どうやら悪の令息に転生したようだ

日村透

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番外・後日談

久しぶりに二人でいちゃいちゃ (2)*

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 リシェルのお腹が大きくなってきた頃から禁欲を始めたので、数えたら余裕で半年……いや、もっと前からか。
 その間はずっと、キスや軽い触れ合いに留めていた。
 もう少ししたら離乳食が始まるということなので、それまでの我慢だと思っていたんだが、まさかリシェルからお誘いをくれるとは。

 しかも俺の知らないところでサシャの部屋を調え、メイド達と打ち合わせ済みという手回しのよさ。
 なんとしてもやるぞという気合をひしひしと感じ、俺としては感動するしかない。
 かといって「今夜は寝かせないぞ」とはいかないので、手加減はするけどね。だって数時間後にはまたあげることになるんだから。

 他家の夫婦と比べるのもなんだが、普通は乳母がすんなり決まって、赤ん坊の頃から親と部屋を分ける。
 俺達の場合はその乳母が決まらなかったため、サシャのベッドを同じ寝室に置くことになった。
 俺もリシェルも赤ちゃんの泣き声は平気だったので、それ自体を苦痛に感じたことはない。おまけに使用人が何人もいてくれるんだから、数時間おきに泣かれたって何のその。
 ムスター家ではそれがすっかり当たり前になったけれど、よその貴族にこれを言ったらめちゃくちゃ驚かれる。
 あのアデリナお姉様やエアハルトですらびっくりしていたぐらいだ。

 万一リシェルが体調を崩した時のため、臨時の乳母役は決めていた。ムスター邸の縫製ほうせい室で働いている若いお針子さんで、リシェルと近い時期にお子さんを産んだ女性だ。
 夫婦ともに住み込みで働いており、人品にも不安はない。
 ただ、平民の使用人だから正式な乳母にはできず、緊急時にはお願いするのでそのつもりでいてほしいと伝えてある。
 今のところその機会はなく、年始の冬風邪の流行もなかったのでマジでよかった。



 深く口付けながら、寝台に仰向けに寝かせたリシェルの肌着をじっくりと脱がしていく。
 この、脱がす過程も好きなんだよな……恥じらいながら抵抗せず、俺に脱がされるままのリシェルがたまらん、とか言ったらオヤジっぽいか?
 既に紅潮している肌は、手の平の下で吸い付くようにしっとりとして、ぴくりと震えたりしなったりするのがなんとも愛しかった。
 彼の首を飾る白銀の羽根と天色あまいろの石に口付けると、まるで首に直接吸いついた時みたいに切ない声を上げる。
 その声がもう、やばいなんてものじゃない。下半身にズシンとくる。

 ともすればガツガツ貪りたくなる自分を押しとどめ、慎重に心を込めて触れていった。
 胸だけは触れない。そこはサシャがゴハンだけで充分になるまで、決して触れてはならない聖域なのだ。
 そこ以外の場所は、余すところなく触れて、撫でて、口付けて、舐めていった。

「はうっ、あっ! だ、だめっ、でちゃっ……」

 リシェルの男の子の証を軽く握ったら、その瞬間にぴゅ、と先端から白濁が漏れた。
 必死で我慢していたのに軽く達してしまったのか、涙目で荒い息をついている。

 これも舐めてあげようと思ったんだけど、達しすぎたら後々キツイかな?
 リシェルはリシェルで久々の行為にかなりているみたいだし。あまり焦らすのもよくないだろう。
 俺は中指を二つの袋の奥に通し、会陰をク、と押した。
 ここに開いていた道は、サシャが産まれて二ヶ月ほどですっかり閉じている。

「はっ、あ、ん……」

 この場所はリシェルの弱いところのひとつ。
 軽く押しながらこすってやると、不埒ふらちな俺の腕を両ふとももでキュッと挟み込んでくる。
 構わず指を奥に押し進め、ぬかるんだ後孔にもぐりこませてやると、彼はか細い鳴き声を上げてのけぞった。
 片手で前をいじりながら、もう片方の手で後ろをこねているうちに、鳴き声がどんどん切羽詰まってくる。

 そろそろかな。
 リシェルが達してしまう前に中心から手を離し、指も引き抜くと、膝を掴んで左右にひらかせた。

「あ……!」
「……リシェル? 顔、隠さないで?」
「や、やだ……みっともないよ……」
「綺麗だよ? 可愛い。顔、見たいな」

 サッと頬を染め、両手で顔を隠すのは超可愛いんだが、今夜は久しぶりだから顔をちゃんと見たいのだ。
 おずおずと手をどけてくれたおかげで、その下から潤んだ天色あまいろの瞳と、濡れて引き結ばれた唇、林檎のように紅潮した頬が出てきた。

「可愛い、リシェル……」
「あっ……あ、んうぅ……」

 焦らさずに中に埋め込んだ。
 すぐにリシェルの両足が俺の腰に絡み、手もいっぱいに伸ばしてしがみついてくる。
 全身を使って抱きしめられ、くらりとめまいがした。



 およそ半年以上ぶりにリシェルをたっぷりと味わい、二人で一緒に風呂に入った。
 お湯の準備も絶対されていると思ったよ。うちのメイドさん達ってば有能だから……と感心しかけて、ふと気付いた。

「もしかして、これもリシェルが手配した?」
「……うん。きっと使うから、ほど良い頃にお願いって伝えておいたんだ」

 俺にもたれかかり、照れながらそんなことを言われたら、ここでもう一戦したくなるじゃないか。
 不埒ふらちな俺が復活しそうになる寸前、リシェルが話題を変えて事なきを得た。

「次にエアハルト義兄にい様とお会いした時は、抱っこが上手になっているかな?」
「なっていそうだなぁ。たくさん練習していそうだ」

 俺もそれを思い出し、リシェルと頬をすり合わせてくすくす笑った。
 一般的な貴族の家庭では、当主夫妻が赤ちゃんの子育てをすることはない。それはアデリナお姉様とエアハルトですらそうだった。
 だから二人はうちに来た時、俺とリシェルが当たり前にサシャを抱っこしているのを見て驚いていたんだ。

 アデリナお姉様やエアハルトは、双子の子供達の頭を撫でてキスをすることはあっても、抱っこをしてあげたことがなかったらしい。
 そこでまず、お姉様が抱っこにチャレンジしたいと言い出した。
 それを聞いてあちらの家の乳母が慌ててたな。自分の仕事を奪われる心配をしたんじゃなく、今まで一度もしたことがなかったものだから、純粋に大丈夫なのかと心配していたのだ。

 なので一旦はソファに深く腰を落とした状態で、抱っこを試すことにした。それなら、万が一にも落とす恐れはない。
 ぎこちなかったものの、お姉様はすぐに慣れて、我が子の重みに感動していたっけな。
 意外にも下手だったのがエアハルト。ガタイが違うし腕力もあるのに、どうしてかうまくいかない。
 双子はサシャより少し大きくなっているから、多少動きが激しくなっているせいもあるんだろうなと、おっかなびっくりでチャレンジしているエアハルトを見ながら俺は思った。

『想像以上にふにゃふにゃしていて、どうすればいいかわからなくなるのだ。だが、次こそはきっと……!』

 無理して子供に嫌がられたらいけませんのでほどほどにね、と忠告したら、ガーンとしていたけれど。
 エアハルトは努力家だし有言実行の男だから、次回会う頃には抱っこスキルを上げているに違いない。

 思い出し笑いをしていたら、リシェルが俺の頬に手を添え、笑みを含んだ唇を重ねてきた。
 こういう時、「これでまた明日から頑張れるわ俺」と真剣に思う。


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