215 / 216
番外・後日談2
俺とアレッシオと湯けむりの旅 (6)(微*)
遅くなりましたが投稿いたしますm(_ _)m
------------------------------
二人でゆったりと浸かりながら、雲のない夜空を見上げた。
静かに浮かぶ銀色の満月を眺めながら、細い水路を伝って浴槽にちゃぽちゃぽ流れ落ちる湯の音に耳を澄ます。
水路の奥は建物内に通じ、湯と水の蛇口があるのだが、水路の出口部分はうまい具合に植木に隠され、俺達からは見えないようになっていた。
「……アレッシオ」
「はい?」
「滞在中に、星空を見ることは叶うと思うか? もちろんこの満月も素晴らしいが、せっかくだから満天の星も見たくなってくる」
「私もその光景には心惹かれますね。ただ天候に恵まれたとしても、今回の滞在中は難しいでしょう。次はそれを楽しみに来ましょうね」
「そうだな」
俺の我が儘と執念のかたまりである、プライベートな温泉付きの隠れ家。
発作的にこれを造りたいと随分前に思い立ち、完成してからもなかなか足を運ぶタイミングがなく、今回またもや発作的に「よし家出しよう!」と思い立ってアレッシオと子猫を引っ張ってきた。
――日常の細かいことがどうでもよくなるぐらい、とてつもなく気持ちいい。
そういえば俺、何があって衝動的に飛び出したんだっけ?
確か春のパーティーみたいなのに、我が国のロイヤルファミリーと、ヴィオレット公爵一家と、何故かオリーヴァ公爵一家から、同じような日取りで別々に招待状が届いたような気がする。
多分俺の記憶違いだな。そんな事実はきっとなかったんだ。
俗世の些事など気にしないでおこう。
あ~、風呂が最高。
「しあわせだな……」
口元がほころび、勝手にそんな呟きが出てしまって、くすりと笑われた。
声に出すつもりはなかったから、ちょっとバツが悪い。
でもそんな気分すら、背中から包み込んでくれる大きな腕と、広い胸の感触とで、あっさり解けてしまった。
「幸せですね。月がとても美しいですし、これほど心地よい気分になれるものとは思っておりませんでした」
「うん……」
その声とセリフに、なおさらジンワリとくる。
ジンワリときたんだが、不埒な男は俺の腹に当てていた手をゆっくり上にすべらせて、やわやわと胸を揉み始めた。
「あっ、こらっ……」
しかも首筋にちゅうと吸い付きながら、両方の乳首を同時につまんでくる。
そこからツキンと快感が走り、湯に浸かる前にさんざん煽られていたことを思い出しそうになってしまった。
「ダメだ、って! 湯の、中ではっ……」
「ふふ……そろそろ、身体を洗いましょうか」
後ろから俺の唇にちゅっと軽いキスを落とし、アレッシオは悪戯をやめた。
さっきから生殺しで中断ばっかりしているな。これ、あとからなんかすごいのが来るパターンなんじゃ……いや、今は何も気にしないでおこう。
家出用の暇は数日分もぎ取ってきているから、一日や二日立てなくなったって多分大丈夫だ。
それにこの風呂の湯はちょうどいい温度なのだが、これほど湯気が立つということは、気温が相当に低いということだ。
だからアレッシオも、この季節に外で本格的な行為をする気はないのだろうと思う。
……その代わり彼は、浴槽近くの台に用意されていた身体洗い用のタオルと石鹸を手に取って、いい笑顔で俺を見下ろしてきたんだが。
「私が洗います」
そんな気はしてた。
俺はきっちり意識がある時に、屋外で全身を丁寧に洗われるという滅多にない体験をしてしまった。
ロマンチックな夜空の下で身体を清めてもらうのって、ものすごく羞恥心を掻き立てられることだったんだな。当たり前か。
湯と石鹸を揉み込んでたっぷり泡の付いたタオルを、それはもう身体の隅々まで丁寧に、丁寧に這わされて……しまいにはお互い泡だらけの姿で抱きしめ合い、互いの昂ったものを一緒に握って果てた。
恥ずかしいのに、達する瞬間は最高に幸せで気持ちよかった。
ずっと我慢していたから余計にだ。
泡を流すと、また浴槽に二人で浸かり、澄んで明るい夜空を眺めた。
あともう少しだけと思っても、のぼせる前に上がらなきゃいけないのが、本当に惜しかった。
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
表紙は自作です(笑)
もっちもっちとセゥスです!(笑)
【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~
TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】
公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。
しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!?
王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。
これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。
※別で投稿している作品、
『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。
設定と後半の展開が少し変わっています。
※後日譚を追加しました。
後日譚① レイチェル視点→メルド視点
後日譚② 王弟→王→ケイ視点
後日譚③ メルド視点
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」