巻き戻り令息の脱・悪役計画

日村透

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番外・後日談2

俺とアレッシオと湯けむりの旅 (6)(微*)


 遅くなりましたが投稿いたしますm(_ _)m

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 二人でゆったりと浸かりながら、雲のない夜空を見上げた。
 静かに浮かぶ銀色の満月を眺めながら、細い水路を伝って浴槽にちゃぽちゃぽ流れ落ちる湯の音に耳を澄ます。
 水路の奥は建物内に通じ、湯と水の蛇口があるのだが、水路の出口部分はうまい具合に植木に隠され、俺達からは見えないようになっていた。

「……アレッシオ」
「はい?」
「滞在中に、星空を見ることは叶うと思うか? もちろんこの満月も素晴らしいが、せっかくだから満天の星も見たくなってくる」
「私もその光景には心惹かれますね。ただ天候に恵まれたとしても、今回の滞在中は難しいでしょう。次はそれを楽しみに来ましょうね」
「そうだな」

 俺の我が儘と執念のかたまりである、プライベートな温泉付きの隠れ家。
 発作的にこれを造りたいと随分前に思い立ち、完成してからもなかなか足を運ぶタイミングがなく、今回またもや発作的に「よし家出しよう!」と思い立ってアレッシオと子猫を引っ張ってきた。
 ――日常の細かいことがどうでもよくなるぐらい、とてつもなく気持ちいい。

 そういえば俺、何があって衝動的に飛び出したんだっけ?

 確か春のパーティーみたいなのに、我が国のロイヤルファミリーと、ヴィオレット公爵一家と、何故かオリーヴァ公爵一家から、同じような日取りで別々に招待状が届いたような気がする。
 多分俺の記憶違いだな。そんな事実はきっとなかったんだ。
 俗世の些事さじなど気にしないでおこう。
 あ~、風呂が最高。

「しあわせだな……」

 口元がほころび、勝手にそんな呟きが出てしまって、くすりと笑われた。
 声に出すつもりはなかったから、ちょっとバツが悪い。
 でもそんな気分すら、背中から包み込んでくれる大きな腕と、広い胸の感触とで、あっさり解けてしまった。

「幸せですね。月がとても美しいですし、これほど心地よい気分になれるものとは思っておりませんでした」
「うん……」

 その声とセリフに、なおさらジンワリとくる。
 ジンワリときたんだが、不埒ふらちな男は俺の腹に当てていた手をゆっくり上にすべらせて、やわやわと胸を揉み始めた。

「あっ、こらっ……」

 しかも首筋にちゅうと吸い付きながら、両方の乳首を同時につまんでくる。
 そこからツキンと快感が走り、湯に浸かる前にさんざん煽られていたことを思い出しそうになってしまった。

「ダメだ、って! 湯の、中ではっ……」
「ふふ……そろそろ、身体を洗いましょうか」

 後ろから俺の唇にちゅっと軽いキスを落とし、アレッシオは悪戯イタズラをやめた。
 さっきから生殺しで中断ばっかりしているな。これ、あとからなんかすごいのが来るパターンなんじゃ……いや、今は何も気にしないでおこう。
 家出用の暇は数日分もぎ取ってきているから、一日や二日立てなくなったって多分大丈夫だ。

 それにこの風呂の湯はちょうどいい温度なのだが、これほど湯気が立つということは、気温が相当に低いということだ。
 だからアレッシオも、この季節に外で本格的な行為をする気はないのだろうと思う。
 ……その代わり彼は、浴槽近くの台に用意されていた身体洗い用のタオルと石鹸を手に取って、いい笑顔で俺を見下ろしてきたんだが。

「私が洗います」

 そんな気はしてた。
 俺はきっちり意識がある時に、屋外で全身を丁寧に洗われるという滅多にない体験をしてしまった。
 ロマンチックな夜空の下で身体を清めてもらうのって、ものすごく羞恥心を掻き立てられることだったんだな。当たり前か。
 湯と石鹸を揉み込んでたっぷり泡の付いたタオルを、それはもう身体の隅々まで丁寧に、丁寧に這わされて……しまいにはお互い泡だらけの姿で抱きしめ合い、互いの昂ったものを一緒に握って果てた。

 恥ずかしいのに、達する瞬間は最高に幸せで気持ちよかった。
 ずっと我慢していたから余計にだ。

 泡を流すと、また浴槽に二人で浸かり、澄んで明るい夜空を眺めた。
 あともう少しだけと思っても、のぼせる前に上がらなきゃいけないのが、本当に惜しかった。


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