他の女にうつつを抜かす夫は捨てます

りんごあめ

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どうか幸せに アンside

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アンside


メアリーと出会ったのは学生時代だった

私はいままで友達付き合いでつまづいたことがなかった
幸い明るい性格だったし
だけど、ある時から

「アンってお節介よね」

「あ~私も思ってた」

「正直ウザいよね」

いつの間にか私はグループで嫌われていた
お節介...5人兄弟の長女である私は人の世話をやくのが当たり前になっていたんだ

どうしよう、いままでこんな経験ないし
話しかけようとしても無視される

だけど、泣くのはプライドが許さなかった

そんなある日のことだった

「ねぇ、大丈夫?最近一人でいるように見えるけど」

教室移動で一人で歩いていた私に声をかけてくれたのが、メアリーだった
でも、プライドが許さなくて...

「大丈夫!気にしないで!」

私はそう言ってメアリーの前を通り過ぎた



だけど、メアリーはことあるごとに私に話しかけてきた

「ねぇ、アン!あ、勝手に呼び捨てにしてるけどいいかな?」

「別にいいけど...」

「ありがとう!私のことはメアリーって呼んでね!」

「わかった」

どうして私に構うんだろう?他にも友達は沢山いるのに
メアリーを見てて気づいたことは、メアリーは誰とでも仲がいいことだ
あとは、仲のいい婚約者がいること

私に構ってもいいことないのに...



そんなある日だった

前のグループの子たちがメアリーに

「ねぇ、メアリー、アンと一緒にいるのはやめたほうがいいわ」

そう言いに来た

「あら、どうして?」

「アンはお節介だからよ」

そう言われた瞬間、とても怖くなった
メアリーのことを軽くあしらっていたくせに
嫌われるのが怖いと...そう思った


だけど、メアリーはメアリーだった

「それだけ?むしろそこがアンのいいところじゃない」

その言葉を聞いたとき涙が溢れそうだった
そんな私に気づいてかメアリーは私の腕をひいて教室をでた
誰もいない渡り廊下に着くと、メアリーは私の腕を離した
そして言ったんだ

「ねぇ、アン、私はアンのこと大好きよ」

「でも、私お節介で...」

「友達のために一生懸命になれる、素敵じゃない!」

もう限界だった、涙が止まらなかった
本当はとても辛かった、独りぼっちになってしまってからずっと

「ありがとう、メアリー!私もメアリーが大好きよ」

メアリーは優しい笑顔で微笑んでくれた






それが私とメアリーとの出会いだった
あの日決めたんだ、メアリーの幸せを私が必ず見届けると

だからダンとの話を聞いたときは驚いたし、怒りがわいた
ダンとならメアリーは幸せになれると思っていたから
今度会ったら一発殴ってやる

メアリーには必ず幸せになってもらわなきゃ
だから頼んだわよ、ジャック





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