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あまりの顔色の悪さに家まで送ろうかと心配そうに言ってくれた通りすがりの先生を丁寧にお断りして、何とか、家にたどり着くと部屋のベットに横になり、改めて先ほどの夢の事を思いかえした。
あのドレスを着ていた女性は、『私』だ。
『私』の一生は細部まで思い出せるもの。
そう・・・伯爵令嬢ではあるものの、父が画期的な発明をしてその国1番の富豪と呼ばれ、『私』も、とても贅沢をさせてもらうことができていたこと。
父も母も優しく、『私』のことを本当によく可愛がってくれており、たった1人の兄もまた『私』を猫可愛がりしていたこと。——兄は多分、今でいうとシスコンというやつだろう——
そんな『私』は、公爵家の御子息との婚約話を持ち出された。公爵家の狙いは勿論、金のなる木であった『私』の実家だ。公爵家は家柄は上位ではあるが、金鉱探しにチャレンジしては失敗し、ギャンブルでは大負けと、かなり生活に圧迫されるほどお金に不自由していたのだ。
そうして、担保として差し出されたのが御子息であり、『私』の婚約者となることになった彼だ。
公爵家との婚約が成り立てば、うちもまた上級社会での後ろ盾も出来る。また、公爵家に恩を売るのも悪くない、と婚約を了承したのだ。
そもそも、自分達より上の位である彼らに逆らう事なんて出来なかったしね。
13歳の婚約成立から、ずっと我が家は公爵家の財布をしてきた。公爵家は我が家という支援者を得た事でまた贅沢三昧をし始めた。その支払いは当然の如く我が家だった。
ぶっちゃけた話、我が家よりも公爵家の方の家計のが支出が多かった。それでも、親が我慢してくれたのは、『私』がその婚約者に一目惚れしたからだ。
1歳年上の婚約者となった男性は素敵な人だったのだ。
少なくても、当時の『私』にとっては・・・。
憂いを帯びた瞳。さらりとした髪。すらりとした身体。
『私』は、彼を一目見て気に入ってしまった。
今思うと、あの時の憂いを帯びたように見えた瞳は、めんどくさそうにしていたんだなぁ。
最初は彼も『私』に対してにこやかだったし、優しかった。けれども、彼は『私』が学園に入った頃からだんだん冷たくなって、『私』以外の女性とよく話すようになった。そして、特定の女性との噂が流れ始めた。
ただの友人だと思いたかった。
けれども、抱きしめたり、髪にキスをしたりとどう見ても友人の枠を超えていた。
だから、女性の方に彼は『私』の婚約者だからあまり近づかないで欲しいと頼んだ。
けれども、女性は、それを失笑して「貴方に魅力がないからでしょう?」と言い、余計に彼にまとわりつくようになった。そして、女性は彼に『私』にキツく近づかないでと詰め寄られたと泣いていたらしい。それを聞いた彼は彼女の言葉を信じ、『私』が16の時、こっ酷く振った。
学園を卒業し、貴族の仲間入りを果たすデビュタントの、貴族にとって最も輝かしい日に、大勢の人の前で。
私はとても深く傷つき、それ以降、屋敷の奥深くで泣き崩れる日々を送ることとなった。
父や母は、最初は憤慨して怒ってくれていたが、しばらくすると噂話の火を消す為に忙しくなり、それどころではなくなって忙しくなり会話も無くなってしまった。
また、兄とも顔を合わせることがなくなってしまった。
私は、振られたことと、そんな家族の様子に自分は愛する家族のお荷物になってしまったのだと、心が病んで、療養の為に、王都から離れた森の別荘へと移り住み、冬の湖で冷たい水に抱かれて永遠の眠りについたのだ———・・・
これって、私の昔の記憶なのかな?
俗にいう前世ってやつ?
でもさ、この私、全然悪くないんだよね・・・
だって、元々公爵家からの申込みで断れない状況だったし。
しかも、彼が着ていた服も、彼女にプレゼントしていた服も、全部元々は伯爵家のお金だ。
誰のおかげで生活できてたと思ってんだ!!
待って、悲しみ通り越して今更ながら苛立ってきたぞ・・・。
今の私ならば絶対にしない選択だよなぁ。
「んっもー!『私』ときたら情けない!!どうせならガッツリ仕返してやればよかったのにっ!!」
その時、お父さんの海外のお土産で貰ったネックレスが光り始めた。
「え、な、何ーっ!?」
そして、私はその光に包まれ消えた。
(ああ、そういえば、あのネックレスって・・・)
あのドレスを着ていた女性は、『私』だ。
『私』の一生は細部まで思い出せるもの。
そう・・・伯爵令嬢ではあるものの、父が画期的な発明をしてその国1番の富豪と呼ばれ、『私』も、とても贅沢をさせてもらうことができていたこと。
父も母も優しく、『私』のことを本当によく可愛がってくれており、たった1人の兄もまた『私』を猫可愛がりしていたこと。——兄は多分、今でいうとシスコンというやつだろう——
そんな『私』は、公爵家の御子息との婚約話を持ち出された。公爵家の狙いは勿論、金のなる木であった『私』の実家だ。公爵家は家柄は上位ではあるが、金鉱探しにチャレンジしては失敗し、ギャンブルでは大負けと、かなり生活に圧迫されるほどお金に不自由していたのだ。
そうして、担保として差し出されたのが御子息であり、『私』の婚約者となることになった彼だ。
公爵家との婚約が成り立てば、うちもまた上級社会での後ろ盾も出来る。また、公爵家に恩を売るのも悪くない、と婚約を了承したのだ。
そもそも、自分達より上の位である彼らに逆らう事なんて出来なかったしね。
13歳の婚約成立から、ずっと我が家は公爵家の財布をしてきた。公爵家は我が家という支援者を得た事でまた贅沢三昧をし始めた。その支払いは当然の如く我が家だった。
ぶっちゃけた話、我が家よりも公爵家の方の家計のが支出が多かった。それでも、親が我慢してくれたのは、『私』がその婚約者に一目惚れしたからだ。
1歳年上の婚約者となった男性は素敵な人だったのだ。
少なくても、当時の『私』にとっては・・・。
憂いを帯びた瞳。さらりとした髪。すらりとした身体。
『私』は、彼を一目見て気に入ってしまった。
今思うと、あの時の憂いを帯びたように見えた瞳は、めんどくさそうにしていたんだなぁ。
最初は彼も『私』に対してにこやかだったし、優しかった。けれども、彼は『私』が学園に入った頃からだんだん冷たくなって、『私』以外の女性とよく話すようになった。そして、特定の女性との噂が流れ始めた。
ただの友人だと思いたかった。
けれども、抱きしめたり、髪にキスをしたりとどう見ても友人の枠を超えていた。
だから、女性の方に彼は『私』の婚約者だからあまり近づかないで欲しいと頼んだ。
けれども、女性は、それを失笑して「貴方に魅力がないからでしょう?」と言い、余計に彼にまとわりつくようになった。そして、女性は彼に『私』にキツく近づかないでと詰め寄られたと泣いていたらしい。それを聞いた彼は彼女の言葉を信じ、『私』が16の時、こっ酷く振った。
学園を卒業し、貴族の仲間入りを果たすデビュタントの、貴族にとって最も輝かしい日に、大勢の人の前で。
私はとても深く傷つき、それ以降、屋敷の奥深くで泣き崩れる日々を送ることとなった。
父や母は、最初は憤慨して怒ってくれていたが、しばらくすると噂話の火を消す為に忙しくなり、それどころではなくなって忙しくなり会話も無くなってしまった。
また、兄とも顔を合わせることがなくなってしまった。
私は、振られたことと、そんな家族の様子に自分は愛する家族のお荷物になってしまったのだと、心が病んで、療養の為に、王都から離れた森の別荘へと移り住み、冬の湖で冷たい水に抱かれて永遠の眠りについたのだ———・・・
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でもさ、この私、全然悪くないんだよね・・・
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その時、お父さんの海外のお土産で貰ったネックレスが光り始めた。
「え、な、何ーっ!?」
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