タイムスリップした私は、前世の『私』を助けようと思います!

夜船 紡

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ガタゴトと揺れる馬車の中で、フェルデに「そういえば、名を聞いていなかったな」と言われ、一番最初に浮かんだのはリーナというアリサが私を呼ぶ時の名前だった。
この世界にもあっていて、それでいて私も返事がしやすい。・・・私自身がその呼ばれ方が好きか嫌いかは置いておいて。

「リーナです」
「ふむ。リーナか。・・・よく見るとお前変だな」
「そ、そうでしょうか?」
「ああ。その服装、その鞄・・・この国では見かけん」
「お、恐らく、私は東の地の血を引いている為だと思いますわ。この服も、その国のもので」
「あー、あのへんなものが多い東の国か。それなら納得だ」

この世界は元の前世で学んだ歴史とは違う。てか、国の名前も違う。・・・ん?此処ってまさか異世界だったのか?ってことは私は異世界転移していた?!すごい!!
と、まあ、その点は置いといて。
東の国というのは、日本や中国のような文明の国で、この世界でも異質を放つ国なんだけど、その多くは謎に包まれているからこそ、彼らはその国の関係者に深く立ち入ったりしないという、ぶっちゃけ、今の私からすれば有難いお国柄なのだ。
多分、あの国には異世界転移で日本人とかいたんじゃないかな?醤油とか味噌とかもあったはずだし・・・


「それで?カレン・・・嫌、彼女は近いうちに熱を出すといったが何日ぐらいに引き始め、どれぐらいの熱なのだ?」
「2、3日後でございます。また、それほど重症な熱ではございません。ですが、体調を崩された事を想い人がに知らせても見舞いにも来られず、悲しい思いをされ心に傷を負うと出ております」
「・・・あの畜生が。あれ程世話になりながら・・・。本当に、駄犬にも劣る男だ」

低く、唸るように呟くフェルデの発言に思わず頷く。
うんうん。本当だよねぇ。あの一家の衣食住を見ているのはカレンの家族だし。むしろもっとジュニアスの一家はこちらに対して下手に出るべきだと思うんだけどなぁと過去の自分と、彼らに想いを馳せているとフェルデの屋敷についた。

「ヴィーグを呼べ。」

屋敷につくと、たくさんの使用人が出迎えに来ていた。その中の1人にそう告げるとフェルデは私についてくるように告げ、おそらく彼の個室のソファに腰をかけた。
自分だけかよと思いながらも、どうするべきか悩んでいると、早々に彼のお抱え占い師がやってきた。
すらりとした肢体に透き通るような白い肌、全体的に色素のない何処か現実離れした青年。
ヴィーグと呼ばれる彼は、精霊の取り替えっ子とも、エルフの子孫とも言われているほどに美男美女が多いこの国でも類を見ないほどの美青年だ。しかも、本当に不思議な力を持っており、生前の私もよく彼に占ってもらっていた。
・・・本当はジュニアスについても、やめた方がいいと忠告を受けていたのに、恋は盲目とはよく言うものだ。本当にカレンって馬鹿なんだから・・・

「時の落とし子よ、ようこそ」
「え、あの・・・」
「大丈夫、わかっていますから」

フェルデに聞こえないようそう言って、口に指を当ててにっこりと微笑む姿にドキリとする。前の私はジュニアス一途で彼の美しさにもトキメクことはなかったけど、今の私には彼の笑み一つでドキドキしてしまう。
多分、綺麗なものに溢れた前の時とは違って、免疫が低いせいだろう。

「我が主人、フェルデ様。運命に出会えたようでよろしかったですね」
「やはり・・・この少女がお前の言う運命だと?」
「はい。彼女がこれから行うこと、それに協力することが、貴方様の願いを叶える道標になりましょう」
「ふむ・・・」

フェルデがそれを聞き、思案しているのを横目にヴィーグは私の手をとり、フェルデに聞こえないほどの小さな声で

「それに・・・それが貴女の元の場所へと帰る鍵にもなります」

そう告げる彼の顔が、景文かげふみ直斗なおと先生に被ってみえた。もしかして・・・

「景文先生・・・?」
「おや、それが貴女の世界の私の名前ですか」
「!!」
「何もおかしなことではありませんよ。えにしというのは廻るもの。私が貴女のそばにいるのも、私達の間になんらかのえんがあったのでしょう」

え、じゃあ、あの時彼女がアリサに見えたのも・・・?
でも、それなら納得だわ。意味のない悪意すぎて彼女をどうすべきが、いつも悩んでたから・・・
それにしても、景文先生がこの世界のヴィーグだなんて思いもしなかった。
・・・あれ?

「なんだ?2人でコソコソと」
「なんでもありませんよ」

パッと手を離してにっこりと微笑む彼にどこか違和感がある。すぐに私に気づいたことや、先生の名前だけで自分の名前だと言った事、そもそも彼は私に対してこんなにもフレンドリーに話すタイプではなかった。

「ヴィーグさん?ちょっといいですか?」
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