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第二章 取り戻したい男
40.憎しみを抱えた女
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川べりに建てられたリーナの家の二階にシェイルがいた。
外側から鍵を閉められ、逃げ出せないように一階でダルニが見張っている。
家に戻ってきたリーナは苛ついた気分のままシェイルの部屋に向かった。
リーナの帰りに気づいたダルニが素早く動き、二階に上がる階段の手前でリーナの腰を捕まえた。
不満そうに顔を険しくしたリーナをダルニは二人の寝室に連れ込んだ。
リーナは逆らわず寝台に押し倒されるとダルニの体を受け入れた。
夫に求められたら応えるのはトーリ族の妻として当然のことだった。
ダルニの見事な体に完全に征服され、リーナは激しい怒りをあらかた吐きだしたが、それでもまだ苛立っていた。
「あの子を見ていると無性に苛立つ」
裸のリーナを腕に抱いて、ダルニは無言でリーナの言葉を聞いていた。
「あの男にそっくりな髪も目も、あの体も全部トーリ族と似ていない。思い知るべきだ。あれはトーリ族に相応しくない。身の程をわきまえてもいない。もっと従順になるはずだったのに」
多少は収まったと思ったが、リーナの怒りは後から後から沸いてきた。
「お前が望むなら排除してもいい」
ダルニの物騒な言葉をリーナは否定しなかった。
「あれが死んだら私の気は晴れるのかしら……」
それは永遠の問いだった。大切に保護してきた娘であったが、そこに愛があったわけではない。
ただただ、傍にいるだけで苛立ちが募った。
最初から気に入らなかった。髪と目の色が嫌いだった。戦士として外にいる間は女神の洞にいる者たちがヴェリエを育てたが、外から帰れば引き取らなければならなかった。
苛立ちをぶつけるようにヴェリエに接し始めたが、ヴェリエは常にリーナに憧れるような眼差しを向けてきた。
夜中にうろちょろと動き回るヴェリエを殴りつけたことがあった。
「母さんみたいに強くなりたくて……」
どこかで拾った木切れを持って居間でテーブルを殴っていたらしいヴェリエは大粒の涙を流して言い訳をした。胸の奥に渦巻く苛立ちをどう解消していいかわからなかった。
『ごめんなさい』
泣いているヴェリエの顔ばかりが思い出される。あの娘を殺せば、少しはこの苦しみが晴れるだろうか、リーナは考えた。
その脳裏に浮かぶのは涼しい顔をして、ソファーに寝そべっていたロナウスの姿。
まるでリーナの手からヴェリエを守っているかのような態度だった。
ヴェリエが訓練中に殺されかけた時、もし死んだらその遺体をロナウスの部屋に投げ込んでやろうと考えていた。
訓練中に瀕死になったヴェリエをオロ達が連れ去った時にはこれで見納めだと思ったぐらいだった。
リーナは悶々とする心に十年以上も悩まされていた。どれだけ腕を磨いても、どれだけ女の中で高い位置についたとしてもその心は晴れない。
殺そうと何度も思った。いつか死んでしまうのではないかと思うような訓練をさせた。なぜ生き延びたのか。
あの姿を見れば苛立ちが募り、どこかで幸せに生きているのだと思えば怒りが込み上げ、あの男の傍に居るのだと思えば殺したくなる。
なぜなのか。
もう過ぎた事。忘れた事。それなのにヴェリエがいる限り昔の亡霊に囚われ、前に進めない。
あの娘のせいだ。
一族の血を引く子供は保護される。殺せないが事故死であれば珍しくもない。
リーナはダルニに囁いた。
「トーリ族の一員であることを認められなければ外に出せないことにしよう。灰色アイデンベアを狩れるほどの腕がなければ外には出せない」
ダルニはトーリ族で最も強い戦士だ。リーナを手に入れるために鍛え続けたその腕は今やトーリ族最強のものになった。
ダルニが提案すればそれは族長会議の議題にあげられる。
トーリ族として相応しくない弱い娘、手に入らなかった男の娘。
その地位を引き継ぐ男と幸せに暮らすなど許されるわけがない。
リーナは腹立ちまぎれに折檻しようと思っていたシェイルのことを忘れた。
ただひたすらに憎しみの黒い炎で身を焦がし、静かにダルニの腕の中で目を閉じた。
翌日、ヴェリエはさっそく雪山羊を誘導する念を魔鉱石に込め、その石を訓練場の周りに埋めた。雪山羊は大人しくヴェリエの後ろをついて歩き、さらに背中に乗せて岩場を上がった。
ヴェリエを保護する男たちは早朝からいなかった。
恐らく族長会議に呼ばれたのだろうとヴェリエは思った。となればリーナもダルニもいないはずだ。
仕事を終えると、ヴェリエは雪山羊の背に乗った。
ゲール山に向かってゆっくりと雪山羊は移動を始め、ドウェイン城へ向かった。
ゲール山の中腹に位置する岩場にはエリオが待っていた。
昨日帰ってこなかったヴェリエのことが気がかりで一睡もできなかった。
アーダの森の入り口か、この岩場かどちらで待つか迷い、雪山羊が訪れるこの岩場で待つことに決めた。
その日は穏やかな天気で、空の青さが雲に透けていた。
細い尾根の上を雪山羊たちが並んだ雲のように近づいてくるのが見えると、エリオは突き出した岩棚によじ登り、その上から雪山羊の背中を見おろした。
何頭か眼下を通り過ぎ、ひと際大きな雪山羊がやってきた。
その背に、またがるようにヴェリエが座っている。
風にきらめく金色の髪に春先の空の色と同じ瞳の色。それから、全く戦闘に向かない小柄な細い体。
背中に乗せたヴェリエの重さなど感じていない様子で雪山羊はのんびりと歩いてくる。
「ヴェリエ!」
エリオは飛び降り、ヴェリエを雪山羊から抱き下ろした。エリオの腕の中でヴェリエは涙をにじませた。
細い肩を抱きしめたまま、エリオはしばらくの間動かなかった。
ヴェリエが身じろいだ。
「エリオ……よくないわ……」
体を離し、エリオはヴェリエの顔を覗き込むと、泣きすぎて少し腫れている瞼にそっと指で触れた。
「なぜ泣いている?何があった?」
「大丈夫……。ニール達が慰めてくれたの。驚いちゃった」
元気な笑顔を作り、ヴェリエはエリオの手元を見た。
「なあにそれ?」
腕ぐらいもある筒だった。
「この間の毒針を灰色アイデンベア用に改良した。少し大きくなり重くなったが、皮膚を貫通させることができる」
筒を引くと、先から鋭利な先端が現れた。
「ばねが入っているから非力な君にも打ち込むことが出来る。ここを引くと切っ先が飛び出す。押し込めば毒が出る。わずかでも突き刺すことができれば体内に毒を入れることが可能だ」
ヴェリエは受け取り、切っ先を出したりひっこめたりして操作を試した。それから棒に戻して耳元で振った。
「液体が入っている?」
「毒を湿らせた綿が詰まっている。補充は出来ないから使ったら教えてくれ。新しいのを用意する」
出来れば使う機会がない方がいいとエリオは寂しそうに言った。シェイルの産み月が迫っていた。
もし生まれた子の外見が外界の人間に似ていればヴェリエはアーダの森で暮らすと宣言している。
「ヴェリエ、ここから通うことはできないのか?あるいは、その子が気になるならここで育てるのはだめなのか?君がここに滞在していいのなら、それも出来るのではないのか?」
ヴェリエは困惑したようにエリオから目を逸らした。
「エリオ、あなたが好きよ。でも……もうどうにもできない。このままではあなたも先に進めないし、私も……トーリ族として生きるためには一族に認めてもらわなければ」
エリオは鼻をすすって地面に視線を落とした。岩場に残る雪の間から雪割草の紫の花弁が覗いている。その下の岩間からはきらきらと陽光を跳ね返しながら雪解け水が小さな川となって雪の下を流れていた。
清涼な水の音色が爽やかな時を刻み、二人は目を逸らしたまま手だけを繋ぎ合った。
その静かな時間を打ち消したのは尾根をかけてきた大きなトーリ族たちだった。
エリオがすぐに気づき、ヴェリエの手を引っ張って自分の後ろに隠した。
雪山羊の足も借りず、巨体をものともせず細い尾根伝いに駆け来んできたトーリ族の男達は既にエリオにもなじみの顔ぶれだった。
ヴェリエを保護する男達が取り囲むようにエリオの周りに立った。エリオはその物々しい気配に警戒し、ヴェリエを引き寄せた。
「何があった?」
鋭くエリオが問いかけた。前に出ようとしたヴェリエは、男達の厳しい目つきに気づき、エリオの背後に留まった。
「ニール、一体何があった?」
険しい表情で黙り込むトーリ族の戦士達に語気を強めてエリオは問いかけた。
ニールが鼻から息を吐きだし、口を開いた。
「族長会議で一人前のトーリ族でない者を外界に置いておくべきではないという意見があがった」
真っ青になったのはヴェリエだけではなかった。エリオはヴェリエを奪われまいとその体を抱きしめた。
「灰色アイデンベアを一人で狩ることになる」
オロが告げるのと同時にエリオが叫んだ。
「無理だ!そんなこと無理に決まっているだろう!」
ヴェリエは震えていた。
「しかも春先の灰色アイデンベアは気が立っている。無謀だ」
トーリ族の男達もさすがに深刻な顔つきだった。ここにいる男達全員が知っていたのだ。
それがヴェリエにとって無謀な挑戦であることを。
外側から鍵を閉められ、逃げ出せないように一階でダルニが見張っている。
家に戻ってきたリーナは苛ついた気分のままシェイルの部屋に向かった。
リーナの帰りに気づいたダルニが素早く動き、二階に上がる階段の手前でリーナの腰を捕まえた。
不満そうに顔を険しくしたリーナをダルニは二人の寝室に連れ込んだ。
リーナは逆らわず寝台に押し倒されるとダルニの体を受け入れた。
夫に求められたら応えるのはトーリ族の妻として当然のことだった。
ダルニの見事な体に完全に征服され、リーナは激しい怒りをあらかた吐きだしたが、それでもまだ苛立っていた。
「あの子を見ていると無性に苛立つ」
裸のリーナを腕に抱いて、ダルニは無言でリーナの言葉を聞いていた。
「あの男にそっくりな髪も目も、あの体も全部トーリ族と似ていない。思い知るべきだ。あれはトーリ族に相応しくない。身の程をわきまえてもいない。もっと従順になるはずだったのに」
多少は収まったと思ったが、リーナの怒りは後から後から沸いてきた。
「お前が望むなら排除してもいい」
ダルニの物騒な言葉をリーナは否定しなかった。
「あれが死んだら私の気は晴れるのかしら……」
それは永遠の問いだった。大切に保護してきた娘であったが、そこに愛があったわけではない。
ただただ、傍にいるだけで苛立ちが募った。
最初から気に入らなかった。髪と目の色が嫌いだった。戦士として外にいる間は女神の洞にいる者たちがヴェリエを育てたが、外から帰れば引き取らなければならなかった。
苛立ちをぶつけるようにヴェリエに接し始めたが、ヴェリエは常にリーナに憧れるような眼差しを向けてきた。
夜中にうろちょろと動き回るヴェリエを殴りつけたことがあった。
「母さんみたいに強くなりたくて……」
どこかで拾った木切れを持って居間でテーブルを殴っていたらしいヴェリエは大粒の涙を流して言い訳をした。胸の奥に渦巻く苛立ちをどう解消していいかわからなかった。
『ごめんなさい』
泣いているヴェリエの顔ばかりが思い出される。あの娘を殺せば、少しはこの苦しみが晴れるだろうか、リーナは考えた。
その脳裏に浮かぶのは涼しい顔をして、ソファーに寝そべっていたロナウスの姿。
まるでリーナの手からヴェリエを守っているかのような態度だった。
ヴェリエが訓練中に殺されかけた時、もし死んだらその遺体をロナウスの部屋に投げ込んでやろうと考えていた。
訓練中に瀕死になったヴェリエをオロ達が連れ去った時にはこれで見納めだと思ったぐらいだった。
リーナは悶々とする心に十年以上も悩まされていた。どれだけ腕を磨いても、どれだけ女の中で高い位置についたとしてもその心は晴れない。
殺そうと何度も思った。いつか死んでしまうのではないかと思うような訓練をさせた。なぜ生き延びたのか。
あの姿を見れば苛立ちが募り、どこかで幸せに生きているのだと思えば怒りが込み上げ、あの男の傍に居るのだと思えば殺したくなる。
なぜなのか。
もう過ぎた事。忘れた事。それなのにヴェリエがいる限り昔の亡霊に囚われ、前に進めない。
あの娘のせいだ。
一族の血を引く子供は保護される。殺せないが事故死であれば珍しくもない。
リーナはダルニに囁いた。
「トーリ族の一員であることを認められなければ外に出せないことにしよう。灰色アイデンベアを狩れるほどの腕がなければ外には出せない」
ダルニはトーリ族で最も強い戦士だ。リーナを手に入れるために鍛え続けたその腕は今やトーリ族最強のものになった。
ダルニが提案すればそれは族長会議の議題にあげられる。
トーリ族として相応しくない弱い娘、手に入らなかった男の娘。
その地位を引き継ぐ男と幸せに暮らすなど許されるわけがない。
リーナは腹立ちまぎれに折檻しようと思っていたシェイルのことを忘れた。
ただひたすらに憎しみの黒い炎で身を焦がし、静かにダルニの腕の中で目を閉じた。
翌日、ヴェリエはさっそく雪山羊を誘導する念を魔鉱石に込め、その石を訓練場の周りに埋めた。雪山羊は大人しくヴェリエの後ろをついて歩き、さらに背中に乗せて岩場を上がった。
ヴェリエを保護する男たちは早朝からいなかった。
恐らく族長会議に呼ばれたのだろうとヴェリエは思った。となればリーナもダルニもいないはずだ。
仕事を終えると、ヴェリエは雪山羊の背に乗った。
ゲール山に向かってゆっくりと雪山羊は移動を始め、ドウェイン城へ向かった。
ゲール山の中腹に位置する岩場にはエリオが待っていた。
昨日帰ってこなかったヴェリエのことが気がかりで一睡もできなかった。
アーダの森の入り口か、この岩場かどちらで待つか迷い、雪山羊が訪れるこの岩場で待つことに決めた。
その日は穏やかな天気で、空の青さが雲に透けていた。
細い尾根の上を雪山羊たちが並んだ雲のように近づいてくるのが見えると、エリオは突き出した岩棚によじ登り、その上から雪山羊の背中を見おろした。
何頭か眼下を通り過ぎ、ひと際大きな雪山羊がやってきた。
その背に、またがるようにヴェリエが座っている。
風にきらめく金色の髪に春先の空の色と同じ瞳の色。それから、全く戦闘に向かない小柄な細い体。
背中に乗せたヴェリエの重さなど感じていない様子で雪山羊はのんびりと歩いてくる。
「ヴェリエ!」
エリオは飛び降り、ヴェリエを雪山羊から抱き下ろした。エリオの腕の中でヴェリエは涙をにじませた。
細い肩を抱きしめたまま、エリオはしばらくの間動かなかった。
ヴェリエが身じろいだ。
「エリオ……よくないわ……」
体を離し、エリオはヴェリエの顔を覗き込むと、泣きすぎて少し腫れている瞼にそっと指で触れた。
「なぜ泣いている?何があった?」
「大丈夫……。ニール達が慰めてくれたの。驚いちゃった」
元気な笑顔を作り、ヴェリエはエリオの手元を見た。
「なあにそれ?」
腕ぐらいもある筒だった。
「この間の毒針を灰色アイデンベア用に改良した。少し大きくなり重くなったが、皮膚を貫通させることができる」
筒を引くと、先から鋭利な先端が現れた。
「ばねが入っているから非力な君にも打ち込むことが出来る。ここを引くと切っ先が飛び出す。押し込めば毒が出る。わずかでも突き刺すことができれば体内に毒を入れることが可能だ」
ヴェリエは受け取り、切っ先を出したりひっこめたりして操作を試した。それから棒に戻して耳元で振った。
「液体が入っている?」
「毒を湿らせた綿が詰まっている。補充は出来ないから使ったら教えてくれ。新しいのを用意する」
出来れば使う機会がない方がいいとエリオは寂しそうに言った。シェイルの産み月が迫っていた。
もし生まれた子の外見が外界の人間に似ていればヴェリエはアーダの森で暮らすと宣言している。
「ヴェリエ、ここから通うことはできないのか?あるいは、その子が気になるならここで育てるのはだめなのか?君がここに滞在していいのなら、それも出来るのではないのか?」
ヴェリエは困惑したようにエリオから目を逸らした。
「エリオ、あなたが好きよ。でも……もうどうにもできない。このままではあなたも先に進めないし、私も……トーリ族として生きるためには一族に認めてもらわなければ」
エリオは鼻をすすって地面に視線を落とした。岩場に残る雪の間から雪割草の紫の花弁が覗いている。その下の岩間からはきらきらと陽光を跳ね返しながら雪解け水が小さな川となって雪の下を流れていた。
清涼な水の音色が爽やかな時を刻み、二人は目を逸らしたまま手だけを繋ぎ合った。
その静かな時間を打ち消したのは尾根をかけてきた大きなトーリ族たちだった。
エリオがすぐに気づき、ヴェリエの手を引っ張って自分の後ろに隠した。
雪山羊の足も借りず、巨体をものともせず細い尾根伝いに駆け来んできたトーリ族の男達は既にエリオにもなじみの顔ぶれだった。
ヴェリエを保護する男達が取り囲むようにエリオの周りに立った。エリオはその物々しい気配に警戒し、ヴェリエを引き寄せた。
「何があった?」
鋭くエリオが問いかけた。前に出ようとしたヴェリエは、男達の厳しい目つきに気づき、エリオの背後に留まった。
「ニール、一体何があった?」
険しい表情で黙り込むトーリ族の戦士達に語気を強めてエリオは問いかけた。
ニールが鼻から息を吐きだし、口を開いた。
「族長会議で一人前のトーリ族でない者を外界に置いておくべきではないという意見があがった」
真っ青になったのはヴェリエだけではなかった。エリオはヴェリエを奪われまいとその体を抱きしめた。
「灰色アイデンベアを一人で狩ることになる」
オロが告げるのと同時にエリオが叫んだ。
「無理だ!そんなこと無理に決まっているだろう!」
ヴェリエは震えていた。
「しかも春先の灰色アイデンベアは気が立っている。無謀だ」
トーリ族の男達もさすがに深刻な顔つきだった。ここにいる男達全員が知っていたのだ。
それがヴェリエにとって無謀な挑戦であることを。
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