【完結】悪役令嬢になんてさせません。

本編

18

クリスティーヌ様は、物語のヒロインとは少し、いや、だいぶ性格が違うけれど前世の記憶持ちだからだろうか？

伯爵家には、パーティーの翌日に詫び状を、ドレスを持っていく日を添えて手紙で送ってすぐにわかったと返事が来た。
そして、明日がそのドレスを持っていく日だったりする。
パーティーで汚したドレスは流石は公爵家の洗濯担当というべきか、ドレスはまるで新品のようだ。
本当ならば、私ではなく使い走りの者が持っていくのだけど・・・私が強引にお役目を奪った。
私にはマリア様付きの侍女という立場なのでそれなりに高い地位にいたりする。
ああ、マリア様のお誕生日に私は見習いがとれ、正式な侍女となった。

「これからは、ずっと、私わたくしと一緒ですからね！」

と、とびきり可愛い笑顔で言われて、キュンキュンとしたのは内緒です。

あー思い出しただけで萌えだ。
うん。よし、うちの可愛いマリア様のライバルになりうる人だ。その環境や性格をちゃんと把握しておかねば！！



と、その前にこの世界の小説をもう一度思い返してみよう。
自室の鍵付きの棚から鍵付きの日記を取り出す。思い出したその時に、お給料が出てすぐに書き出しておいたものだ。

物語は、学園ものではなく社交界で進んでいく。クリスティーヌ様が言っていたように、社交界デビューの際、公爵家のパーティーとは思えない質素なドレスできたヒロインを気にかけて声をかけ、話をしているうちにその性格に惹かれていくルーク様。


・・・ん？
まてよ？？このドレス、普通のドレスじゃん。質素じゃないよ。
そりゃ、気づいてもらえないわ。


とと、続き続き。
また会いたいと、ルーク様はヒロインの家の近くに行ったり、庭を覗いたり・・・ストーカーかな？まあ、そこはおいといて、ある日、庭を覗くとそこではヒロインが趣味で庭の手入れをしており、綺麗な花が咲いたと喜んでいるのを見て完全に惹かれる。
この時の挿絵がめちゃくちゃ良かったのよねぇ、ヒロインが天使みたいだったもの！！
原作ルーク様がここまでヒロインに惹かれるのは、原作のマリア様の性格があまり良くなくて、自身にべったりな上にヒステリックだから癒しを求めていたというのもある。
そして、マリア様に見つからないようにこっそりとパーティーのたびに、外出のたびにヒロインに会いに行き、愛を深めるのだ。
原作のヒロインの健気なことと言ったら！まるでうちのマリア様みたい！！！

なので、ルーク様が目移りなんてするはずがないのよね。

それに・・・原作では財産を喰い潰していく親から疎まれた子のはずなのに－－－だから原作では質素なドレスだったのだ。なのに、このドレスは普通の貴族のドレスだ。
それに、噂でも、伯爵家の散財したというものは聞かない。それどころか、伯爵家独自の植物の育て方で美しい花をたくさん出荷して小金持ちだと聞いた。
原作のヒロインではなく、前世の知識でクリスティーヌ様が育てているからだろうか？？
とりあえず、侵入して調査せねば！！！