巻き戻り令息の脱・悪役計画

日村透

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番外・後日談2

俺とアレッシオと湯けむりの旅 (7) *


 温泉話、今回がラストになります。

 ※少しだけ加筆しました。

-----------------------------




 露天風呂をしっかり満喫し、最高な気分で湯から上がった。
 身体を拭いて冷たい果実水を飲み、ガウンを羽織って暖炉の前の長椅子に座る。
 じっと二人で寄り添い、ぽつぽつ喋ることもあったけれど、だいたいは暖炉の火を見つめながら黙っていた。
 心地よい沈黙を楽しみ、しばらくしてから主寝室に戻る。一応アレッシオの部屋もあるんだが、主寝室から出ることはあんまりなさそう……いや、そうでもないか。
 なんでって、そりゃあ。

「あ、あぁ、……あぅ……」
「ふ……」

 じっくりと俺の中を味わいながらアレッシオが入ってきて、その感触にぶるりと震えた。
 俺に覆いかぶさる彼の広い背中にすがりつき、爪を立ててしまいそうになるのをこらえる。
 なのにアレッシオの奴、俺が我慢したらすぐに察して、余計に追い詰めてくるんだ。

「んっ、あっ……アレッシオ、アレッシオ……!」
「オルフェ……我慢しなくて、いいですよ……傷、付けてください……」
「やっ、ふかっ、ああぁーっ!」

 奥をずくりと突かれ、瞼の裏に閃光が走り、俺は必死でアレッシオの背をかりかりと掻いていた。
 その瞬間軽く達してしまった感覚があるのに、俺の中の彼は容赦なく、それでいて丁寧に何度も深い場所を突いてくる。

「ひんっ! あぁうっ! ……わ、わたし、今、果ててっ」
「くっ……ふぅ……」
「あ、あれっしお、まって、まっ……んああっ!」


 ……このへんから、俺の記憶はぽーんと飛んでいる。
 なんか無我夢中でかりかりしてたなって、そのぐらいだよ。

 翌朝、目覚めた場所は俺のベッドじゃなく、アレッシオのベッドの上だった。
 寝室がふたつあったほうがいい理由はまさにコレである。

 朝メシを食う前から既に満腹そうな顔をした彼が、体力を搾り取られてグロッキーになっている俺の頭を愛しげに撫で、ガウンを取るためにくるりと背を向けた。
 その背には、猫の引っかき傷が綺麗に描かれていた。

 もちろん我が家の子猫に濡れ衣を着せたわけではない。
 引っかき傷の幅と長さからして、ちんまりとした子猫の爪では有り得ないからな。
 それでも「猫だよ。俺じゃないよ多分」と言いたくなるのは、それをつけた経緯を思い出し、悶えたくなるからである。
 アレッシオは、そんな俺の心理なんてお見通しなのだろう。せっせと俺の世話を焼きながら、終始ご機嫌そうだ。

 顔がホカホカするのを自覚しつつ、子猫はどうしているのかなと訊いたら、今回連れてきたメイド達が大喜びでお世話しているらしい。
 持ってきた羽根やネズミの玩具オモチャで、きゃっきゃと遊んでいるそうだ。
 普段はエルメリンダとミラに任せることが多いからな。本当は自分も子猫様のお世話をさせていただきたいと、うらやましがっていた者が結構いるのだろう。

 朝食の世話をしてもらいながら腹を満たし、ゆったりと流れる時間を感じつつお喋りをして、少し濃厚ないちゃいちゃをする。
 昼食で腹が満ちたら少しの間だけ午睡を取り、起きたら昨夜はまだ見ていなかった別荘の中を見て回った。
 夜になると夕飯を食い、また露天風呂に入ろうと思っていたら、雪が降り始めた。
 なので、屋内風呂に変更。……これはこれで最高だった。
 風呂として最高という意味である。決して、いちゃいちゃの用途に最高というわけでは、だな……

「あ、んうう……ん、んっ……」
「口を押さえないで。ここでは、声を殺さなくてもいいんでしょう?」

 あ、そうだった。
 そうだったけど、こんなに声が反響するとは思わず、抑えたくなるのだ。

「き、傷、しみないか? 背中……」
「ちっとも。嬉しいですよ」

 アレッシオはその言葉通り嬉しそうな表情で、浴槽の脇の床に座り、俺は彼をまたぐ格好で下から貫かれていた。
 白い湯気の中、時に湯を身体にかけながら交わり合い、俺のそこからぐちぐち響く水音と、他人の声みたいな嬌声が耳に入って、これが現実のことと思えなくなりそうだ。

「オルフェ……気持ちいい……?」
「んっ……うんっ……きもちいいっ、きもちいい……!」

 夢中で頷くと、「私もです」と耳元で感じ入ったように囁かれ、震えながら果てた。



 朝から晩までアレッシオと一緒にいて、部屋には最高の温泉が付いているときた。
 俺、ずっとここに住みたいかも。
 そんな考えてはいけないことを考え始めた家出の数日後。別荘の玄関ホールには、何故かルドヴィクとラウルとニコラとジルベルトの姿があった。

 ここ、俺の隠れ家だったんだけどな。
 でも、ルドヴィク以外は全員「押しかけてごめんね?」みたいな顔をしているから文句は言えない。
 今回ばかりは迎えに来なきゃ、俺が戻らないかもと懸念されたんだろうしな。その通りだ。

 いいよ全員泊まってけよ。客室なら何故かあるよ。掃除もされてるよ!
 ただし風呂は各部屋についてんじゃなくて、客用の共同風呂になるからな、文句言うなよ!
 そっちはそっちでデザインに力入ってるぞ! 俺は服の下に誰かさんのつけた花吹雪が舞ってるせいで、おまえらとは入れないけどな!

 それはさておき、彼らは玄関ホールに置いてあったソファセットに自由に座り、テーブルを囲んでいたんだが。
 そのテーブルの上には、見覚えのあるようなないような招待状の数々が置かれていた。

 ――そういえば、まだ返事を出していない何かがあった気がする。

 それ、書かないとダメ?
 ダメか。

 自棄やけになった俺が、あみだくじで出欠を決めようとして止められたのは余談である。




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 読んでくださってありがとうございます!
 温泉回がこんなに長くなると思いませんでした。
 自分が入りたいからか……。

感想 845

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みんなの感想(845件)

Jing
2026.03.30 Jing

いつもありがとうございます!新作も毎晩楽しみに更新をお待ちしております!

ところで、現在2巻まで出ていますが、本編終了後のアレやそれの番外編と言うか、続きだと思っていますが…。も、本になります。よね?


(どきどき)

2026.03.31 日村透

感想ありがとうございます!

こちらこそ(巻き戻りもあちらも)読みに来てくださって嬉しいです~!
本編終了後というか、ほぼ続編なアレやそれ……に関しては、どうなるんでしょう……もにょもにょ。
本になったらいいな~、と思います!

解除
冷奴
2026.03.01 冷奴

温泉回最高でした!
冬の露天風呂、たまんないですよねぇ…まだ雪景色の中で入れたことがないので、文から景色を想像したらめっちゃワクワクしました!
そしてしっかりイチャイチャも覗き見できて幸せ。
『オルフェ』呼びも大変美味しいのですが、完璧スパダリ執事(元)が敬語を外す瞬間ほど盛り上がるものはないでしょう。さすが先生、需要を分かっていらっしゃる……!!

2026.03.01 日村透

感想ありがとうございます!

季節ぎりぎり遅めの温泉回となりましたが楽しんでいただけたでしょうか♪
雪景色を眺めながらの温泉、いつか体験してみたいんですよね~。
外のお風呂も中のお風呂もきっちり満喫した二人、俗世と離れた環境でいつもよりイチャイチャにどっぷり浸かっていた模様です。迎えが来るぐらいですし。
主従は敬語が大事ですよね(きっぱり)。だからこそたまにそれが外れた時の攻が輝……(略)

解除
にゃ王さくら
2026.03.01 にゃ王さくら

入りたいよね。
でも花粉のシーズンに露天風呂は厳しいの…

2026.03.01 日村透

感想ありがとうございます!

それは厳しいですね……!
そんな時は屋内風呂のある旅館かホテル一択になりますね……オルフェオ氏の別荘のお風呂だけ使わせてもらいたいです(泊まったら宿泊費がえらいことに)。

解除

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