星の丘ホーム、子どもたちの物語。

doiemon

文字の大きさ
1 / 5

ひとりぼっち。

しおりを挟む
 高校2年の夏休みの後に、私の親は二人とも、いなくなった。

 父はすでに半年前からいなかった。父が出ていった後に、母は大量にアルコールを飲酒するようになった。
 いつの間にかパートを解雇されていたようで、家を空けている間、どこにいっているのかわからなかった。
 私との会話も徐々に無くなっていった。私も家には全然帰らなかった。
 最初は仲良しの友達の家に泊めてもらっていたけど、ずう~っとだと、なんか悪いしから。ネットカフェでも何日か過ごした。
 学校はほとんど行ってなかった。

 お金も無くなってきて、数日ぶりに家に帰った。
 「ただいま~」
 私の声には反応はない。
 誰もいない・・・。
 母はどこにいったんだろう?

 家に帰った安心感から空腹と疲労感が襲ってきた。やっぱり落ち着く。一度、自分の部屋に戻って、上着をハンガーにかけた。
 ふと、テーブルに置かれた置き手紙のようなものが目に入った。
 冷蔵庫に向かう体の向きを変えて、白い紙に書かれた文字を目で追った。
 
 「母さんも、ちょっと出かけてきます」

 たった、一行だけ……。

 それだけは母は出て行った。
 どんな気持ちで母はここを出て行ったのだろう?
 私のことは考えなかったのかな?
 考えてたら、私を置いて一人で出て行くだろうか?
 
 これから、どうしようと、頭の中はそのことでいっぱいになっていあたから不思議と悲しみは忘れていた。
 悲しむ余裕もなく、私は今から身寄りのない未成年になってしまった。
 
 どんな状況でも空腹が襲ってきて、私は冷蔵庫を開けた。
 すぐにラップがかかったオムライスが目に飛びこんできた。
 母が作ってくれたオムライスだ。しばらく母の料理は食べていなかった。
 なんで、作り置きしてくれたのか? 考えてもわからない。 
 電子レンジでオムライスを温めて口に入れた瞬間に涙が流れてきた。
 「お母さん……」
 明かりがついてない誰もいない部屋で、一人オムライスを食べながら泣いた。
 とりあえず泣いた。食べながらだったけど、声を出しながら泣いた。
 
 自分が捨てられたことを認めたくなかった。
 孤独で、みじめで、恥ずかしくて、これから自分の身に起こることを受け入れられなかった。
 苦しんでいた母に手を差し伸べてあげられなかったことも後悔していた。
 
 ネガティブなことを考えると眠ることができなくて、夜が長く感じた。
 頭の中はモヤモヤしていてなんだか気分が晴れないけど、気がついたら眠りにおちていたようで、目覚めると開けたままのカーテンから日差しが入りこんでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...