最凶最悪の妖刀を持った僕は果たして本当に悪人ですか?

ハヤト

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本編

第六話 感情の暴走

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 金色の髪がなびきそれと共に鮮血が飛び散る。僕の前に飛び出た影はシフレだった。

 僕の方へ倒れてきたシフレは腕の中でフューと呼吸をしていたが、長くは持たいことは目に見えていた。

「反逆の村を守った反逆者を守るか…。よく分からんな。とはいえ貴様も反逆の村出身なのだから同罪か。」

 こいつはなにを言ってるのだろうか?無関係の村の娘を切っておいて罪のがれか。容赦なく剣を構えるロドリゲス公爵が剣を振り下ろすと同時にいつの間にか右手に収まっていた刀で受け止める。

「……フュー……英雄さん。私は強いですか?」

「ああ、立派だった。僕は恐怖で刀を振れなかった。」

 虫の息のシフレが僕に問いかけてくる。その間ロドリゲス公爵は片手で自分剣を受け止められ静止している事に驚きを隠せないでいた。

「私もです英雄さん。……ハァハァ……村長が首を跳ねられた時、貴方を止めることしか出来なかった。貴方を逃がすのに必死だった。」

「そうだ!この女や村の人共もそうだ!自分が生きる道しか選ばなかった!だから今こんな…」

「黙れ…。」

 膠着状態にあった剣を一閃すると剣はスパッと真っ二つに折れ消滅する。しかし存在そのものは消さなかった。ロドリゲス公爵は恐怖に怯え尻餅を付いた。

「もう何も喋らなくていい。まだ助かるはずだから…じっとしててくれ。」

 しかしシフレは首を横に振る。そして僕の左手を掴む。

「英雄さん。最後に貴方の名前を教えて下さい。私だけ言うのは不公平ですよ。」

 そっと笑いかけてきた目には涙がこぼれた。僕の目にも涙が溜まる。

「キサラギ……如月 徹それが僕の名前だ。」

「良い名前ですね。私の分まで………生きて………それで………また………天国で………お話ししましょう……ね……」

 完全に少女の生命はこの世から去っていった。

 左腕で抱えているシフレの亡骸をそっと地面に置き、ゆっくりと立ち上がる。その間に刀から黒い物質が溢れ出し僕の両隣に刀の形状を作って空中で静止する。

「僕は悪人ですか?この村を守ったのに反逆者呼ばわりされ、始めて気の合う人を殺された僕は果たして本当に悪人ですか?」

「そ、そうだ!貴様は悪人だ!裁かれるべき悪なのだ!なら大人しく…」

「悪人は本当に全員が絶対悪なのか…答えは否だ。少なくともと僕は違う。でも…貴方がこの世界の正義なら…僕は…」

 右手に握った刀をロドリゲス公爵に向ける。それと 連動して両隣にある刀もロドリゲス公爵の方を向く。そして、めいいっぱいの怒りと憎しみと殺意を込めて微笑み

「喜んて絶対悪になるよ。」

 その瞬間に両隣の刀はロドリゲス公爵へと高速で飛翔する。ロドリゲス公爵も負けじと手合わせ術式を唱える。

「か、刀ぐらい何本でもかかってきたまえ!この私が魔法で討ち滅ぼして…」

 言い終わる前にロドリゲス公爵の腕を肩から切断する。存在も姿も消滅させない。痛みと恐怖に怯えさせるためである。どす黒い汚れた血が大量に吹き出しロドリゲス公爵は気絶寸前の痛みに耐えていた。

「ああああああッ!ああ…ああ…私の、私の腕がああああああああああああッ!」

 ゆっくりとロドリゲス公爵に近づく。しかしこの頃には自分の体の自由が効かなくなっていた。ただ、怒りや憎しみなどの感情を増幅させている、この妖刀と言わんばかりの代物に動かされていた。

 切った腕の切断面を切先でグリグリとかき回す。憎しみの感情はこの刀の能力を抑える。今は切れ味が全く無く、ただの鉄の棒で傷口をえぐり返す。声にならない悲鳴をロドリゲス公爵は上げ、何とか出てくる微かな声で僕に訴える。

「す…まな………かった。ハァ…本当に。あれは……事故なのだ。」

「それ以上何か抜かしてみろ。次は両足が飛ぶぞ?」

「ハァ………と、取引だ!取り引きをしよう!ここで見逃してくれたら何でも好きな村をやろう!それに好きな女もやる。な、いい話だろ?」

 もちろん応じる気は無いが、遊んで見る。

「そうだな……女か。」

「あ、ああ!好みの女を言ってくれ!そうすれば必ず…」

「シフレをここに連れて来てくれ。ちゃんと生きてる人を。」

「そんなの無理だ…それ以外なら…」

「なら用済みだな。今から死んでシフレに土下座してこい。」

 刀を構え一閃し首を飛ばす。悲鳴が聞こえた気がするが無視した。

「そういやこの世から消すから意味無いか。大丈夫だ存在までは消さないから。必ず貴方の帝国に報復しに行くよ。絶対に…」

 ここで僕の体力は限界を迎え記憶はそこから飛んでいた。
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