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第二章 孤独な聖女
31.すれ違い
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二人の屈強な男達がその食堂に辿り着いたのはそれから数日後だった。
ロンの町の冒険依頼斡旋所で受け取った包みの中には小さな癒し玉が入っていた。
どこから来たものかと確認してみれば、それは国境を超えたゾア国だった。
不本意ながら二人は共にすぐに出立し、ゾア国へ向かった。
数日かけ、その港町に到着すると、冒険依頼斡旋所をしらみつぶしに当たり、差し出し人を聞いてまわった。
そしてようやくルナという定食屋で働く少女が出したものだと突き止めた。
即座に食堂に行ってみれば、そこには不機嫌な女将が座っており、さらに悪党面の男達が女将を囲み、すごむように立っていた。
「ここにルナという娘が働いていると聞いてきた。どこにいる?」
どうみてもあまり良い状況ではないようだが、男達もそんなことに構っている余裕はなかった。
「あんたたち、ルナのなんなんだい?父親かい?!」
女将が目を吊り上げて叫んだ。
「あの娘は娼館で働くことになっていたんだ!それなのに前金だけとって逃げたんだよ。あの子の借金だ。私は払わないよ!」
女将は用心棒たちに、この二人の男から金を取れと言いたかったのだろうが、用心棒たちは顔を見合わせた。
どうみても格が違う男達だと一目でわかった。
一人は見事な体躯に鋼の甲冑をまとい、露出している肌には恐ろしいほどの傷跡が見えていた。
そしてもう一人も明らかに戦いなれている戦士の物腰で冒険者家業のベテランといった様子だった。
そして二人とも並みの人間では扱えないほどの重量級の大剣を腰に帯びている。
「ルナはどこだと聞いている」
物騒な目を光らせているのはイグルの方だった。
トリスは周りを見回し、ずかずかと厨房まで入っていった。
「勝手に何を!」
女将が叫んだが、二人の鬼気迫る殺気に用心棒たちは動けなかった。
「いないぞ」
トリスの言葉にイグルの目が燃え上がった。
「もしもお前が、彼女に酷い扱いを1つでもしていれば俺はその復讐をせねばならない。だが、今すぐ彼女の居場所を教えれば不問にしてやる。当然彼女が無傷であることが大前提だ。答えろ」
恐ろしいほどの威圧感で吐き出された言葉は。腹の底から震えそうなほど冷酷な響きを帯びていた。
静まり返る店内で、さすがの女将もこれはただ事ではないと悟った。
「あ、あたしはただ、その、雇ってほしいと言われたから雇っただけで、お金が欲しいっていうからいい仕事を紹介してやっただけだよ!」
鋭い斬撃が女将の首を狙い、皮一枚のところで後ろのカウンターに突き刺さった。
横目で自分の顔のすぐそばに突き刺さっている巨大な刃を見て女将が悲鳴を上げた。
剣の柄を握っていたのはトリスだった。
「10にもならない彼女が娼婦になるのはあり得ない。売り飛ばされそうになって逃げたのが真相だろう。彼女の居場所の心当たりはないのか」
ぴちゃぴちゃと水が床に落ちる音が響いた。女将が失禁したのだ。
椅子を伝い、滴った黄色い液体が床に水たまりを作っていた。
トリスが剣を引き抜くと、女将は再び悲鳴をあげた。
用心棒の男達はじりじりと後退し、完全に戦意喪失していた。
「くそっ」
イグルが舌打ちをした。燃えるような殺意が全身を包んでいる。
こんな悪人だらけでは、ますますルナは用心深くなり、身を隠したがるだろう。
ここから逃げ出したということはもうゾア国は出たかもしれない。
ルナが逃げたのが数日前と知ると、男二人は再び連れ立ってそこを離れたのだった。
___
子供の足ではなかなか旅路は進まない。
ルナは辻馬車を乗り継いで、用心深く国境を越えた。
さりげなく他の客の子どものようにふるまったのだ。
検問所を抜けると、ルナはほっとして次の潜伏先を考えた。
結局またダルリア国に戻ってしまったのだ。
記憶版のあるソーリア国跡地の廃城地下に行っていないことを思い出した。
なぜか神官たちがいて入れなかったのだ。
そこでルナは再びソーリア国のあった草原へ向かった。
数日かけて、ルナは薔薇に抱かれた自分の墓の前に到着した。
廃城に入る前に、なんとなく足を向けたくなったのだ。
誰かが自分のためを考えて作ってくれた場所だった。
心が温かくなるほどうれしかったのだ。
その白い石の上に置いた癒し玉がなくなっているのを見ると、またうれしくなり、ルナは懐からもう一つ癒し玉を出して同じ場所に置いた。
ここに置いた癒し玉が誰かの役にたったかもしれないと思ったのだ。
それから誰にともなく手を合わせた。
そろそろ廃城へ向かおうかと振り返ったルナの体が硬直した。
視線の先に一人の男が立っていた。
距離はあるが、顔は見える。
見知らぬ男だと思うが、その男は食い入るようにルナを見つめていた。
恐怖に身がすくみ、ルナは顔を強張らせた。
狙われていると気づいたのだ。
逃げようと身を翻した時、悲鳴のような声が追いかけてきた。
「逃げないでくれ!頼む!」
その切羽詰まった声にルナは足を止め、首だけ振り返った。
立っていたはずの男は四つん這いになり、頭を下げていた。
その姿勢からは追ってはこられないと思い、ルナはそっと男の方を向いた。
「だ、だれ?」
小鳥がさえずるような小さな子供の声が風に乗って四つん這いの男の耳に届いた。
「私は、エイアスと申すもの。イグルの友だった男だ」
イグルの名前を聞いてルナは思わず顔をほころばせた。
「イグルの?本当?」
その声は明らかにイグルを知っている者の響きだった。
ルナを怖がらせないように両手両足は地面につけたまま、エイアスは静かに顔だけを上げた。
「ではやはり、あなたは聖女ルナ?」
途端にルナの顔は引きつり、逃げようと足を引いた。
慌ててエイアスが這いつくばるように、また頭を下げた。
「逃げないでくれ。頼む。何もしない。あなたを追ったり捕まえたりしない。だから話を聞いてほしい」
ルナはおそるおそるエイアスに近づいた。
「本当に?私をつかまえないの?」
「10年前、私は過ちを犯した。イグルの言葉を信じず、あなたを閉じ込め死なせてしまった。それを恥じている。頼む。お願いだ。イグルのもとに戻ってくれないか?彼は今度こそあなたを守る」
ルナは目を輝かせた。
「イグルは生きている?本当に?私、また彼に会えるの?」
地面を映すエイアスの視界に、ルナの小さな足が入った。
驚いてエイアスは顔を上げた。
警戒心の塊のように見えたのに、もうこんなにすぐそばまで来てしまったのだ。
ルナはしゃがみこんで、エイアスと視線を合わせた。
きらきらとした目が屈託なく笑っている。
「どこにいけばいいの?」
まるで本当の天使のようだった。
聖女とはこうしたものなのかと、エイアスは感動し、恨みも憎しみもない、その明るい表情を見つめた。
だがエイアスが立ち上がり、今部下を呼びますと告げると、ルナは飛ぶように後ろに逃げた。
エイアスは追いかけて捕まえたい衝動をかろうじて堪えた。
「捕まえるためではない。イグルにあなたが私といることを伝えるためです。私の指揮する兵士達にはあなたを丁重に保護するように命じています。呪いのこともすべてわかっています」
ルナは目をぱちくりしたが、やはり警戒していた。
大勢の人間が来てはすぐに捕まってしまう。
エイアスは考えた。
ルナは何度も騙され殺されてきた歴史を持っているのだ。
「彼はエドラ山の中腹に住まいを持っています。そこにお連れします。
私と二人で向かいましょう。そこは魔獣が多く危険な場所です。普通の人間では近づけない」
「私が閉じ込められると死ぬことは知っているの?」
エイアスは頷いた。
「必ず守ります。私たちはあなたの呪いを解きたいと思っている。イグルと同じ気持ちです。あなたを傷つけるようなことはしない」
ルナは黙っていた。
エイアスは待った。ルナがこれまでの経験からかなり用心深くなっていることはわかっていた。そして、もし逆の立場なら誰の言葉も信じられないだろう。
「じゃあ、その家の場所を教えてくれる?一人でいくから」
「魔獣が多くてとても一人では行けない」
「大丈夫よ。戦えないけど身は守れるもの。それにそこなら誰も私を襲いに来られないのでしょう?」
エイアスは頷いた。
「そこに逃げ込まれたら誰も追ってはこられないでしょう」
ルナはほっとした。やっと次の潜伏先が決まりそうだった。
「私あと3年ぐらいゆっくりしたいからそこに行くわ」
ルナはすでに逃げ腰で、じりじりと警戒するように遠ざかる。
部下を呼び、イグルに伝達を頼みたかったが、そんな行動をとればルナは不信感を抱き本格的に逃げ出すだろうとエイアスは悟った。そこで、エイアスは馬を呼び、二人きりでルナをその山まで連れていくと約束した。
エイアスは無事ルナを魔獣だらけのエドラ山に送り届けて山を下りてくるとイグルに知らせるため部下を急ぎ走らせた。
イグルとトリスはエイアスの知らせが届く直前の関門所を二か所通り過ぎた。
さらにルナならば目立つ通りを避けるのではないかと、人気のない道を選び進んだため、エイアスの知らせを持って探し回っていた兵士たちはなかなかイグルを見つけることができなかったのだ。
街道沿いで馬を休ませていたイグルとトリスの会話を偶然耳に挟んだ兵士がいなければ、その知らせが届くのはさらに遅れたことだろう。
休憩に立ち寄った食堂前で兵士はトリスが呼んだイグルの名前を聞きつけ、エイアスから伝言があると伝えることに成功したのだ。
イグルはエイアスからだと手紙を受け取ると、素早く中身を確認し焼き捨てた。
トリスは既に馬にまたがっていた。そして二人、一目散にエドラ山へ向かったのだった。
ロンの町の冒険依頼斡旋所で受け取った包みの中には小さな癒し玉が入っていた。
どこから来たものかと確認してみれば、それは国境を超えたゾア国だった。
不本意ながら二人は共にすぐに出立し、ゾア国へ向かった。
数日かけ、その港町に到着すると、冒険依頼斡旋所をしらみつぶしに当たり、差し出し人を聞いてまわった。
そしてようやくルナという定食屋で働く少女が出したものだと突き止めた。
即座に食堂に行ってみれば、そこには不機嫌な女将が座っており、さらに悪党面の男達が女将を囲み、すごむように立っていた。
「ここにルナという娘が働いていると聞いてきた。どこにいる?」
どうみてもあまり良い状況ではないようだが、男達もそんなことに構っている余裕はなかった。
「あんたたち、ルナのなんなんだい?父親かい?!」
女将が目を吊り上げて叫んだ。
「あの娘は娼館で働くことになっていたんだ!それなのに前金だけとって逃げたんだよ。あの子の借金だ。私は払わないよ!」
女将は用心棒たちに、この二人の男から金を取れと言いたかったのだろうが、用心棒たちは顔を見合わせた。
どうみても格が違う男達だと一目でわかった。
一人は見事な体躯に鋼の甲冑をまとい、露出している肌には恐ろしいほどの傷跡が見えていた。
そしてもう一人も明らかに戦いなれている戦士の物腰で冒険者家業のベテランといった様子だった。
そして二人とも並みの人間では扱えないほどの重量級の大剣を腰に帯びている。
「ルナはどこだと聞いている」
物騒な目を光らせているのはイグルの方だった。
トリスは周りを見回し、ずかずかと厨房まで入っていった。
「勝手に何を!」
女将が叫んだが、二人の鬼気迫る殺気に用心棒たちは動けなかった。
「いないぞ」
トリスの言葉にイグルの目が燃え上がった。
「もしもお前が、彼女に酷い扱いを1つでもしていれば俺はその復讐をせねばならない。だが、今すぐ彼女の居場所を教えれば不問にしてやる。当然彼女が無傷であることが大前提だ。答えろ」
恐ろしいほどの威圧感で吐き出された言葉は。腹の底から震えそうなほど冷酷な響きを帯びていた。
静まり返る店内で、さすがの女将もこれはただ事ではないと悟った。
「あ、あたしはただ、その、雇ってほしいと言われたから雇っただけで、お金が欲しいっていうからいい仕事を紹介してやっただけだよ!」
鋭い斬撃が女将の首を狙い、皮一枚のところで後ろのカウンターに突き刺さった。
横目で自分の顔のすぐそばに突き刺さっている巨大な刃を見て女将が悲鳴を上げた。
剣の柄を握っていたのはトリスだった。
「10にもならない彼女が娼婦になるのはあり得ない。売り飛ばされそうになって逃げたのが真相だろう。彼女の居場所の心当たりはないのか」
ぴちゃぴちゃと水が床に落ちる音が響いた。女将が失禁したのだ。
椅子を伝い、滴った黄色い液体が床に水たまりを作っていた。
トリスが剣を引き抜くと、女将は再び悲鳴をあげた。
用心棒の男達はじりじりと後退し、完全に戦意喪失していた。
「くそっ」
イグルが舌打ちをした。燃えるような殺意が全身を包んでいる。
こんな悪人だらけでは、ますますルナは用心深くなり、身を隠したがるだろう。
ここから逃げ出したということはもうゾア国は出たかもしれない。
ルナが逃げたのが数日前と知ると、男二人は再び連れ立ってそこを離れたのだった。
___
子供の足ではなかなか旅路は進まない。
ルナは辻馬車を乗り継いで、用心深く国境を越えた。
さりげなく他の客の子どものようにふるまったのだ。
検問所を抜けると、ルナはほっとして次の潜伏先を考えた。
結局またダルリア国に戻ってしまったのだ。
記憶版のあるソーリア国跡地の廃城地下に行っていないことを思い出した。
なぜか神官たちがいて入れなかったのだ。
そこでルナは再びソーリア国のあった草原へ向かった。
数日かけて、ルナは薔薇に抱かれた自分の墓の前に到着した。
廃城に入る前に、なんとなく足を向けたくなったのだ。
誰かが自分のためを考えて作ってくれた場所だった。
心が温かくなるほどうれしかったのだ。
その白い石の上に置いた癒し玉がなくなっているのを見ると、またうれしくなり、ルナは懐からもう一つ癒し玉を出して同じ場所に置いた。
ここに置いた癒し玉が誰かの役にたったかもしれないと思ったのだ。
それから誰にともなく手を合わせた。
そろそろ廃城へ向かおうかと振り返ったルナの体が硬直した。
視線の先に一人の男が立っていた。
距離はあるが、顔は見える。
見知らぬ男だと思うが、その男は食い入るようにルナを見つめていた。
恐怖に身がすくみ、ルナは顔を強張らせた。
狙われていると気づいたのだ。
逃げようと身を翻した時、悲鳴のような声が追いかけてきた。
「逃げないでくれ!頼む!」
その切羽詰まった声にルナは足を止め、首だけ振り返った。
立っていたはずの男は四つん這いになり、頭を下げていた。
その姿勢からは追ってはこられないと思い、ルナはそっと男の方を向いた。
「だ、だれ?」
小鳥がさえずるような小さな子供の声が風に乗って四つん這いの男の耳に届いた。
「私は、エイアスと申すもの。イグルの友だった男だ」
イグルの名前を聞いてルナは思わず顔をほころばせた。
「イグルの?本当?」
その声は明らかにイグルを知っている者の響きだった。
ルナを怖がらせないように両手両足は地面につけたまま、エイアスは静かに顔だけを上げた。
「ではやはり、あなたは聖女ルナ?」
途端にルナの顔は引きつり、逃げようと足を引いた。
慌ててエイアスが這いつくばるように、また頭を下げた。
「逃げないでくれ。頼む。何もしない。あなたを追ったり捕まえたりしない。だから話を聞いてほしい」
ルナはおそるおそるエイアスに近づいた。
「本当に?私をつかまえないの?」
「10年前、私は過ちを犯した。イグルの言葉を信じず、あなたを閉じ込め死なせてしまった。それを恥じている。頼む。お願いだ。イグルのもとに戻ってくれないか?彼は今度こそあなたを守る」
ルナは目を輝かせた。
「イグルは生きている?本当に?私、また彼に会えるの?」
地面を映すエイアスの視界に、ルナの小さな足が入った。
驚いてエイアスは顔を上げた。
警戒心の塊のように見えたのに、もうこんなにすぐそばまで来てしまったのだ。
ルナはしゃがみこんで、エイアスと視線を合わせた。
きらきらとした目が屈託なく笑っている。
「どこにいけばいいの?」
まるで本当の天使のようだった。
聖女とはこうしたものなのかと、エイアスは感動し、恨みも憎しみもない、その明るい表情を見つめた。
だがエイアスが立ち上がり、今部下を呼びますと告げると、ルナは飛ぶように後ろに逃げた。
エイアスは追いかけて捕まえたい衝動をかろうじて堪えた。
「捕まえるためではない。イグルにあなたが私といることを伝えるためです。私の指揮する兵士達にはあなたを丁重に保護するように命じています。呪いのこともすべてわかっています」
ルナは目をぱちくりしたが、やはり警戒していた。
大勢の人間が来てはすぐに捕まってしまう。
エイアスは考えた。
ルナは何度も騙され殺されてきた歴史を持っているのだ。
「彼はエドラ山の中腹に住まいを持っています。そこにお連れします。
私と二人で向かいましょう。そこは魔獣が多く危険な場所です。普通の人間では近づけない」
「私が閉じ込められると死ぬことは知っているの?」
エイアスは頷いた。
「必ず守ります。私たちはあなたの呪いを解きたいと思っている。イグルと同じ気持ちです。あなたを傷つけるようなことはしない」
ルナは黙っていた。
エイアスは待った。ルナがこれまでの経験からかなり用心深くなっていることはわかっていた。そして、もし逆の立場なら誰の言葉も信じられないだろう。
「じゃあ、その家の場所を教えてくれる?一人でいくから」
「魔獣が多くてとても一人では行けない」
「大丈夫よ。戦えないけど身は守れるもの。それにそこなら誰も私を襲いに来られないのでしょう?」
エイアスは頷いた。
「そこに逃げ込まれたら誰も追ってはこられないでしょう」
ルナはほっとした。やっと次の潜伏先が決まりそうだった。
「私あと3年ぐらいゆっくりしたいからそこに行くわ」
ルナはすでに逃げ腰で、じりじりと警戒するように遠ざかる。
部下を呼び、イグルに伝達を頼みたかったが、そんな行動をとればルナは不信感を抱き本格的に逃げ出すだろうとエイアスは悟った。そこで、エイアスは馬を呼び、二人きりでルナをその山まで連れていくと約束した。
エイアスは無事ルナを魔獣だらけのエドラ山に送り届けて山を下りてくるとイグルに知らせるため部下を急ぎ走らせた。
イグルとトリスはエイアスの知らせが届く直前の関門所を二か所通り過ぎた。
さらにルナならば目立つ通りを避けるのではないかと、人気のない道を選び進んだため、エイアスの知らせを持って探し回っていた兵士たちはなかなかイグルを見つけることができなかったのだ。
街道沿いで馬を休ませていたイグルとトリスの会話を偶然耳に挟んだ兵士がいなければ、その知らせが届くのはさらに遅れたことだろう。
休憩に立ち寄った食堂前で兵士はトリスが呼んだイグルの名前を聞きつけ、エイアスから伝言があると伝えることに成功したのだ。
イグルはエイアスからだと手紙を受け取ると、素早く中身を確認し焼き捨てた。
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