。
こういう素直な所とか、自分を伝えるのが上手な所とか、まだまだいっぱいいいところがある。
「てか今日風強いねー、春一番っていうんだっけ?」
ユキネが髪をおさえながら言った。
「確かに。」
風達が花を散らしながら走っている。
走った後を追うように花びらが舞うのでまるで魔法でも見ているようだ。
花達は木から離れまいと必死にしがみつくが風を前にそれは無力でしかなかった。
風達はそれを見ていっそう楽しそうにする。
ハルカががぼーっとそれを見ているとユキネが不思議そうに、どこか楽しそうに聞いた。
「何見てんの?」
その声ではっとしたハルカは咄嗟に、なんでもないと笑った。
いくらユキネみたいな優しい人でもきっとこれを理解できることは無いと思ったからだ。
これを誰かに話す事は、ハルカは考えていない。
それは普通とはかけ離れていて、普通からは異端に見える。
ユキネは普通で、ハルカは異端。
でも今くらいは普通に混じっていたいと思うから。
......................................................
つまらない授業は私の学力を下げることに歯止めをかけられない。
真面目キャラなのに全く勉強の出来ない私は、授業中はノートに落書きをする。
板書はきちんと取りながらも隣のページは落書きだらけになっている。
(まだ、風強いみたいだな)
外からは朝とは比べ物にならないくらいの声が聞こえる。
この時期は本当につらい。
どうにか意識を保つのがやっとで、もう先生の声なんて聞いていられない。
彼らは体を引き裂かれる痛みに、どうしても抗えない運命に、必死に大声で抵抗している。
泣き叫んで、泣き叫んで、どうしたってそれは来てしまうものでも、死にものぐるいでしがみつく。
その様子を見て風達はキャッキャッと無邪気に、残酷に走り回る。
(つらい)
(見るのをやめても、耳に入ってくる)
(耳を塞いでも、頭の中に感情がなだれ込んでくる)
(今倒れたらダメなのに)
昼前の暖かな陽気の中、
私はゆっくりと意識を手放した。
朝、いつもの通学路でユキネが抱き着いてくる。
(女子ってこうやって抱き着いてくるの未だに慣れない。)
入学式からしばらくたった。
何の因果かユキネと仲良くなった私は、だいぶ学校にも慣れてきた。
ただしクラスではまだあまり馴染めない。
ユキネはというとどんな人とも話せる。入学式終わってから数日は、私がユキネと話すのも四苦八苦していた時に、いつの間にかどんどん話せる人を増やしていたようだ。
同じ制服の人達がユキネに挨拶をしている。
ユキネはそれに笑顔で返す。
私はまるで見えてないみたいに周りからスルーされている。
いろんなもの達がユキネを見て、「模範的な優等生」と褒め称える。
いろんな噂をしている花たちでさえ彼女が近づくと、その容姿や振る舞いを見て、「綺麗」といっそう話に花を咲かせた。
当たり前のように私の話は一切出てこない。
比較されるのも嫌だけど、ここまで気にされないのも不思議だ。
「…ユキネってさ、すごいね。
みんなから好かれてる。」
嫉妬とか、羨望とか、そういうの無しにただすごいと思った。
ユキネがキョトンとした顔になる。
(まずい、言ったらいけなかったかも。)
必死にどう言い訳しようかとワタワタしていると、ユキネが嬉しそうに言った。
「なんかハルカに褒められると照れちゃうよ。ありがとう。」
(よかった、嬉しそう。)
それに続けてユキネが、
「ありがとうついでにもっと褒めてよ。」
と、少し恥ずかしそうに言った。
少し、いや、だいぶ意外だ。
「褒められるの好きなの?」
「んーなんかさ、ハルカから褒められると不思議とめっちゃ嬉しいんだよね。ほら、周りの人は褒めててもなんか怖いの。ハルカは純真な褒め言葉だからかな。」
よく周りを見ている。
(悪い気はしない。信用してもらえてるって事なのかな。)
「えっと…じゃあ、とりあえずいい所いえばいいの?」
「そうそう、じゃんじゃんお願いします!」
おどけてユキネがそう言う。
「んー」
少し考えると沢山いい所が出てきた。
「明るくて、周りが一気に楽しくなれるような雰囲気が作れるところ。」
「うんうん」
「成績はいつも学年上位だし」
「うん」
「センスもあるし」
「おぉ」
「どんな人とも分け隔てなく仲良くしてるし」
「よく見てるねー」
「道徳心もあるでしょ」
「もーめっちゃほめてくれるじゃん!!やっぱり照れるから終わり!!」
顔を真っ赤にしながら私の肩をばしばしと叩く。
まだまだ言い足りないけど、ユキネがいいって言ってるしいいか。
色白なユキネは顔が赤くなるとわかりやすい。まだ顔を赤くしながら恥ずかしそうにしている。
こういう素直な所とか、自分を伝えるのが上手な所とか、まだまだいっぱいいいところがある。
「てか今日風強いねー、春一番っていうんだっけ?」
ユキネが髪をおさえながら言った。
「確かに。」
風達が花を散らしながら走っている。
走った後を追うように花びらが舞うのでまるで魔法でも見ているようだ。
花達は木から離れまいと必死にしがみつくが風を前にそれは無力でしかなかった。
風達はそれを見ていっそう楽しそうにする。
ハルカががぼーっとそれを見ているとユキネが不思議そうに、どこか楽しそうに聞いた。
「何見てんの?」
その声ではっとしたハルカは咄嗟に、なんでもないと笑った。
いくらユキネみたいな優しい人でもきっとこれを理解できることは無いと思ったからだ。
これを誰かに話す事は、ハルカは考えていない。
それは普通とはかけ離れていて、普通からは異端に見える。
ユキネは普通で、ハルカは異端。
でも今くらいは普通に混じっていたいと思うから。
......................................................
つまらない授業は私の学力を下げることに歯止めをかけられない。
真面目キャラなのに全く勉強の出来ない私は、授業中はノートに落書きをする。
板書はきちんと取りながらも隣のページは落書きだらけになっている。
(まだ、風強いみたいだな)
外からは朝とは比べ物にならないくらいの声が聞こえる。
この時期は本当につらい。
どうにか意識を保つのがやっとで、もう先生の声なんて聞いていられない。
彼らは体を引き裂かれる痛みに、どうしても抗えない運命に、必死に大声で抵抗している。
泣き叫んで、泣き叫んで、どうしたってそれは来てしまうものでも、死にものぐるいでしがみつく。
その様子を見て風達はキャッキャッと無邪気に、残酷に走り回る。
(つらい)
(見るのをやめても、耳に入ってくる)
(耳を塞いでも、頭の中に感情がなだれ込んでくる)
(今倒れたらダメなのに)
昼前の暖かな陽気の中、
私はゆっくりと意識を手放した。
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