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本編
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公爵家の跡取り、嫡男、それが僕クラウス。
物心ついた時からそう言われてきた。
跡取りなのだからちゃんとマナーを学びなさいと、学を身につけねばなりませんと。
でなければ、公爵家に泥を塗ることになりますよとずっとずっと課題をこなしては次の講義、休む間もなく行われる剣術、乗馬の訓練・・・
こなしてもこなしても誰も僕を認めてなんてくれない。
誰も僕を見てない。
見てるのは、公爵家の跡取り息子という肩書き。
そんなある日、ふと窓を見るとマリア姉様と侍女の姿が目に入った。
マリア姉様より少し大きいその子に姉様は嬉しそうに笑いかけていた。
その子も、楽しそうに笑顔で姉様の髪を撫でた。
・・・撫・で・た?
え、は、はあ?不敬だろ!
と、思った瞬間、姉様が本当に初めて見る様な、全てが蕩けるような、そんな笑顔を見せたから僕は、言いようのない感情が芽生えた。
---エルゼを知った、今ならわかる。
その時芽生えた感情が、姉という同じ境遇の人間を失ったという喪失感、そしてそんな幸せを祝えない嫉妬心だったことを。
だが、その時の僕が見ていることなんて気づくはずもなく、そんな感情を抱いてるなんてわかるはずもなく、姉はその後も楽しげにその侍女とのお茶会を続けたのだった。
僕はその後すぐにドルマンにあの子のことを聞きに行った。
「ドルマン」
「これは、クラウス様。如何なさいました?」
すっと礼をする執事の姿をみても何も感じず、思いのまま言葉を口にする。
「マリア姉様の頭を撫でてたあの無礼な侍女は誰?どうして暇を出さない?」
「ふむ・・・その侍女はおそらくエルゼのことでしょうか?あの者は公爵様にもお方様にもちゃんと許可を得てあのような振る舞いをされておられるのですが・・・」
「なんで?!姉様に取り入って何するかわかんない馬の骨じゃないか!!それなのに、父様も母様もあの侍女を許してるっていうの!?」
「はい。その通りです。・・・クラウス様も一度彼女と話をすれば分かりますよ」
なぜ、彼女があの行為を許されているのかが・・・ね。
そう言って目を伏せたドルマンを放って乱暴に扉を閉める。
なんで?
どうして??
僕は認められないのに!
なんで、あの侍女は父様にも、母様にも認められてるの!?!!
悔しくて、悔しくて屋敷を歩いているとその侍女の姿が目に入った。
「おい!お前っ!!」
思わず叫んで引き止めた。
彼女がこちらを向いたのをみてどきりとする。
しかし、彼女は上の空で僕をみてはいなかった。
心あらずの状態でこっちをみてるだけ。
だから怒鳴った!
自分の話を聞けと、姉様を口実に何を企んでるんだと、そういってる僕を見る彼女の目は憐れみだった。
その目を見て、僕は怯んでしまった。
そして、そのままどこかへ行ってしまった。
「僕も一緒に・・・僕を見てよ」
溢れた涙とともに、呟いた言葉は自分でも思った以上に小さく泡沫のように消えていった。
その数日後、姉様からお茶会の誘いがあり、エルゼが僕のことを姉様と同じぐらい褒めたり、愛情を注いでくれているのを感じて、何故だか涙が溢れた。
そして、あの時食べたプリン。
あれは一生忘れられない思い出だろうと思う。
大好きな使用人、でも、その枠を超えて接する規格外なその少女が作り出す目新しい料理、考え方。
ドルマンがこの前呟いていた。
なんとか、エルゼをここに、この公爵家に留めておくすべはないかと。
エルゼ、どっか行っちゃうの?
とドルマンに泣きついた時に言われた言葉は、まるで魅力的な甘い果実のようにずっと胸の内に残っていた。
そして、その将来、僕はそれを実行に移すだろう。
彼女を失うくらいなら・・・
この場所に留めておくためなら・・・
公爵家の家庭教師から学んだ全てを使って彼女を得ようと思う。
でもそれはもうすこし先のお話。
物心ついた時からそう言われてきた。
跡取りなのだからちゃんとマナーを学びなさいと、学を身につけねばなりませんと。
でなければ、公爵家に泥を塗ることになりますよとずっとずっと課題をこなしては次の講義、休む間もなく行われる剣術、乗馬の訓練・・・
こなしてもこなしても誰も僕を認めてなんてくれない。
誰も僕を見てない。
見てるのは、公爵家の跡取り息子という肩書き。
そんなある日、ふと窓を見るとマリア姉様と侍女の姿が目に入った。
マリア姉様より少し大きいその子に姉様は嬉しそうに笑いかけていた。
その子も、楽しそうに笑顔で姉様の髪を撫でた。
・・・撫・で・た?
え、は、はあ?不敬だろ!
と、思った瞬間、姉様が本当に初めて見る様な、全てが蕩けるような、そんな笑顔を見せたから僕は、言いようのない感情が芽生えた。
---エルゼを知った、今ならわかる。
その時芽生えた感情が、姉という同じ境遇の人間を失ったという喪失感、そしてそんな幸せを祝えない嫉妬心だったことを。
だが、その時の僕が見ていることなんて気づくはずもなく、そんな感情を抱いてるなんてわかるはずもなく、姉はその後も楽しげにその侍女とのお茶会を続けたのだった。
僕はその後すぐにドルマンにあの子のことを聞きに行った。
「ドルマン」
「これは、クラウス様。如何なさいました?」
すっと礼をする執事の姿をみても何も感じず、思いのまま言葉を口にする。
「マリア姉様の頭を撫でてたあの無礼な侍女は誰?どうして暇を出さない?」
「ふむ・・・その侍女はおそらくエルゼのことでしょうか?あの者は公爵様にもお方様にもちゃんと許可を得てあのような振る舞いをされておられるのですが・・・」
「なんで?!姉様に取り入って何するかわかんない馬の骨じゃないか!!それなのに、父様も母様もあの侍女を許してるっていうの!?」
「はい。その通りです。・・・クラウス様も一度彼女と話をすれば分かりますよ」
なぜ、彼女があの行為を許されているのかが・・・ね。
そう言って目を伏せたドルマンを放って乱暴に扉を閉める。
なんで?
どうして??
僕は認められないのに!
なんで、あの侍女は父様にも、母様にも認められてるの!?!!
悔しくて、悔しくて屋敷を歩いているとその侍女の姿が目に入った。
「おい!お前っ!!」
思わず叫んで引き止めた。
彼女がこちらを向いたのをみてどきりとする。
しかし、彼女は上の空で僕をみてはいなかった。
心あらずの状態でこっちをみてるだけ。
だから怒鳴った!
自分の話を聞けと、姉様を口実に何を企んでるんだと、そういってる僕を見る彼女の目は憐れみだった。
その目を見て、僕は怯んでしまった。
そして、そのままどこかへ行ってしまった。
「僕も一緒に・・・僕を見てよ」
溢れた涙とともに、呟いた言葉は自分でも思った以上に小さく泡沫のように消えていった。
その数日後、姉様からお茶会の誘いがあり、エルゼが僕のことを姉様と同じぐらい褒めたり、愛情を注いでくれているのを感じて、何故だか涙が溢れた。
そして、あの時食べたプリン。
あれは一生忘れられない思い出だろうと思う。
大好きな使用人、でも、その枠を超えて接する規格外なその少女が作り出す目新しい料理、考え方。
ドルマンがこの前呟いていた。
なんとか、エルゼをここに、この公爵家に留めておくすべはないかと。
エルゼ、どっか行っちゃうの?
とドルマンに泣きついた時に言われた言葉は、まるで魅力的な甘い果実のようにずっと胸の内に残っていた。
そして、その将来、僕はそれを実行に移すだろう。
彼女を失うくらいなら・・・
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でもそれはもうすこし先のお話。
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