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5章 しっぽりと入浴
29.ホラー展開は必要なし!
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ウォーレンの隣に座って、近くからじっくり眺める。ピーコックグリーンの瞳が戸惑いに瞬きした。
「久しぶりに来てくれたのは嬉しいんだけど、顔がやつれてるぞ? 何かあったのか?」
「やつれている? そう言われたことはないんだが……ここに来たら気が抜けたのかもしれんな」
ええ? 目の下はクマがあるし、頬はコケてるし、いつも艶のある髪がボサっとしてるのに! ウォーレンの周りのやつはどこをみてるんだ?
「仕事が忙しいのか?」
「たいしたことない。心配させてしまったな」
うーむ、ウォーレンについては大聖堂と店でのことしか知らない。
そこから判断すると、仕事のせいだと思うけど……別件でお家騒動的なことが裏で起こってたのかな。
ただ、客とキャスト、上司と部下、どちらにしてもウォーレンに話す気がないなら知ることができない。
歯痒く感じてしまう。
ウォーレンが俺の髪を手慰みのように摘んだ。たいして長くない髪をいじられると頭皮に指の感触がしてくすぐったい。
「顔が、って言葉を濁すから――」
「ん?」
「幽霊に取り憑かれてでもいるのかと思ったよ」
ぞぞっ! 神域にいた時の寒気がまた背中を走ったじゃねーかっ!
「いや、ホラー展開は必要ねーから!」
「そうだな」
楽しそうに笑ったウォーレンが、手を動かしたと思ったら、後頭部に小さな痛みが走った。
「いっ……た~~~! なんだ?!」
「あぁ、なにか呪いのようなものがついていたから」
ウォーレンの指に茶色い毛が絡まっている。
この色は……たぶん俺の髪の毛!!
「の、呪い? ……まぁ思慕恋慕される職業ではあるけど……え? ガチの心霊のはなし?」
「髪の毛を失敬した。一緒に呪いを抜いたから、もう問題ないだろう」
「それは助かった……のか? ありがとう? いやでも、先に言ってくれよ~痛いじゃん!」
「すまない。変に意識されると抜きにくいもので」
ニコニコしながら答えるウォーレン。……こいつ、実はサディストなんじゃねーの?!
ふと思い出した。
俺がウォーレンに嫌われていると思ったきっかけも、大聖堂に赴任早々、アホ毛を無断で抜かれたことだった。
その時も、こんな痛みだったな。
あの時は意地悪で毛を抜かれたと思ったけど、こっそり呪いを解いてくれていたのか?!
いいやつじゃん……。
いやでも怖いけど。
「そんな……いつも見えてんの? その……アレが?!」
「見ようと思わないと見えない。でも今は疲れてるからか、リラックスしてるからか、体から力が抜けていると見えやすくなる」
「へ、へぇ~~~……。もし店の中で見えても、俺には教えてくれるなよ? トイレとかさぁ!」
「そうか、ランスも幽霊が怖いのか」
誰でも怖くねぇか?!
神とか霊とかと隣り合わせの神官様とは違うんだよ!
「私の職場の人間も幽霊が怖いらしくてな。いつもひょうひようとしているのに……笑ってしまったな」
ウォーレンに手を握られた。遊ぶように指を引っ張られる。
そういえば、行方不明事件のときに、幽霊にビビっていたら、手を繋ごうかとか言われたな……。
もしやクラレンスのことを思い出してるのか?
「どうした? 嬉しそうに笑って」
「んん?! いーえ? おっとそうだ、ウォーレンのダンナ! 呪いを払ってもらったお礼に、疲労回復のいいやつを準備してますよ!」
「いいやつ?」
ウォーレンをVIPルーム備え付けの風呂場へ連れて行った。
「ジャジャーン! シラキス風呂とシラキスのマッサージオイル! 前にマッサージしてやるって言っただろ? 探せばあるもんだな。シラキスのオイル」
「私のために? わざわざ探してくれてのか」
ウォーレンのためって言われると……むずがゆくなる。まぁその通りなんだけどさ!
「んん? 俺も好きだからさ、この匂い。いい匂いだな~と思ってついつい見つけちゃっただけ~」
「そうか」
照れ隠しがバレてる。こいつ、ずっとニコニコしてるぞ。
昼間の神官長に比べると、笑顔が増えたなぁ。
「あ~でも、今日も内偵調査なんだろ? 風呂は後にするか」
ウォーレンの来店の目的は内偵調査だ。あんまり遊んでるわけにもいかないよな。と思ったのに、ウォーレンは少し困った顔で固まっていた。
「どうした?」
「今日は……違う」
「違う?」
「調査対象はこない」
「へ?」
「パーティーに出席するという情報が入ってな」
「それじゃ……」
なんで来たんだ? という言葉を飲み込んだ。
ここはショーパブ、楽しく遊べるお店。つまり疲れたからリフレッシュに遊びに来たってことか!
ウォーレンもジッと俺を見ている。なんならちょっと頬染めてる?!
「今日は俺がたくさん遊んでやるか! いっつもおっさんばっかり見て、俺にはつれないもんな~。おっさん見るより断然楽しいってこと、魅せてやるぜ!」
「よろしく頼む」
「んじゃ、さっさと服を脱ぎな」
「久しぶりに来てくれたのは嬉しいんだけど、顔がやつれてるぞ? 何かあったのか?」
「やつれている? そう言われたことはないんだが……ここに来たら気が抜けたのかもしれんな」
ええ? 目の下はクマがあるし、頬はコケてるし、いつも艶のある髪がボサっとしてるのに! ウォーレンの周りのやつはどこをみてるんだ?
「仕事が忙しいのか?」
「たいしたことない。心配させてしまったな」
うーむ、ウォーレンについては大聖堂と店でのことしか知らない。
そこから判断すると、仕事のせいだと思うけど……別件でお家騒動的なことが裏で起こってたのかな。
ただ、客とキャスト、上司と部下、どちらにしてもウォーレンに話す気がないなら知ることができない。
歯痒く感じてしまう。
ウォーレンが俺の髪を手慰みのように摘んだ。たいして長くない髪をいじられると頭皮に指の感触がしてくすぐったい。
「顔が、って言葉を濁すから――」
「ん?」
「幽霊に取り憑かれてでもいるのかと思ったよ」
ぞぞっ! 神域にいた時の寒気がまた背中を走ったじゃねーかっ!
「いや、ホラー展開は必要ねーから!」
「そうだな」
楽しそうに笑ったウォーレンが、手を動かしたと思ったら、後頭部に小さな痛みが走った。
「いっ……た~~~! なんだ?!」
「あぁ、なにか呪いのようなものがついていたから」
ウォーレンの指に茶色い毛が絡まっている。
この色は……たぶん俺の髪の毛!!
「の、呪い? ……まぁ思慕恋慕される職業ではあるけど……え? ガチの心霊のはなし?」
「髪の毛を失敬した。一緒に呪いを抜いたから、もう問題ないだろう」
「それは助かった……のか? ありがとう? いやでも、先に言ってくれよ~痛いじゃん!」
「すまない。変に意識されると抜きにくいもので」
ニコニコしながら答えるウォーレン。……こいつ、実はサディストなんじゃねーの?!
ふと思い出した。
俺がウォーレンに嫌われていると思ったきっかけも、大聖堂に赴任早々、アホ毛を無断で抜かれたことだった。
その時も、こんな痛みだったな。
あの時は意地悪で毛を抜かれたと思ったけど、こっそり呪いを解いてくれていたのか?!
いいやつじゃん……。
いやでも怖いけど。
「そんな……いつも見えてんの? その……アレが?!」
「見ようと思わないと見えない。でも今は疲れてるからか、リラックスしてるからか、体から力が抜けていると見えやすくなる」
「へ、へぇ~~~……。もし店の中で見えても、俺には教えてくれるなよ? トイレとかさぁ!」
「そうか、ランスも幽霊が怖いのか」
誰でも怖くねぇか?!
神とか霊とかと隣り合わせの神官様とは違うんだよ!
「私の職場の人間も幽霊が怖いらしくてな。いつもひょうひようとしているのに……笑ってしまったな」
ウォーレンに手を握られた。遊ぶように指を引っ張られる。
そういえば、行方不明事件のときに、幽霊にビビっていたら、手を繋ごうかとか言われたな……。
もしやクラレンスのことを思い出してるのか?
「どうした? 嬉しそうに笑って」
「んん?! いーえ? おっとそうだ、ウォーレンのダンナ! 呪いを払ってもらったお礼に、疲労回復のいいやつを準備してますよ!」
「いいやつ?」
ウォーレンをVIPルーム備え付けの風呂場へ連れて行った。
「ジャジャーン! シラキス風呂とシラキスのマッサージオイル! 前にマッサージしてやるって言っただろ? 探せばあるもんだな。シラキスのオイル」
「私のために? わざわざ探してくれてのか」
ウォーレンのためって言われると……むずがゆくなる。まぁその通りなんだけどさ!
「んん? 俺も好きだからさ、この匂い。いい匂いだな~と思ってついつい見つけちゃっただけ~」
「そうか」
照れ隠しがバレてる。こいつ、ずっとニコニコしてるぞ。
昼間の神官長に比べると、笑顔が増えたなぁ。
「あ~でも、今日も内偵調査なんだろ? 風呂は後にするか」
ウォーレンの来店の目的は内偵調査だ。あんまり遊んでるわけにもいかないよな。と思ったのに、ウォーレンは少し困った顔で固まっていた。
「どうした?」
「今日は……違う」
「違う?」
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「へ?」
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「それじゃ……」
なんで来たんだ? という言葉を飲み込んだ。
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