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そして始まりへ
136. 癒やし、触れ合って*
しおりを挟むそういえば、俺の寝室でこの行為に及ぶのは初めてかもしれない。空の子猫ベッドを見やって少し寂しくなっていると、湯上がりのアレッシオがこめかみに慰めのキスをくれた。
俺のベッドに導かれ、端に座らされて丁寧に焦らしつつガウンを脱がされる。肌の上に手と唇を這わせながら、今夜もそこに下着がないのを見て、アレッシオがくすりと笑った。
「たまには穿いていてもいいですよ? ちゃんと脱がせてあげますから」
低く笑いながら耳元に甘い毒を流し込み、「こうやって」と背中から尻へ手を這わせる。ああ、こんな風に脱がされるんだなと、俺に理解させる手つきで、するりと太ももの裏側までを撫でた。
「は、はぁ、……ぁ……」
もうずっと口から荒い息しか出ない。既に俺のそこは元気に天を仰いでいた。二人分のガウンがパサリと落ちるのがぼんやりと聞こえる。風呂上がり用の室内履きも、ついと指をかけられてポトリと床に落ちた。
二人とも何ひとつ纏っていない。アレッシオが寝台の真ん中寄りに座り、俺はその膝をまたいで、対面で膝立ちになった。肩に手を置くよう導かれ、自分よりずっと筋肉質な身体にドキドキする。
「間が空いてしまいましたから、少し固くなっていますね。苦痛がないようにしっかりと慣らします」
「う、うん」
香油の小瓶の蓋が開けられ、仄かな甘い香りが漂う。
ぬめりを纏った指先が孔に触れ、指の腹でくちくちと円を描いて揉まれるだけで、そこから走る快感に背がしなった。
一番長い指が一本、ぬぐり、と入ってきて、慎重に中を揉みながら奥へ奥へと上がってくる。
「はっ、んんっ……ふっ、……ふぅっ……」
「……あなたのご負担を考えれば、今夜は、慣らすだけで済ませたほうがいいのでしょうけれど。申し訳ありません」
アレッシオは俺の胎を撫でながら、「ここに入りたい」と低く呟き、俺はたまらず中を食い締めていた。そのセリフと声だけで達しそうだ。
指が根元まで埋まり込んでも苦痛はない。ただし以前よりきつい感覚はある。確かに固くなっているのだろう。
それからは何度か香油を足しながら、指の本数を徐々に増やし、丁寧にほぐされた。俺のそこがはちきれそうになり、たらたらと液が伝って今にも弾けそうだからか、刺激を与え過ぎないように肝心のところは外されていたけれど。
アレッシオの指が入っている、その事実だけで結構感じることができる俺の身体はつくづくちょろい。
「んっ、んっ……」
だんだん下腹のうずきがひどくなってきた。指がしっかり入っても、そこよりも奥、指の届かない場所を何度も愛された記憶が蘇り、中がきゅんきゅんと収縮して、どうにも我慢ができなくなってきた。
「アレッシオ、もう、もういいから……」
「……そう、ですね。そろそろ、いいでしょう」
まだダメだと言われたら、本気で泣いたかもしれない。指が引き抜かれるのにさえ震えながら、アレッシオのそこを見ると、そちらもすっかり勃ち上がっていて嬉しくなった。
俺が暴発しないように身体を離して、お互いのものは刺激していないのに。
「自分で、入れられますか?」
この体勢から、そうかなと思っていたけれど……今夜は俺がアレッシオを気持ちよくさせてあげるターンだな。任せろ!
と、心の中では威勢のいいことを言っておきながら、実際彼のそれに触れるのはかなりの勇気が必要だった。
おそるおそる、できるだけ力を籠めず、手の平で包んだ。
うわ……でかいなー……ビクってした……うわー……。
これを、自分で自分の尻に導いて埋め込むのだ。
想像するだけで頭がボン! とショートしそうだが、アレッシオが待っているのだ。ここでフリーズしてなるものか。
入りやすいように足の角度をずらし、尻の孔をそちらに向けて……ってこれ、めちゃくちゃ恥ずかしい……!!
変に時間をかけるから余計に恥ずかしいんじゃないかと、思い切ってピタリとくっつけてズブリと先端をもぐり込ませたら、衝撃で足が震え始めた。
「急がないで。ゆっくりでいいですから」
「はっ、あう、んっ……」
「そう……そのまま、腰を落としてください。お上手ですよ……」
「……ん、ん……」
耳元で囁かないで欲しいのに、褒めてもらえると嬉しい。天井を見上げながらはっ、はっ、と息を吐き、なんとか腰のこわばりを抜いた。
当たり前だけど、自分で入れている感がすごくて気絶しそうになる。亀頭の形をしっかり感じながら、体重をかけてゆっくり、ゆっくり腰を下ろした。途中で彼のものから手を離し、肩に掴まると、俺が倒れないように背を支えてくれた。
あ……ここから先、指の届かないとこだ……。
自分でその場所へ受け入れてゆく行為は、とてつもない倒錯感に似た羞恥を呼び起こす。意を決して体重をかければ、ぐぐぐ、とそこを掻き分けて入ってきた。
「ふ、はっ、はあっ……はあっ……」
ようやく尻たぶが彼の太ももに密着し、ほう、と溜め息をついた。まだ序盤の行為なのに、やりきった感がすさまじい。
胎の一番奥まで、みっしりとアレッシオの男根がおさまっている。久しぶりだからなのか、彼の形がとてもリアルだ。胎内でビクビクしている……ひょっとして、彼のものへ直接触れたからより鮮明に感じるのだろうか。
俺の中に、アレッシオが居る。
嬉しい……。
「あっ? んっ……はっ……」
乳首を舐められた。ちょうど彼の顔に胸を突き出す格好になっていたからだ。試しに自分で弄ってみても、触っているのがわかる程度の感覚しかない尖りが、どうして彼にされるとこんなにも突き抜ける性感をもたらすのだろう。
たまらずアレッシオの頭を抱き込んだ。まるでもっとして欲しいみたいだ。実際俺はそこが弱いと知っているから、アレッシオも集中的に攻めてくる。
唇で包みながら、舌先で粒をねろりと転がされたらもうダメだ。変な声が止められない。舌の動きに合わせて、胎内にいる彼のそれを何度も絞ってしまう。腰がひくひく震えて、細かい悦楽がさざ波となってそこから全身へと広まってゆく。
何度目かの波で、小さな絶頂感。
「あっ……」
とうに限界だった先端から、とぷり、と溢れてしまった。
アレッシオは放置されていたもう一方の粒を味わい始め、俺は中にいる彼の形を強く意識しながら、断続的にとぷ、とぷり、と溢れさせた。一気に噴き出るのではなく、じっくりあぶられた絶頂感が長く続く。
「ぁ、んん、んう……あれっしお、あぁ……」
「オルフェ……気持ち、いいですか?」
「……うん……うん……」
きもちいい……きもちいいよ……。
これ、好きだ……すごく好き……。
おまえをすごく感じるし。どろどろにとけて、頭が変になって、でも意識はちゃんとあるから、おまえと触れ合っているのがよくわかるんだ。
重なって、混ざり合って、熱を分け合って……。
ああでも、今夜は、おまえを気持ちよくしてあげたいんだよ。俺がおまえを安心させて、癒やしてあげたいのに、また俺のほうが先に気持ちよくなっちゃったな。
見おろせば、鳶色の瞳がこちらを見上げていた。これに見つめられると、いつも全身が焼かれそうになる。
彼の額に汗が浮かんでいた。その雫を軽く拭いながら、乱れている前髪をよけてやると、心地よさそうに目を細めた。
かわいい……。
唇を重ねていた。重ねてから、自分から口付けるのも初めてだったのだと思い出した。
やっぱり俺、へたくそだな。アレッシオにいつもどうされているのか、いちいち記憶を呼び出しながら、唇を食んでみたり、角度を変えてみたり。
あ、いま少し口を開けてくれたのは、舌を入れてもいいよおいで、ていうことかな? おずおずとお邪魔してみたら、すぐに彼の舌が出迎えてくれた。
やわらかく絡んで、こうすればいいよと教えてくれる動き。口付けているのは俺なのに、舌を入れているのも俺のほうなのに、完全にリードされてしまっているぞ。
初心者ですまん。でも気持ちいいな……。
「ふ、……んむっ? ん、ふ?」
ずぐり、と中が蠢いた。
……なんか、おおきくなっている、ような。
あっ……ちょっと待って……経験上、これは―――とてもまずい……。
慌てて「ぷはっ」と口を離すと、そこには限界まで腹をすかせた捕食者の瞳が……。
あのアレッシオさん、そのう今夜は、俺が頑張るターン、だったのでは……?
俺をゆるく抱いていた腕に、ぐ、と力がこもった。
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