タイムスリップした私は、前世の『私』を助けようと思います!

夜船 紡

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階段から滑り落ちたら、前世を思い出す。
そんな漫画や物語みたいなことが本当にあるなんて思いもしなかった。


ふと気がつくと私は綺麗なドレスに包まれていた。
意識はあるのに、自由に身体は動かず、私は真っ直ぐ前を向いて煌びやかな広場に歩いていく。
その姿は凛として美しいものですぐに周りに人が集まり始め、警告のようにそれ以上行ってはいけないと声をかけてくれる。誰もが辛そうに止める。
それでも私は、そんな人々を制して、中央へと向かう。
そこには、仲睦まじそうに肩を寄り添うあう男女の姿があった。中央にいる男女を見つめる人々の顔は険しく怖いものばかり。
どうして?と辺りを見渡せば、その目の前の男女が私を凄く罵ってくる。

「知ってるんだぞ!~~を虐げたこと!」
「~~様を、お金で縛るなんて酷いっ!愛を知らないなんてかわいそうっ!!」

え、何?お金で縛るってどういうこと???
女の方はピンクの可愛らしいドレスを着ながら、シクシクと涙を流して、けれど、口元はにやけて、私にお金で男性を婚約者にしたと責めてくる。
男性は、そんな彼女を抱きしめながら、「口煩く、傲慢なお前にはうんざりだ。別れてくれっ」と怒りながら言ってくる。
私は、私は・・・そんなつもりはないのに。
何か言おうとしても言葉は出ず、口がぱくぱくと動くだけ。ぐるぐると思考が回る。
目の前の2人も、それを見ている人々も、広場もぐるぐると回って闇の中へ———・・・



パチリと眼を覚ましたとき、私は涙を流していた。
えっと、私は移動教室のために階段を降りている最中で・・・それで、階段から滑り落ち・・・た?
ズキズキと痛む頭や身体を抱きしめながらも、目覚めたばかりだからか、何処かぼんやりとしている。
・・・何処か消毒液の匂いがする白いベット。
此処は、医務室か。

「リーナ、大丈夫ー?」

リーナ。私の名前、新島ありしま利奈りなの利奈の真ん中をわざと伸ばした言い方で声をかけてきたのは、桜高さくらだがアリサ。
ニマニマとした、心配なんて1つもしてないような顔で平気で「心配したんだよー?階段から落っこちちゃうなんてドジなんだからー」と私の仮説が正しかった事を証明してくれた。
しかし、言い訳をするならば、彼女が上の段で突然立ち止まり、振り向いたりしなければ階段を踏み外すことはなかったと思う。
紗奈は、校則違反の茶髪に軽い化粧をした少し遊んでる風の少女だ。最近噂のフレンドのフリをした敵をフレネミーというらしいが、私にとっては彼女がそうであった。
本人は、自称で私の親友を名乗っているらしいが・・・。
私が彼女をそう思うのには理由がある。
一緒に買い物に行けば、いいなぁと言ったその服を。
恋話で好きな人を言えば、次の日には彼女がその人にアタックを。
誰から見てもわかりやすいぐらい敵対心を燃やしているのがわかるのに、彼女は私を無二の親友だという。
・・・彼女の顔が、夢の中の少女とかぶって見えた。

「そーいえばさー。リーナを助けたの、景文先生なんだよねぇー」

景文かげふみ直斗なおと先生は、去年から来た新人教師で、クール美人系のイケメンで、女子生徒に人気がある先生だが、いいなぁーと本気で羨ましそうにいう彼女に、頭を打ったわけではないはずなのに、クラクラする。下手したら、死んでたかもしれない一応友人に対して、いうことがそれ?

「・・・ちょっと、まだよくないみたいだから先生に言って帰るね」
「えー!今日、買い物に付き合ってくれる約束したじゃない!」
「うん、ごめんね・・・」

これ以上話をしたくなくて、早々に話を切り上げようというと、仮にも親友を名乗るのに、私の体調不良よりも自身の買い物を優先する。そう思いつつも、約束を守らなかったのは自分だからと、今度ケーキを奢る約束をして、ようやく静かになった彼女を置いて、私はズキズキと未だに痛む頭を抑えながら帰路へとついた。
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