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番外・後日談2
俺とアレッシオと湯けむりの旅 (1)
『さがさないでくれ』
ある冬の日、俺は衝動でそんな書置きを残し、ロッソ本邸を飛び出した。……アレッシオと子猫と護衛騎士の数名を連れて。
そんなことを言っても、当主が行方をくらましたら捜したくなるのが人情だろう。
だからジェレミアとブルーノに、事前にそれとなく行き先を告げておいたぞ。
俺ほど模範的な家出人もそうそういるまい。
「コレ、家出って言っていいのか?」
「何を言うのだ子猫よ、誰がどう見ても家出だろう」
向かい側の座席に置いた猫用ケージの中から、白いふわふわキュートな子猫に半眼で突っ込まれ、俺は堂々と返した。
窮屈そうですまないと思うんだが、ちょっと外出する時には一応、形だけでもケージの中に入ってもらわないといけないのだ。
大きめのケージの中にはちゃんとクッションが敷かれてあるし、寝心地はそんなに悪くないだろうけど、そういう問題ではない。
俺達の会話に、頭上からくすりと笑い声が響いた。
「それで? この馬車がどちらに向かっているのか、そろそろ教えていただけますか?」
一瞬キラリと反射したアレッシオの瞳が、どこか可笑しげに俺を見下ろしていた。
彼の吐く息は白く、普段よりも厚めのコートを着込んでいる。
そして彼の片腕は俺の背中に回され、軽く腰を支えてくれていた。
今は夜。馬車の外は銀世界で、空には煌々と輝く満月が浮かんでいる。
足元に影が落ちるほどに明るく、人よりも優れた暗視能力を持つ馬にとっては進みやすい道のりを、踏み固められた雪の上、いつもより静かに馬車が進む。
明るい時間帯だと照れるところだが、暗さと明るさが絶妙なこのムードに酔い、俺はアレッシオにぴったりとくっついた。
お互いに防寒着が邪魔で、いつもよりくっつきにくいのが難点だけどな。
「もちろん。――例の別荘だよ」
俺は彼を見上げ、にやりと笑んだ。
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超短くてすみませんm(_ _)m
次回以降からはもう少し長めになります!
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