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★ただ今の呪い
★感謝お礼SS2【逆祝福/呪/効果永続】
しおりを挟むいつも読みに来てくださる方、初めて来られた方もありがとうございます!
話数が増えてキャラの数も多いので、登場人物紹介の回を作ったほうがいいかな? と思い始めている今日この頃です(名前のあり・なしに限らずメインはほぼ登場しました)。
もしあったほうがわかりやすいなと思われるようでしたら、感想欄にてご意見をいただければと思います。
今回のSS、初めての方には何のことかわからないと思いますのでご説明しますと、以前感想欄で某登場人物に、それはもうさまざまな呪いのプレゼントをたくさんいただいておりまして。
その一部からお遊び・お礼ストーリーを書いており、今回はその第二弾です。
なお、おバカな思い付きで書いたものなので、本編のイメージを絶対壊したくない方は、申し訳ないのですが避けてくださいませm(_ _m)
※本編とは関係がありません
※心の広い方はお付き合いください
------------------------------------------------------
奴らがいる……。
馬車の中で、フェランド=ロッソは亜麻色の後頭部をそ……と押さえた。
この王国の貴族は、普段帽子を被る文化がない。騎士や警官隊や料理人の制帽、庭師の編み帽子など限られた職種の者が被り、ファッションとしてはあまり広まっていなかった。
彼は今、自分が率先してそれらを広めてこなかったことを、とてつもなく悔やんでいる。
全ては、あの奇妙な手紙から始まった……。
■ ■ ■
―――〝呪いが一定数に達し進化しました〟―――
―――〝【ただ今の呪い】が【逆祝福/呪/効果永続】に進化 発動しました〟―――
呪いが一定数?
進化とはなんのことだ?
彼はそれを笑い飛ばすことができなかった。
ある日、第一の手紙が届いた直後、翌朝には彼の後頭部に素晴らしく広々とした円形のハ……が出現した。
さらにはメイド達が青ざめて呼吸を止め、衣類に移るほどの異臭が身体から発生し。
さらには己より上位の王侯貴族との会食で、腹から空気のかたまりがせりあがって「ゲェェっふ」と良い音を轟かせ。
きっちり閉ざしていたはずの社会の窓が、いつの間にやら全開になっており。
段差に足の小指がヒットし。
衝立に向こう脛がヒットし。
指という指にささくれが生じ。
段差に足の小指がヒットし(二度目)。
有り得ない。これはいったい、何なのだ。
あれはただの、不審者による嫌がらせではなかったのか。
そして今朝、第二の手紙に気付いた。
いいや、そんなはずはない。呪いなどあるものか。このようなくだらぬ手紙、処分させ―――机の脚に向こう脛がヒットした。
従僕やメイドが「うわ」「痛い」と呟くのを聞き流しながら、フェランド=ロッソは腹に渾身の力を入れて痛みをこらえ、平然とした顔を作った。
……それがいけなかった。
(…………)
彼は何事もなさそうな悠然とした足取りで、憚りの場所(トイレ)へ向かった。
その数分後。
(何故だ!? 何故外れない!?)
彼は実に数分もの間、ズボンのボタンと格闘していた。
ボタンが食い込んで外れない。まさか腹が太……いやそのようなことはないはずだ。
何故か外れない。
どうにも外れない。
(かくなる上は……!)
腹がぎゅるぎゅると鳴り続け、とうとう危険領域へ達するに至り、彼は渾身の力でぶちぶちぶちとボタンの糸を引きちぎった……。
そしてお次は、下着のボタン。なぜ紐ではなくボタン式の下着を履いたのか己を問い詰めたくなりつつ、「フ…」と良い笑みを浮かべて引きちぎった。
危機は脱した。
脱したはいいが、彼はその部分に異常を覚えた。どうにも無視しきれぬ違和感……このような症状には、それ用の軟膏があることは知識として知っている。
しかし、彼はそれを必要としたことはなかった。これからも断固として、欲することはないだろう……言えるものか……「痔の薬を用意せよ」などと!
思えばこの不吉なる現象は、第二の手紙を開封する前から続いていた。おそらく昨夜の内に届いていたからであろう。
夜半、足がピシリ! と引きつり、そのたびに「はうっ!?」と飛び起きた回数は、果たして何度であったか。外出時には目の下の黒々としたクマを塗り隠さねばならぬ。
そう、本日も彼は外出をすべきだと思い立った。彼の災難は、室内に閉じこもっていると多く発生することに気付いたのである。
まずは全身を洗い、少しでもこの体臭をやわらげるべきであろう。
だがその前にもう一度、憚りの場所(トイレ)へ向かった。つい先ほど、小も出したはずなのだが、どうにもスッキリしないのだ。
改めて浴室に向かうが、やはりスッキリとしない。
たった今出したではないか。もうちょっと出したいと思うのは気のせいだ。
イライラしながら、段差と衝立の角に警戒しつつ、衣類を脱ぎ落として浴室に入った。ズボンと下着のボタンが引きちぎれているのを発見したメイドが、何とも言えない奇妙な顔をしていたことなど、フェランドには知る由もない。
つるり。
「うッ!?」
ここでまた新たな異変が襲った。
床がちゅるちゅる、さながら石鹸状になっていたのである。
ざらついた加工の石材を敷き詰めた床が、何故こうも、つるり、ちゅるんと滑りやすくなっているのだ。
しかし自分以外の者に立たせれば、何ともないと首を傾げている。
これはどういうことだ。
慎重に慎重に歩を進めて浴槽に辿り着くも……
「ッッ!? ―――なんだこれは、冷水ではないか……!?」
主人が転倒しないように傍でハラハラ見守っていた従僕は、「何言ってんだこの方」という目で湯舟に手を入れた。
「失礼いたします。 ―――は? ……あれ、冷たい? な、何故?」
フェランドが浸かった瞬間に、湯舟の中身が冷水に変じたのだ。
何度か湯を追加してみるも、足す瞬間はホカホカと湯気が出ているにもかかわらず、やはり湯舟は冷水のまま……。
(くっ……呪いなど、あるわけがないっ!)
この時、季節は秋。いつもならば社交シーズンを終えた後に領地へ戻っていたのだが、彼は今年、王都に留まっていた。
戻ればよかったのかと、ふと頭をよぎる。
そして頭を振った。何者かもわからぬ怪しいもののために、己の行動を変えることなど許せなかった。
冷え冷えとした入浴を済ませ、用意された衣類を前に、フェランドはぴたりと止まった。
「…………」
彼の視線の先にあるのは、靴。
これまでの経緯からして、何か、あるのではないか。
彼は慎重に左右のブーツを両方とも逆さまにし、何度か振り、奥も覗いた。
よし、何もないな。
そして服とズボンに袖を通し、改めて室内履きからブーツに履き替えようとして―――
ぷす。
「……!!」
左足に鋭利な何かが突き刺さった。
ブーツをひっくり返すと、小石がころんと出てきた。
血が出るほどの傷ではない。ないが……。
彼は無言で履き直し、もう片方のブーツも改めて何も入っていないのを入念に確認すると、足を通した。
ぷす。
「…………」
右足に鋭利な何かが突き刺さった。
以下略。
そうして彼は身支度を済ませ、念入りに香水を吹きつけた。
ところで鼻からぴょんと飛び出ているこの毛はなんだ。いつから出ていた。
さきほどまで無かったはずなのだが―――抜こうとしても抜けない。どういうわけかハサミですら切れない。何やら人智を超えた力で、刃からするんと逃げてしまう。
なるほど。これはどうあっても切れないようだ……。
彼は紐つき布を装着し、今や危険極まりない罠の溢れる館を脱出した。
彼は果たして、この災禍から逃れられたのだろうか?
■ ■ ■
(奴らがいる……)
気のせいではない。
道端の花壇の柵に。
植木の枝に。
屋根の上に。
奴らがいる。
「なんだか、やけに鳥が多いわねえ?」
「そうお?」
馬車の中にいるフェランドには、人々のそんな声は聴こえない。
だが奴らの狙いは、もうわかっている。何故なら既に一度、館を出る時に強襲を受けたからだ。
ハ……を覆い隠す最後の砦。彼奴らはこれを虎視眈々と狙っているのだ。
フェランドは後頭部をそ……と押さえ直した。そして御者席へ通じる窓を叩き、外食を取り消して館へ戻る旨を伝えた。
バサバサ……
バササ……
一羽。また一羽と、視界に入る羽ばたきが増えている。
フェランドは馬車を急がせた。
「これは、断じて、きさまらの巣ではない……!!」
外出先であれらに襲われることに比べれば、まだ己の館のほうが傷は浅い。彼はそう考えた。
果たして彼は、逃れられるのだろうか……。
- to be continued …?
------------------------------------------------------
●6/9時点コメント
【ただ今の呪い】
後頭部〇ゲ
加齢臭
足の小指をぶつける
向う脛をぶつける(✕2)
ささくれ(✕2)
大事な時にゲップ(✕2)
社会の窓全開(バレる)
●6/10時点コメント
【逆祝福/呪/効果永続】
後頭部〇ゲ発動後→ヅラをしたら鳥に取られる
こむら返り
睡眠不足
風呂が冷水(冬も)
床が石鹸(危険)
トイレでズボンのボタンが外れず(出そう)
左足の靴に鋭利な小石(✕2)
鼻毛ぴょん(とれない)
痔
残尿感
次回から本編に戻ります。
お付き合いいただきありがとうございました!m(_ _m)
4,355
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