タイムスリップした私は、前世の『私』を助けようと思います!

夜船 紡

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ヴィーグさんを呼ぶと彼はギクリとしたようにわかりやすい作り笑顔をこちらに向けた。

「もしかして、この原因ってヴィーグさんですか?」
「おや、思っていたよりも単刀直入に聞きましたね。その答えはイエスであり、ノーでもあります」
「というと?」
の私が呼んだのではなく、の私が、貴方の時代の私に働きかけたのです」
「なぜ、そんなことをっ!」
の主の為です」

はっきりと言い切った彼に迷いはなかった。

「私は、過去も、今も、そして未来も主人であるフェルデ様の為に全力を尽くしています」
「それとこれとどう関係が・・・」
「・・・の貴方の死がフェルデ様に何かしらの影響を与えたのでしょう。そして、それを食い止める為にもまた、危険を犯して貴方をここへ呼び寄せた。来るべき未来を回避する為に」
「どうやったら帰れるんですか?まさかこのまま??」

自分で言った言葉に私は蒼ざめたが、彼は首を振って「帰れますよ」と言った。

「同じ時代に同じ魂が2つ。世界がそれを許すはずがないのです。ですから、時が来れば、貴方自身の世界へと戻ることになるでしょう」
「何もせずとも?」
「ええ。ですが、貴方は動く。そうでしょう?」

彼の思惑にハマっている気がするけれど、確かにいずれ来るの未来に納得がいかない。

「わかったわよ!絶対に、回避してみせるんだから!!」
「その調子でお願いします」

ガッツポーズでやる気を見せる私に、にっこりと拍手してのせるヴィーグさんをみてフェルデは「何かお前らだけで意気投合してないか?」と首をかしげるのだった。



案内された客室のベットに私は思いっきりダイブした。
バフッといい音がして、性能は現在よりもこっちの方が良さそうだ。
それにしても・・・フェルデがカレンを好きだったなんて。
元々従兄弟で昔からの付き合いがあるし、兄弟のような物だと思っていたのに。それに、家庭教師のリオンも。
カレンにものを教えている時はあんな情熱的な眼で見たりしていなかった。
鈍かったんだな、私って。
とりあえず、衣食住の恩があるし、気心もしれているフェルデを応援しよう。うん。
・・・イルミアの生まれ変わりがアリサだとして、どうして彼女は私を目の敵にするんだろう?
私が彼女を目の敵にするんならわかるんだけどなぁ。
その時だ。コンコンとノック音が部屋に響いた。

「はーい?」
「ヴィーグです。入りますよ」
「どうぞー」

すっと入ってきた彼はベットで横になったままの私を見て顔を顰めた。

「はしたないですよ。そのような格好で」

確か、今の格好は学校帰りすぐにベットに身を委ねたから学校の制服だ。この学校の制服は、白いセーラー服風のワンピースでぶっちゃけた話、制服を目当てに受験したぐらいお気に入り。質がいい布だからかあまりこんな風に粗末に扱ってもシワにならないし、この世界でも膝下丈ぐらいのワンピースは受け入れられている。つまり・・・

「はしたなくないです!」
「誰が服の話をしましたか。男性が部屋に入ってきたのにベットで横になっているとは・・・。貴方、私を誘っているのですか?」
「あー、そっちかぁ・・・」

間入れずツッコミを入れられて、ヴィーグさんが思ってたよりも真面目な人なんだなぁと思いつつベッドから降りソファへと移動し、少しだけ寝そべったせいで乱れた服をパタパタ整えてから、ヴィーグさんにも座る様勧めて自身も座る。

フェルデの家は、辺境伯で別国との境を守る騎士の家だ。
人の出入りが激しい土地柄か、商人も多く、とても栄えている。なので、客室の質もよく、広々とした空間を与えてもらえたようだ。
まるで、ホテルのスイートルームの様な大きな部屋で、1室に応接用のソファセット、書斎スペース、大きめのベットが置かれている。間にあるドアの向こうはお風呂や洗面所、トイレも付いている。
この部屋って他の貴族についてきた使用人用の客室なので貴族用の部屋は本当に豪勢だ。

と、部屋の話はどうでもいいとしてさっきも話をしたのに何用だろう?
はぁとため息をつくヴィーグさんはやっぱり綺麗で見惚れてしまうけれど、彼は私を呆れた様に見て口を開きはじめた。

「服、ないでしょう?」
「あーないですね。これだけで」
「フェルデ様から貴方に服を与える様にと指示を受けてきました。そのままでは、目立ちますからね」
「え?」
「それと、予知が達成されたら表向きはフェルデ様付きの使用人ということになりますのでそちらの服も作らないといけません」
「いいの?」

何の成果もないのに・・・と思ったけれど、彼は何を当たり前のことをと眉をあげた。

「いいですか?貴方はこの私が連れてきた人です。そんな貴方の予知が外れる筈がないでしょう。ですからこれは必要なことです」
「は、はぁ・・・」

私って、ヴィーグさんって、意外と自信家なんだな・・・。


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