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★ただ今の呪い
★感謝お礼SS【ただ今の呪い】
開始当初はこれほどたくさんの方々が読みに来てくださると思わず、日々感謝しつつ驚いております。
本当にありがとうございます!
今回はいただいたコメントからお遊び・お礼ストーリーを書いてみました。
感想コメント欄にて某人物へささやかな呪いがたくさんプレゼントされており、その一部だけを実現しました。
おバカな思い付きで書いたものなので、本編のイメージを絶対壊したくない方は、申し訳ないのですが避けていただければと思います。
※本編とは関係がありません
※心の広い方はお付き合いください
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新たな妻を迎えた翌年、妻子を本邸に残し、男は例年と変わらず王都邸の門をくぐった。
今をときめく伯爵家当主たる彼は、美しい妻と、妻によく似た義息子、可愛らしい赤ん坊の話をする時は快い気分になるが、いつもながら将来の不安な長男について語る時は、失望の溜め息を禁じ得ないようだ。
今年もいつもと同じように、社交界で注目の的として過ごし、家の栄華を印象づけて終わる、そのつもりだったに違いない。
だが、執務室の机に置かれていた手紙に目を通した瞬間から、不穏な影が漂い始めた……。
―――〝【ただ今の呪い】が発動しました〟―――
男は首を傾げた。差出人も宛先もない奇妙な手紙は、てっきりこの館の老執事が置いたものとばかり思っていたが、彼は心当たりがないという。
何かの悪戯としても、執務室に侵入した者がいるとなれば放置はできない。老執事に調査と手紙の処分を命じ、その日は何事もなく過ぎた。
本格的な変化があったのは翌朝だ。
「……っ!?」
「……?」
老執事が、何故か目を剥いている。
みるみるうちに蒼白になり、何か言いたそうにしては口をつぐむ。どうしたのだろう。
朝の支度を済ませ、己の完璧な姿に満足したであろう男に、老執事はそ……と無言で鏡を差し出した。
姿見に映る姿、その後ろ側から執事が手鏡を向けている。そこに映っているのは、広々として見事な円状のハ……
「…………」
「……た、ただちに準備いたしますっ」
何も命じられていないのに、老執事は慌てて部屋を飛び出した。しばらくして息も絶え絶えに戻って来た彼の手には、亜麻色のフサフサが握られている。
メイド達がつとめて無の表情を作り、亜麻色のフサフサを後頭部に当て、ちゃきちゃきと整え始めた。
しかしその間、どうにもメイド達は息苦しそうに顔を青くしている。気のせいか、やけに香水の量が多い。ようやく準備を終えれば、やっと息ができるとでも言いたげに胸を押さえている者すらいる。どうしたことか。
それはいいが、今朝になって何故いきなり、これほどのものが出来たのだろう。昨日までは何もなかった……いや、あったはずだ。すべてがフサフサと美しい亜麻色で埋め尽くされていたはずなのに。
毛根に良い薬と解決策を探すよう執事に命じ、以前より招待されていた昼食会に参加すべく、男は馬車に乗り込んだ。
昼食会は、あまり愉快な結果にはならなかった。
食事中、胃の中から大きな空気のかたまりがせりあがり、とても良い音を響かせてしまったのである。よりによって同じテーブルにいたのは、侯爵家に公爵家に王族といった面々……彼らは何も見ず、何も聞こえなかったと笑顔に書き、なごやかに昼食会を続けてくれた。
別のテーブルで顔をそむけている者が大勢いたとしても、彼らの肩が震えているような気がしても、それはただの気のせいである。
そう、何事もなかったのだ。ただ単に空気のかたまりが出ただけである。
男は堂々と胸を張り、会場を後にした。
通りすがりの貴婦人達はみな、彼の甘い美貌を見かけると頬を染める。すれ違いざまに小さく悲鳴を上げて赤くなる初々しい女性もいて、その反応は男をおおいに満足させた。
しかし今朝の老執事のように、従者が何かを言いたそうにしては口をつぐみ、青くなっていた。その理由が判明したのは、再び馬車に乗り込んだ瞬間だ。
「…………」
ズボンの。
前が。
ボタンは取れていない。布も切れてはいない。今朝は完璧だったはずだ。なのに何故、このように広々としているのか。
男は何食わぬ顔で窓を閉じ、ボタンをはめ直した。なるほど、従者達はこれを伝えたかったようだ。
早く言え。
と、彼は紳士然とした表情の下で思ったかもしれない。
(何かが、おかしい……)
いや、気のせいだ。これは単にズボンの仕立てが悪かっただけだろう。処分させて、ほかの衣類に問題がないかも確かめさせねば。
その日は寄り道をせずに館へ戻り、衣装の管理の不備と気の利かない従者について執事を叱責し、湯を浴びるべく自室に戻って服を脱ぎ落としていった。
「うっ……!?」
とたんに、鼻を貫く異臭。
それが、己の衣類から漂っている―――。
香水と混ざり合って増幅され、悪寒を覚える臭気に彼は鼻をつまんだ。なるほど、メイド達は皆、だから息を止めて―――。
というか、こんな悪臭まみれでずっと会食に―――。
(いや……問題はない)
彼に問題などあろうはずはないのだ。これはたまたま、偶然、今日に限っただけのことである。
そう、何事も―――
ゴッ!!
「ふぐっ!?」
足の小指が段差に衝突した。
彼はよろめいて壁に手を突くと、手指の先にびりりと痛みが走った。いつの間にかすべての指先、爪周りの皮が棘のようにめくれ立っている。
保湿用の薬の用意を命じるために振り返り、
ゴッ!!
「うぐッ!?」
脛の前面が、浴室の出入口前にある衝立の角に衝突した。
メイドや従僕の顔が「うわっ」「ひぇっ」と歪められた。
これは痛い。
保湿用の薬など、思えば入浴後でもよかった。ヒリヒリするが、急ぐほどのことでもない。
男は痛みに耐えながら思い直し、再び浴室に向かおうとして―――
ゴッ!!
足の小指が段差に衝突した。
「……ッッ!?」
(二度目、だと……!?)
しかも、何故、同じ場所を。
あまりの激痛に硬直し、その場から動けない。
男の脳裏に、昨日の奇妙な手紙がよぎった……。
いや、あれはただの、何者かの嫌がらせだ。これらとは、全く関係のないものだ。そうだ、そうに違いない。
彼はまだ知らなかった。もう一通の手紙が、誰も知らぬ間に執務室に置かれていたことを。
そう、これは始まりに過ぎなかった……。
―――〝呪いが一定数に達し進化しました〟―――
- to be continued …?
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●6/9時点コメントにて
【ただ今の呪い】
後頭部〇ゲ
永遠の加齢臭
足の小指をぶつけ続ける
身動きする度に向う脛をぶつける
毎日ささくれが出来る
上位貴族との会食でゲップが出る
カッコつけ中に社会の窓全開(そしてバレる)
次回から本編に戻ります。
お付き合いいただきありがとうございましたm(_ _)m
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