陽廻りの書

日村透

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神秘と心霊と

66. オズワルドの手紙

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 遅くなりますが、本日中にエピローグを投稿します。

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 ――親愛なる友、ジェイムズへ。


 ジェイムズ。おまえは今、大丈夫なのか?
 おまえが追い詰められているのではないかと、俺は心配でならない。

 俺の母親のことについて、一度も話したことはなかったな。
 おまえも俺に訊かなかった。きっと尋ねたところで、幼い俺は覚えていないと思ったんだろう。
 本当はよく覚えているんだ。

 彼女は、まじない師に傾倒している女性だった。
 人の忠告より、子供の訴えより、まじない師の言葉を信じる。そしてまじない師に言われるがまま、幸運のお守りを購入して、それを何よりも大事にするような女性だったよ。

 多分、教養のある家庭の娘だったんだろうな。
 けれど彼女のそういうところが煙たがられて、追い出されたんじゃないかと思っている。
 お腹の子供と一緒に。

 彼女は俺が奇妙な幻覚を見るのは、悪い霊に取り憑かれているせいだと決めつけた。
 まじない師の言う通りに毎日祈っていれば、いつか俺が正常になると信じていた。
 おかしな話だよな。怪しいまじないは信じるのに、俺が見ているもののことは否定するなんて。

 当時の俺は無知な子供だった。
 己の見たまますべてを語ることが、どれほど相手にとって危険をもたらすのか、何も知らなかったんだ。
 母親に信じてもらいたくて、目に映るもの、耳に聞こえるものすべてを喋った。そのせいで、あちらとこちらが通じやすくなるんだとも知らずに。

 ある日、あちらが母親の存在を認識してしまった。
 そして彼女はその時初めて、自分のそばに何かがいると察した表情で、後ろを振り返った。
 その瞬間、そいつと目が合ってしまったんだ。

 彼女は逃げた。俺を置いて。
 俺の語るすべてが真実であり、これまで自分の信じていたことがただのまやかしだったのだと、やっと理解してしまったから。
 その後、彼女がどうなったかはわからない。

 俺はおまえに乞われるがまま、俺の見聞きしたものを語ってしまった。
 そのせいでおまえは今、あの時の彼女と近い状況になってしまっているのではないか?
 鏡に怯え、窓に怯え、隙間の暗がりに、物音に怯え、どこか遠くに独りきりで閉じこもり、震えているのではないかと。
 そう思い、居ても立ってもいられなくなった。

 誤解しないでくれ、ジェイムズ。
 おまえを怒ることも恨むこともないよ。
 自力では抜け出せなかったあの場所から、俺を引っ張り上げてくれたのはジェイムズなんだから。
 俺はもう無知で非力な子供じゃない。今度は俺が引っ張ってやれるほどの知恵も力も付いたんだ。
 だから何も気にせず、助けを求めてくれ。
 おまえが悪びれない顔で、「そんな怒るなよオズ、おまえのおかげで儲かったぜ」って、ちょっとした悪さを明かしてくれる日を待っているんだから。

 だからもう苦しまず、何も思い悩まないでくれ。


 ――オズワルドより。


 追伸。
 手紙の書き方、なかなかうまくなっただろう?
 おまえのおかげだよ。


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