【完結】悪役令嬢になんてさせません。

夜船 紡

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本編

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契約を交わしたその日から、マリア様とお話をしていても、アリーヌ様は何も仰らなくなった。
それどころか、時々はなしかけてこられ、本当はマリア様のあの笑顔を見て離すべきではないと思っていたと言ってくださった。
アリーヌ様も、マリア様の環境には内心思うものがあったのだろうか?
もし、そうならば・・・



「おい、お前!」

ある日、そんな事を考えながらいつもの廊下を歩いていると5、6歳ぐらいだろう男の子に呼び止められた。
マリア様とよく似た淡い亜麻色の髪はふわふわしている。瞳は深い森のような翠色。
あ、この子、知ってる。
姿を見た瞬間、気がついた。
マリア様の弟君のクラウス様だ。
原作では、自己肯定力が低く周りに流されやすい性格だった。
これも、幼児期にしっかりと愛情が注がれてない子がなりやすいのよねぇ。
てか、案外あの本の作者って保育関係者だったりして・・・

「俺が呼び止めてるのにっ!聞けよ!!」

あ、つい自分の世界に入っちゃっていたわ。すごく睨んでいらっしゃる。
小さい時は活発な子だったのね、彼。

「申し訳ありません、クラウス様。何か御用でしょうか?」
「最近姉様に近づいてるらしいな、何を企んでる!」
「企むなどと・・・そのようなことはありえませんわ。ドルマン様にも公爵家にもお約束を交わしておりますし、なによりマリア様と話をしていると楽しいのでつい、役割を超えてしまった部分はありますがそれでも後悔はしていませんわら」
「っ!そうかよ・・・(俺も一緒に・・・)」
そういい終わるとプイッと翻して廊下を走っていかれてしまった。
なんか、呟いてた気もするのだけど・・・
そういや、あんまりマリア様とクラウス様が話してるところとかも見てないなぁ。せっかくの姉弟なんだし仲良くすればいいのに。
そうだわ!マリア様にお尋ねしてみよう。


「クラウス様はマリア様がお好きですのね」
「え?どうして??」
「実は、こんなことがありまして」
マリア様のいつものティータイム。
いつものように話を聞いた後、今日あったことを伝えると、マリア様の顔が真っ赤に染まった。
「まあっ!エルゼったらわたくしとの話がそんなに楽しいだなんてっ!」
え、そっち?そっちなのですか、マリア様!!?
「でも、クラウスが、私にそれほど興味を持っていたなんて・・・」
「今度、お2人でお茶会をなされてはいかがです?」
「そうね、あの子も普段公爵家跡取りとしての勉強があるからあまり話したことがなかったの。お誘いの手紙を書くわ」
だから、お茶菓子はお願いするわねと、マリア様がおっしゃったので勿論とお返事をさせていただきました。


クラウス様付きの使用人達に色々話を聞いていると、マリア様と同じ、いや、それよりひどいかもしれない。という環境であることがわかった。
クラウス様は、跡取りなので6歳だというのに遊ぶ時間もなくマナーや剣術を学んでいる。
そして、出来が悪いと「公爵家跡取りなのにこんなこともできないなんて」と嘆かれ、よく出来ても「公爵家跡取りなのですからもっと頑張らなくては」と次から次へと学ばさせられるのだ。
もちろん、出来たことに対しての褒め言葉ない。むしろ、跡取りとしては当然といわれる様子。 
そのカリキュラムも毎日みっちり入っていて遊ぶ暇もないようだ。

幼児虐待じゃね?これ。
いや、マリア様もネグレクトという虐待受けてたけどさ、頑張っても頑張ってもダメってそれってどんな賽の河原の石積みよ。そりゃ、将来あんな自虐的な子に育つわ。そういや、主人公にちょっとお礼を言われたり褒めてもらっただけで犬のように懐いてたような・・・
え、それってこれが原因?!
マリア様との交流がうまくいったらドルマン様に相談を持ち込んでみようかしら。
マナー教育だけでもマリア様と一緒に学べるように。
てか、同じ教育なら別々よりお互いにやった方がいいのよね。
子どもの競争心を煽ってやる気を起こさせるし。遊び心を入れてあげるとぐんっと伸びも早くなるし。

マリア様に呼び出され、今日クラウス様に宛てた手紙の返事が返ってきたようで、明後日クラウス様とお茶会をされるとのことだった。
よーし、なら、頑張って美味しいお菓子作ります。新作はプリンでいいかな?
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