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4.理想の結婚
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雪を抱いた山々を見通す広い牧草地と小さな森の間に新しく建てられたシンシアの実家は、お城とまではいかないが、大人四人が住むには十分な大きさのお屋敷で、馬車や馬まで用意されていた。
シンシアの嫁ぎ先からの援助で、豊かな暮らしを手に入れた両親と長年の使用人であるバーナとギルは、まさに家族のようにテラスに置かれた丸テーブルを囲み、ゆっくりお茶を飲んでいた。
新しく雇われた使用人もいたが、テーブルの真ん中に、甘いお茶菓子の皿を運んできたのは、久しぶりに帰ってきた娘のシンシアだった。
「シンシア、あなたも椅子に座ったら?帰って来てから働きっぱなしじゃないの」
「いろいろ点検しておきたいのよ」
「あら、今までの家なんて、表玄関の鍵だって壊れていたのに、心配なんてしなかったわ」
クレアが言うと、夫のバーンは渋い顔で、「それは聞いていないぞ」と不機嫌な顔になった。
家の主として、さすがに耳に入れておいて欲しい話だった。
シンシアは椅子を引き寄せ、バーナとギルの間に座った。
「今までの家は、見るからに金目のものが無さそうだったじゃない。でも今度は違うから、しっかり戸締りが出来ないと困るでしょう?番犬も用意しなきゃ」
「お嬢様、私達はもう十分ですから、そんなにお金をかけないでください。受け継ぐ人だっていないんですから」
「私がいるじゃない。孫が遊びに来るかもしれないし」
ドレス姿なのに、どこか勇ましい娘をまじまじと見て、クレアは心配そうに問いかけた。
「それで、幸せなの?その……つまり、もうその……」
他に好きな人がいると告白された直後の結婚であったため、母親のクレアは心配していたのだ。さすがに母親にその問題がどうやって解決したのか、シンシアも説明出来なかった。
「そ、それがその。私の誤解だったの。恥ずかしいわ。ほほほほ……」
好きになった人がヒースだったとはとても言えない。
なぜそれがわからなかったのかと聞かれたら、真夜中に忍び込んできた、名前も顔も知らない男に恋したことを話さなければならなくなる。
娘が夜な夜な怪しい男と淫らな行為をしていたなんて知ったら、両親は心臓麻痺で死んでしまうかもしれない。
お菓子のお皿を置いて座ったシンシアの代わりに、バーナが立ち上がった。
「お嬢様、今日はお泊りですか?」
お茶を入れてシンシアの前に置き、お菓子の取り皿に勝手にカップケーキを盛り付けてフォークまで添えて出す。
まるで小さい子の世話を焼くようなバーナの姿に、シンシアは困ったように微笑んだ。
この四人の傍にいると、小さな子供に戻ってしまった気分になる。
しかし決して子供ではない。
赤ん坊のころから傍にいてくれるこの四人にも言えない秘密が山ほどある。
甘いお菓子をフォークで刺して口に運びながら、シンシアは淫らなことなど考えたこともないような顔をして、心配そうな両親に「何の問題もないよ」と微笑んで見せた。
実家に泊まったその夜、シンシアは寝台に横たわり、耳を澄ませていた。
真夜中になり、期待していた通り、かたりと窓辺で音がした。
新しい寝室は裏庭に面しており、張り出した窓の下には歩きやすそうな屋根まである。
シンシアは目を閉じたまま、窓が開く音に耳を傾け、うっすらと微笑んだ。
昔の窓より開閉はスムーズで、すぐに床に降り立つ靴音がした。
流れ込んできた夜風が少しだけ肌に触れ、窓が閉まる音と共に風が止む。
靴音が近づき、ぎしりと寝台が鳴り、マットが沈み込む。
大きな体が、無言でシンシアの上にのしかかり、その胸を乱暴にもみあげた。
「んっ……」
微笑みをたたえ、シンシアはうっとりとした声を漏らした。
「目を開けて確かめるぐらいはしろ。入ってきたのが俺じゃなかったらどうするつもりだ」
耳元で聞こえた夫の声に、シンシアは残念そうに薄眼を開けた。
月明りに愛する夫の顔が浮かび上がる。物騒な目を光らせ、少し不機嫌そうにシンシアを睨んでいる。
「ちゃんと気配も足音も確かめました。それにあなたの香りも……間違いようがありません。あの……せっかく窓から入ってきたのだから……」
「なるほど、遊びたかったのか?」
ヒースはシンシアのネグリジェの裾を掴むと、それをじわじわと顔の方までひきあげていく。
「俺としては……顔を見ていたいが……」
シンシアは無言で首を横に振った。
その熱を孕んだ濡れた瞳が、懇願するようにヒースを見上げる。
獣のように襲い掛かりたくなる強い衝動を抑え込み、ヒースはネグリジェを首のあたりまでまくり、布地でシンシアの顔を隠した。
それから両手を頭上にあげて縛り付ける。
それだけでシンシアは甘いうめき声をあげ、物欲しげに腰を揺らしてしまう。
そのか弱い素振りが、どれだけ男の飢えた獣の本性を刺激することになるのか、シンシアはわかっていない。
布越しに、ヒースはシンシアの唇を激しく奪った。
肌さえすける薄い布地は互いの唇の形を完璧にとらえている。
「いつもながら見事な体だな。しかしもっと太った方がいいな。男はやわらかい体も好きだ。胸は完璧だ。大きくて弾力があるし、俺の物を挟めば甘く吸い付いてくる。
不思議なことに、乳首はいつもとがっている。何もしなくても、ちょっと触れるだけで舐めて欲しいと主張してくる。嘘つきなお前の本心を探るにはここを見るのが一番早い。それから」
ヒースはシンシアの片足を引き上げ、素早く下着を抜き取った。
濡れた秘芯を指でいやらしく嬲る。
「ここは俺が触れる前から濡れている」
「は、恥ずかしいので、やめてください!」
羞恥に身をよじるシンシアのか弱い抵抗ぶりに、ヒースはまた低く笑い布越しの口づけをすると、露出している首に口づけの場所を移した。
そのまま体中に口づけの雨を降らせながら、ヒースは低く囁き続ける。
「俺の留守の間に何か変わったことはなかったかと、部下達に聞いたが……。お前が一人で領地の見回りに出てしまって困っていると聞いた。
野盗の首を十も馬にぶら下げて戻って来て、胴体は重くて置いてきたといったそうだな。
部下達がそれを探しに行き、雪の中で穴を掘って埋めたと聞いた。
それから、灰色狼の毛皮を引きずって戻ってきたこともあったとか……。
部下を使えと教えなかったかな?」
乳房にしゃぶりつき、ヒースはシンシアの両足を左右に持ち上げ、膝を曲げさせた。
腰を強く押しつけながら、自分はまだズボンも脱いでいない。
「んっ……ひ、ひどいです……」
焦らされているシンシアは布越しに動く影をみながら、懇願するように声をあげた。
「しかも今回の遠征は実に順調だった。お前と手合わせした兵士達はずいぶん腕を上げたようだ。俺の兵士達は女に打ち負かされることに慣れていない。生意気な女は罰せられるべきだ。そう考える男も多いと知っているか?」
「し、知っています!だから、早く……ば、ば、罰してください!」
全く白々しい演技だとヒースはくつくつと笑い、やっと自身のズボンのベルトを外し始めた。全裸になると、改めて月明りに浮かぶシンシアをじっくりと見下ろす。
ネグリジェを首まで、まくりあげられているため、顔は完全に隠れている。
その布地は、頭上に置かれた縛られた両手が押さえている。
首から下の裸身は無駄な肉が一つもなく、しなやかで美しい獣のようだ。
それなのに胸は豊かで、赤く色づいた二つの熟れた果実が男を誘っている。
くびれた腰が物欲しげにかすかに揺れ、膝を曲げ、大きく開かされた足の間には月明りを跳ね返す甘い滴りがある。
これを前によく半年耐えたものだとヒースは自分自身に感心した。
夜中に侵入し、乙女を襲ったのだから、その体を完璧に自分の虜にしておかなければ、ふられることだってあり得たのだ。心が陥落するほどに満足させることが出来なければ、変態行為をただ軽蔑されて終わることになる。
それ故、顔も知らない男にシンシアが心底惚れてくれるように心を尽くして行為にあたってきた。
熱く火照った大きな手で、ヒースはシンシアの足元から肩にかけてゆっくりと撫で上げた。
その刺激だけでも、シンシアは激しく体を揺らし、欲しい欲しいと胸を逸らして訴える。
「お仕置きは一度では済まないな。最初だけ聞いてやろう。どうやって犯されたい?」
布越しに、興奮しているシンシアの荒い息遣いが聞こえてくる。
「ああ……んっ……。そんな……恥ずかしいこと……言えません。そんな……どんな顔をしてあなたの顔を見ればいいのかわからなくなる……」
「そうか……残念だ」
焦らすように、ヒースは裸のまま体を重ね、やんわりとシンシアの体を撫で続ける。
分厚い男の体を肌に感じ、その息遣いまで迫っているのに、強い刺激がなかなか訪れないことに、シンシアはついに耐えかねて甘い声で鳴きだした。
「お、お願いです……んっ……そんな、優しい感じではなくて……その……んんっ……あっ……ひ、ひどい……」
ヒースは体全体を上下に動かし、今度は体でシンシアの全身を撫で始めた。
柔らかな乳房が潰され、尖った乳房の先が、ヒースのごわついた胸毛や乳首と擦れ、シンシアはあまりのもどかしさに、悲鳴に近い喘ぎ声を発し始めた。
「どうして欲しいのか、早く白状したらどうだ?」
「うう……あ、あ……後ろから犯してください!」
恥ずかしさに真っ赤になりながらも叫んだその瞬間、ヒースがシンシアの顔を隠していたネグリジェを一気に首まで引き下げた。
顔を隠していた布地が消えていることに気づき、シンシアの目から大粒の涙が溢れ出る。
羞恥に泣くシンシアの顔をじっくりと正面から観察し、ヒースは優しく微笑んだ。
「君は……最高だ」
熱く唇を重ね、激しく舌を絡めて貪ると、ヒースはシンシアの望み通りその体を乱暴にひっくり返した。
恥ずかしさにすすり泣いていたシンシアは、もう小さな嬌声をあげている。
濡れた場所を指で少しこじ開け、ヒースは熱い肉の先端を押し付けた。
シンシアがお尻を突き出し、それを飲み込もうと腰を揺らす。
次の瞬間、ヒースは容赦なくそれを一番奥まで押し込んだ。
鈍い衝撃と、痺れるような快感が全身を走り抜け、脳髄を焼いてシンシアを絶頂の境地に追いやった。
「ああ……」
力を失い落ちていくシンシアのお尻を引き上げ、ヒースは後ろからシンシアの乳房を嬲り、その顔を横に向けると激しく唇を奪った。
「シンシア、外に出る時は必ず部下を数名連れて行け。いいな?一人はだめだ」
腰を押し出しながらヒースが熱く囁く。
シンシアは強すぎる快感に脳を焼かれながら、かすかに頷いた。
「わ、わかりました……あ、あ……」
蕩けきった声がだらしなく開いた口からこぼれ出る。
その男の嗜虐心をそそる屈服しきった妻の顔に魅せられ、ヒースはその動きをさらに加速させた。
その脳内には、あまりにも大きな心配事があった。
もし野盗に捕まることがあれば、シンシアは喜んでその体を差し出してしまうかもしれない。肉体の快楽に負け、戻って来なくなってくることだってあり得る。
この女はそうした肉欲にあまりにも弱すぎる。
なにせ窓から入ってきた正体不明の男に喜んで身を任せたぐらいなのだから。
「シンシア……良いか、お前は俺だけのものだ。他の男に身を任せるなよ」
「ひ、ひどい。そんなこと……しません」
確かに貞操観念ぐらいはあるのだとヒースも知っている。
正体不明の男に恋をして、不誠実なことにならないように貴族との婚約を破棄しようと正直にその男の事を明かしたのだから。
「それでも心配だ」
ヒースは繰り返し、容赦なくシンシアを責め嬲った。
シンシアは恍惚の表情でそれを貪欲に受けとめ、気を失う寸前に、愛らしい一言を残した。
「私には、あなただけです……だから……お願い。私を……捨てないで!」
我慢できず、ヒースはシンシアの中で種を爆発させ、蕩けきったシンシアの顔を引き寄せ唇を貪った。
「お前のような可愛い女を、捨てるわけがないだろう」
熱く囁かれたその言葉は、もうシンシアの耳に届いていなかった。
シンシアは完全に力を失い、ぐったりとシーツの上にうつ伏せに倒れている。
ヒースはその体を優しく仰向けにし、掛け布を引き上げた。
月明りに浮かぶシンシアの顔は、まだ赤く火照っており、淫らな呼吸を続けている。
まるで陸に打ち上げられた魚のように時折体を震わせ、気の毒なほど赤くなった乳房の先で布をぴんと押し上げている。
そんな姿を見せられ、ヒースの熱が再び大きく膨らみ始める。
とても一度では足りないというのに、シンシアは満たされたような幸福な顔で寝息を立て始めてしまっていた。
ちらりと掛け布をめくり、豊かな胸と締まった腰からその下の暗がりまで覗き、ヒースは飢えた獣のように涎をすすった。
こんな美味しそうな体を前にまたお預けをくらったのだ。
「全く、調教されているのは俺の方ではないのか?」
ヒースは鎮まる様子もない飢えて大きく膨らんだ逸物を立たせたまま、全く困った女だと優しく呟いた。
シンシアの嫁ぎ先からの援助で、豊かな暮らしを手に入れた両親と長年の使用人であるバーナとギルは、まさに家族のようにテラスに置かれた丸テーブルを囲み、ゆっくりお茶を飲んでいた。
新しく雇われた使用人もいたが、テーブルの真ん中に、甘いお茶菓子の皿を運んできたのは、久しぶりに帰ってきた娘のシンシアだった。
「シンシア、あなたも椅子に座ったら?帰って来てから働きっぱなしじゃないの」
「いろいろ点検しておきたいのよ」
「あら、今までの家なんて、表玄関の鍵だって壊れていたのに、心配なんてしなかったわ」
クレアが言うと、夫のバーンは渋い顔で、「それは聞いていないぞ」と不機嫌な顔になった。
家の主として、さすがに耳に入れておいて欲しい話だった。
シンシアは椅子を引き寄せ、バーナとギルの間に座った。
「今までの家は、見るからに金目のものが無さそうだったじゃない。でも今度は違うから、しっかり戸締りが出来ないと困るでしょう?番犬も用意しなきゃ」
「お嬢様、私達はもう十分ですから、そんなにお金をかけないでください。受け継ぐ人だっていないんですから」
「私がいるじゃない。孫が遊びに来るかもしれないし」
ドレス姿なのに、どこか勇ましい娘をまじまじと見て、クレアは心配そうに問いかけた。
「それで、幸せなの?その……つまり、もうその……」
他に好きな人がいると告白された直後の結婚であったため、母親のクレアは心配していたのだ。さすがに母親にその問題がどうやって解決したのか、シンシアも説明出来なかった。
「そ、それがその。私の誤解だったの。恥ずかしいわ。ほほほほ……」
好きになった人がヒースだったとはとても言えない。
なぜそれがわからなかったのかと聞かれたら、真夜中に忍び込んできた、名前も顔も知らない男に恋したことを話さなければならなくなる。
娘が夜な夜な怪しい男と淫らな行為をしていたなんて知ったら、両親は心臓麻痺で死んでしまうかもしれない。
お菓子のお皿を置いて座ったシンシアの代わりに、バーナが立ち上がった。
「お嬢様、今日はお泊りですか?」
お茶を入れてシンシアの前に置き、お菓子の取り皿に勝手にカップケーキを盛り付けてフォークまで添えて出す。
まるで小さい子の世話を焼くようなバーナの姿に、シンシアは困ったように微笑んだ。
この四人の傍にいると、小さな子供に戻ってしまった気分になる。
しかし決して子供ではない。
赤ん坊のころから傍にいてくれるこの四人にも言えない秘密が山ほどある。
甘いお菓子をフォークで刺して口に運びながら、シンシアは淫らなことなど考えたこともないような顔をして、心配そうな両親に「何の問題もないよ」と微笑んで見せた。
実家に泊まったその夜、シンシアは寝台に横たわり、耳を澄ませていた。
真夜中になり、期待していた通り、かたりと窓辺で音がした。
新しい寝室は裏庭に面しており、張り出した窓の下には歩きやすそうな屋根まである。
シンシアは目を閉じたまま、窓が開く音に耳を傾け、うっすらと微笑んだ。
昔の窓より開閉はスムーズで、すぐに床に降り立つ靴音がした。
流れ込んできた夜風が少しだけ肌に触れ、窓が閉まる音と共に風が止む。
靴音が近づき、ぎしりと寝台が鳴り、マットが沈み込む。
大きな体が、無言でシンシアの上にのしかかり、その胸を乱暴にもみあげた。
「んっ……」
微笑みをたたえ、シンシアはうっとりとした声を漏らした。
「目を開けて確かめるぐらいはしろ。入ってきたのが俺じゃなかったらどうするつもりだ」
耳元で聞こえた夫の声に、シンシアは残念そうに薄眼を開けた。
月明りに愛する夫の顔が浮かび上がる。物騒な目を光らせ、少し不機嫌そうにシンシアを睨んでいる。
「ちゃんと気配も足音も確かめました。それにあなたの香りも……間違いようがありません。あの……せっかく窓から入ってきたのだから……」
「なるほど、遊びたかったのか?」
ヒースはシンシアのネグリジェの裾を掴むと、それをじわじわと顔の方までひきあげていく。
「俺としては……顔を見ていたいが……」
シンシアは無言で首を横に振った。
その熱を孕んだ濡れた瞳が、懇願するようにヒースを見上げる。
獣のように襲い掛かりたくなる強い衝動を抑え込み、ヒースはネグリジェを首のあたりまでまくり、布地でシンシアの顔を隠した。
それから両手を頭上にあげて縛り付ける。
それだけでシンシアは甘いうめき声をあげ、物欲しげに腰を揺らしてしまう。
そのか弱い素振りが、どれだけ男の飢えた獣の本性を刺激することになるのか、シンシアはわかっていない。
布越しに、ヒースはシンシアの唇を激しく奪った。
肌さえすける薄い布地は互いの唇の形を完璧にとらえている。
「いつもながら見事な体だな。しかしもっと太った方がいいな。男はやわらかい体も好きだ。胸は完璧だ。大きくて弾力があるし、俺の物を挟めば甘く吸い付いてくる。
不思議なことに、乳首はいつもとがっている。何もしなくても、ちょっと触れるだけで舐めて欲しいと主張してくる。嘘つきなお前の本心を探るにはここを見るのが一番早い。それから」
ヒースはシンシアの片足を引き上げ、素早く下着を抜き取った。
濡れた秘芯を指でいやらしく嬲る。
「ここは俺が触れる前から濡れている」
「は、恥ずかしいので、やめてください!」
羞恥に身をよじるシンシアのか弱い抵抗ぶりに、ヒースはまた低く笑い布越しの口づけをすると、露出している首に口づけの場所を移した。
そのまま体中に口づけの雨を降らせながら、ヒースは低く囁き続ける。
「俺の留守の間に何か変わったことはなかったかと、部下達に聞いたが……。お前が一人で領地の見回りに出てしまって困っていると聞いた。
野盗の首を十も馬にぶら下げて戻って来て、胴体は重くて置いてきたといったそうだな。
部下達がそれを探しに行き、雪の中で穴を掘って埋めたと聞いた。
それから、灰色狼の毛皮を引きずって戻ってきたこともあったとか……。
部下を使えと教えなかったかな?」
乳房にしゃぶりつき、ヒースはシンシアの両足を左右に持ち上げ、膝を曲げさせた。
腰を強く押しつけながら、自分はまだズボンも脱いでいない。
「んっ……ひ、ひどいです……」
焦らされているシンシアは布越しに動く影をみながら、懇願するように声をあげた。
「しかも今回の遠征は実に順調だった。お前と手合わせした兵士達はずいぶん腕を上げたようだ。俺の兵士達は女に打ち負かされることに慣れていない。生意気な女は罰せられるべきだ。そう考える男も多いと知っているか?」
「し、知っています!だから、早く……ば、ば、罰してください!」
全く白々しい演技だとヒースはくつくつと笑い、やっと自身のズボンのベルトを外し始めた。全裸になると、改めて月明りに浮かぶシンシアをじっくりと見下ろす。
ネグリジェを首まで、まくりあげられているため、顔は完全に隠れている。
その布地は、頭上に置かれた縛られた両手が押さえている。
首から下の裸身は無駄な肉が一つもなく、しなやかで美しい獣のようだ。
それなのに胸は豊かで、赤く色づいた二つの熟れた果実が男を誘っている。
くびれた腰が物欲しげにかすかに揺れ、膝を曲げ、大きく開かされた足の間には月明りを跳ね返す甘い滴りがある。
これを前によく半年耐えたものだとヒースは自分自身に感心した。
夜中に侵入し、乙女を襲ったのだから、その体を完璧に自分の虜にしておかなければ、ふられることだってあり得たのだ。心が陥落するほどに満足させることが出来なければ、変態行為をただ軽蔑されて終わることになる。
それ故、顔も知らない男にシンシアが心底惚れてくれるように心を尽くして行為にあたってきた。
熱く火照った大きな手で、ヒースはシンシアの足元から肩にかけてゆっくりと撫で上げた。
その刺激だけでも、シンシアは激しく体を揺らし、欲しい欲しいと胸を逸らして訴える。
「お仕置きは一度では済まないな。最初だけ聞いてやろう。どうやって犯されたい?」
布越しに、興奮しているシンシアの荒い息遣いが聞こえてくる。
「ああ……んっ……。そんな……恥ずかしいこと……言えません。そんな……どんな顔をしてあなたの顔を見ればいいのかわからなくなる……」
「そうか……残念だ」
焦らすように、ヒースは裸のまま体を重ね、やんわりとシンシアの体を撫で続ける。
分厚い男の体を肌に感じ、その息遣いまで迫っているのに、強い刺激がなかなか訪れないことに、シンシアはついに耐えかねて甘い声で鳴きだした。
「お、お願いです……んっ……そんな、優しい感じではなくて……その……んんっ……あっ……ひ、ひどい……」
ヒースは体全体を上下に動かし、今度は体でシンシアの全身を撫で始めた。
柔らかな乳房が潰され、尖った乳房の先が、ヒースのごわついた胸毛や乳首と擦れ、シンシアはあまりのもどかしさに、悲鳴に近い喘ぎ声を発し始めた。
「どうして欲しいのか、早く白状したらどうだ?」
「うう……あ、あ……後ろから犯してください!」
恥ずかしさに真っ赤になりながらも叫んだその瞬間、ヒースがシンシアの顔を隠していたネグリジェを一気に首まで引き下げた。
顔を隠していた布地が消えていることに気づき、シンシアの目から大粒の涙が溢れ出る。
羞恥に泣くシンシアの顔をじっくりと正面から観察し、ヒースは優しく微笑んだ。
「君は……最高だ」
熱く唇を重ね、激しく舌を絡めて貪ると、ヒースはシンシアの望み通りその体を乱暴にひっくり返した。
恥ずかしさにすすり泣いていたシンシアは、もう小さな嬌声をあげている。
濡れた場所を指で少しこじ開け、ヒースは熱い肉の先端を押し付けた。
シンシアがお尻を突き出し、それを飲み込もうと腰を揺らす。
次の瞬間、ヒースは容赦なくそれを一番奥まで押し込んだ。
鈍い衝撃と、痺れるような快感が全身を走り抜け、脳髄を焼いてシンシアを絶頂の境地に追いやった。
「ああ……」
力を失い落ちていくシンシアのお尻を引き上げ、ヒースは後ろからシンシアの乳房を嬲り、その顔を横に向けると激しく唇を奪った。
「シンシア、外に出る時は必ず部下を数名連れて行け。いいな?一人はだめだ」
腰を押し出しながらヒースが熱く囁く。
シンシアは強すぎる快感に脳を焼かれながら、かすかに頷いた。
「わ、わかりました……あ、あ……」
蕩けきった声がだらしなく開いた口からこぼれ出る。
その男の嗜虐心をそそる屈服しきった妻の顔に魅せられ、ヒースはその動きをさらに加速させた。
その脳内には、あまりにも大きな心配事があった。
もし野盗に捕まることがあれば、シンシアは喜んでその体を差し出してしまうかもしれない。肉体の快楽に負け、戻って来なくなってくることだってあり得る。
この女はそうした肉欲にあまりにも弱すぎる。
なにせ窓から入ってきた正体不明の男に喜んで身を任せたぐらいなのだから。
「シンシア……良いか、お前は俺だけのものだ。他の男に身を任せるなよ」
「ひ、ひどい。そんなこと……しません」
確かに貞操観念ぐらいはあるのだとヒースも知っている。
正体不明の男に恋をして、不誠実なことにならないように貴族との婚約を破棄しようと正直にその男の事を明かしたのだから。
「それでも心配だ」
ヒースは繰り返し、容赦なくシンシアを責め嬲った。
シンシアは恍惚の表情でそれを貪欲に受けとめ、気を失う寸前に、愛らしい一言を残した。
「私には、あなただけです……だから……お願い。私を……捨てないで!」
我慢できず、ヒースはシンシアの中で種を爆発させ、蕩けきったシンシアの顔を引き寄せ唇を貪った。
「お前のような可愛い女を、捨てるわけがないだろう」
熱く囁かれたその言葉は、もうシンシアの耳に届いていなかった。
シンシアは完全に力を失い、ぐったりとシーツの上にうつ伏せに倒れている。
ヒースはその体を優しく仰向けにし、掛け布を引き上げた。
月明りに浮かぶシンシアの顔は、まだ赤く火照っており、淫らな呼吸を続けている。
まるで陸に打ち上げられた魚のように時折体を震わせ、気の毒なほど赤くなった乳房の先で布をぴんと押し上げている。
そんな姿を見せられ、ヒースの熱が再び大きく膨らみ始める。
とても一度では足りないというのに、シンシアは満たされたような幸福な顔で寝息を立て始めてしまっていた。
ちらりと掛け布をめくり、豊かな胸と締まった腰からその下の暗がりまで覗き、ヒースは飢えた獣のように涎をすすった。
こんな美味しそうな体を前にまたお預けをくらったのだ。
「全く、調教されているのは俺の方ではないのか?」
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貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。
夫の隣に私は相応しくないのだと…。
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