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第三章 二人の秘密
37.古の者
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平和な時代が続く中、森の塔では奇妙な夜がまだ続いていた。
ローゼはジェイスの意地悪に少しだけ慣れてきたが、それでも体が入れ替わる奇妙な感覚や、体を奪われ押し付けられる強い快感を苦手とした。
ジェイスはローゼを抱きながら限界まで我慢して、その魂を入れ替える。
男の体に慣れていないローゼは堪えきれずに果ててしまい、それを何度も繰り返していると、ローゼだけが疲れ果ててしまう。
女の体に戻ると、さらにジェイスがローゼの体の中で堪えていた快感が襲ってきて、ジェイスの一突きでローゼはさらに果ててしまう。
疲れ切ったローゼをそのまま抱き続けるのがジェイスのお気に入りで、眠りに落ちたローゼと朝まで体を重ねていることが何度もあった。
ジェイスは喘ぎ声をあげて乱れる男の体を見ても、なんとも思わないのだろうかとローゼは不思議に思ったが、ジェイスの目にはもう魂の形しか見えていなかった。
体を入れ替えても、喘いでいるのはローゼで、未知の感覚に悶え、怯えている姿は古の時の彼方に置いてきたセレナに見えることもあった。
前世の記憶を取り戻したジェイスは漆黒の髪の魔法使いに魂と命を預け、少しずつ人間らしさを失っていた。
ジェイスはそれをローゼに知られないように気を付けた。
ある朝、ジェイスは静かに目を覚ました。
体の一部がその呼び出しを察知し、ジェイスの体を動かした。
腕の中に抱いているローゼをそっとおろし、立ち上がると一階の奥に向かう。
壁に突然扉が現れ、手をかけるとぽっかりと黒い穴が現れる。
ジェイスは躊躇うことなくそこに足を踏み入れた。
朝靄の立ち込める広場の中央にジェイスの体が運ばれている。
正面には巨木がそびえ、広間の周辺には墓石が並ぶ。
墓地の一角に球体の光が浮かんでいる。
中にはガラスの棺とその棺に覆いかぶさる老人の姿がある。
無力な人間が大きな呪いを解いた記念の瞬間だ。
巨木の根元に取り付けられている扉が開き、漆黒の髪の魔法使いが現れる。
「来たか」
ジェイスは膝をつく。
「目障りなものをまた一人始末して欲しい」
無作為に増やした魔法使いの整理を始めた古の存在は、ジェイスの前に標的となる魔法使いの姿を映し出す。
最果ての地にそびえ立つ黒い塔の先端にその男がいる。
「数百年を生きている古老の虫だ。他者から魔力を奪い、力を増している。私の気に入っている場所を壊されるのは不快だ。失敗は許されない」
ジェイスは頷く。黒いローブに身を包み、差し出された黒い液体を飲み干すと、ジェイスの体はまた人から遠ざかる。むき出しの魂を奪われたら永遠の地獄に囚われる。
古の魔法使いの手の上に光の玉が現れる。
眠るローゼの姿が見える。
「こっちは連れていかなくていいのか?育てるなら早い方がいい」
「俺一人で大丈夫だ」
ジェイスの手には闇に染まる剣が握られている。魂を砕く漆黒の剣は人ならざる者が持つ。
新たな扉を開き、消えていくジェイスを見送り、古の魔法使いは手に入れた宝石をうっとりと眺めた。
と、強い風が吹き込んだ。
墓地の霧を払い、数百年ぶりの古の存在が現れる。
「久しぶりではないか」
互いを知りながらもその存在についてはよくわかっていない。
「良い宝石を見つけたと聞いたぞ」
「わざわざ見に来たのか?」
漆黒の髪の魔法使いの後ろを発光する不思議な存在が追いかける。
光につつまれるガラスの棺と老人の映像の前で足を止める。
「ほぉ……あの呪い、壊れたのか……」
「磨いてみたらこの輝きだ」
漆黒の魔法使いの手の上には輝く球体があり、そこには眠るローゼの姿が映っている。
二人には美しい魂の輝きが見える。
「長い年月を叩かれ、磨かれた輝きだな。時に晒すと劣化して消滅するだろう。どうやって輝きを保っている?」
「色あせない方法を見つけたのだ。生まれ変わらせ、愛を傍に置くことだ。惹かれ合う魂は永遠に求めあい、互いを呼ぶように光り続ける」
突然景色が変わった。
そこは棚の並ぶ板張りの書斎だった。
中央に椅子が置かれ、床には書物が山積みになっている。
古の存在が棚の一つに近づく。
様々な色合いを持つ輝く宝石が並べられている。
「全てが、私に忠実な宝石たちだ。私の駒でもある。気に入った箱庭に置いて、そこで息づく様子を眺めて楽しむこともできる」
その棚の端に黒い瘴気が渦巻く不気味な石が置かれている。
「こうした汚れを払うためにも宝石は有効だ」
「ほお……」
光の存在がその石に手を触れる。混沌とした悪意の中に小さな光が見える。
「あれが、お前の宝石か?」
「そうだ、良い戦いぶりだろう?俺の手足となり埃を払っている。どうしても時間が経つと箱庭の中は淀みがちになるからな。良い箱庭掃除人だ。この世界のことはこの世界の者に任せるのが一番だ。あれは私には逆らえない」
漆黒の魔法使いは手の中の光球に視線を戻す。
白い塔で眠る女が毛布の中で体をもぞもぞと動かし、甘い声をあげている。
「発情期ではないのか?」
「そう管理しているのだ。美しいだろう?今度お前の星の宝石も見に行くかな」
同じ魂収集家の二人はまた数百年後に会おうと、別れの挨拶を交わす。
書斎に一人となり、漆黒の魔法使いは棚に並ぶ宝石を眺め、混沌の闇を覗き込む。
燃えるような目をした男が漆黒の剣を掲げ、死闘を繰り広げている。
その魂の片割れは漆黒の魔法使いの手の中にある。
愛する魂を守るため、古の魔法使いの駒となることを選んだ男の魂もまた美しく輝く。
湯気の立つカップが宙に現れ、男はそれを手にして優雅な仕草で椅子に座る。
手を伸ばし、積まれた書物の中から気紛れに一冊引き抜くと、古の魔法使いは足元に視線を向けた。
『師匠?』
幼い少女の姿が蘇る。
良く読書を邪魔されたことを思い出す。
やはり実際に見に行こうと、古の魔法使いは立ちあがった。
窓から朝の陽ざしが降り注ぎ、毛布がほのかに温かくなると、ローゼは目を覚まし、顔を赤くして中を覗き込んだ。
隠微な香りがふわりと漂い、ぱっと毛布を取り除く。
手が腿のあいだに挟まれ、指が濡れている。
無意識のことだったが、ローゼは周りを見回し、ジェイスがもういないことに安堵した。
毎夜、疲れ果てるまでジェイスに抱いてもらっているのになぜこんなに欲求不満のような真似をしてしまうのか、ローゼにはわからない。
魔の森の魔力の作用だろうかと考え、テーブルに積まれた書物を一冊抜き出した。
魔素材について書かれた本で、幸運の実についても書かれている。
媚薬の材料についてかかれたページを開き、その素材を調べ始める。
突然、窓から強い風が吹き込んだ。
読みかけのページが指からすり抜けた。
窓を閉めようと顔をあげたローゼの表情が固まる。
窓辺に一人の男が立っている。
漆黒の髪とマント、それから白いズボンに黒いシャツ。不思議な色合いのペンダントをぶら下げている。
前世の記憶を失っているローゼには、最果ての魔法使いとしかわからない。
不安そうなローゼの姿を眺め、古の魔法使いは顔を近づけた。
「楽しいことをしていたようだね。肉体があるということがどういうことなのか、時々考えるんだ。
重くて自由に動けず、時にも囚われる。とても不自由で面倒なことのように見えるが、時々うらやましくもなる。体を得てもいいが、この身軽な身も捨てがたくてね。
それに、そうしたことはこうして見にくればいいものだしね」
ローゼは自分が裸であることに気づき、服を探そうとしたが、その体は動かなかった。
まるで、ペットの体をかわいがるように、男はローゼの首から胸にかけて指を滑らせ、そのふくらみを手で包んだ。
「酷く、奇妙だ」
毎夜、ジェイスがしているように、その胸の感触を確かめる。
男の手の上にぽたりと水滴が落ちた。体を動かせないローゼの両目から次から次に涙がこぼれ落ちる。
「なるほど……。触れられたくないなら、一人でしてご覧」
男の指が離れると、ローゼの体がふいに動くようになった。
両腕で肩を抱き、魔法使いを見上げると、ローゼは羞恥に震えながら股間に指を押し当てた。
気持のよくなる場所はわかっているが、恐怖と恥ずかしさが勝り、何も感じられない。
「彼は私の駒としてよく働いている。君も頑張らないと、また引き離してしまうよ」
ジェイスと引き離される恐怖に、ローゼは涙を浮かべた。
不意に木々の葉がざわめく音がして、強い風が吹き込んだ。
震えるローゼの前に黒いローブの男が現れた。
その逞しい背中に、ローゼはほっとしたように力を抜いた。
ローゼはジェイスの意地悪に少しだけ慣れてきたが、それでも体が入れ替わる奇妙な感覚や、体を奪われ押し付けられる強い快感を苦手とした。
ジェイスはローゼを抱きながら限界まで我慢して、その魂を入れ替える。
男の体に慣れていないローゼは堪えきれずに果ててしまい、それを何度も繰り返していると、ローゼだけが疲れ果ててしまう。
女の体に戻ると、さらにジェイスがローゼの体の中で堪えていた快感が襲ってきて、ジェイスの一突きでローゼはさらに果ててしまう。
疲れ切ったローゼをそのまま抱き続けるのがジェイスのお気に入りで、眠りに落ちたローゼと朝まで体を重ねていることが何度もあった。
ジェイスは喘ぎ声をあげて乱れる男の体を見ても、なんとも思わないのだろうかとローゼは不思議に思ったが、ジェイスの目にはもう魂の形しか見えていなかった。
体を入れ替えても、喘いでいるのはローゼで、未知の感覚に悶え、怯えている姿は古の時の彼方に置いてきたセレナに見えることもあった。
前世の記憶を取り戻したジェイスは漆黒の髪の魔法使いに魂と命を預け、少しずつ人間らしさを失っていた。
ジェイスはそれをローゼに知られないように気を付けた。
ある朝、ジェイスは静かに目を覚ました。
体の一部がその呼び出しを察知し、ジェイスの体を動かした。
腕の中に抱いているローゼをそっとおろし、立ち上がると一階の奥に向かう。
壁に突然扉が現れ、手をかけるとぽっかりと黒い穴が現れる。
ジェイスは躊躇うことなくそこに足を踏み入れた。
朝靄の立ち込める広場の中央にジェイスの体が運ばれている。
正面には巨木がそびえ、広間の周辺には墓石が並ぶ。
墓地の一角に球体の光が浮かんでいる。
中にはガラスの棺とその棺に覆いかぶさる老人の姿がある。
無力な人間が大きな呪いを解いた記念の瞬間だ。
巨木の根元に取り付けられている扉が開き、漆黒の髪の魔法使いが現れる。
「来たか」
ジェイスは膝をつく。
「目障りなものをまた一人始末して欲しい」
無作為に増やした魔法使いの整理を始めた古の存在は、ジェイスの前に標的となる魔法使いの姿を映し出す。
最果ての地にそびえ立つ黒い塔の先端にその男がいる。
「数百年を生きている古老の虫だ。他者から魔力を奪い、力を増している。私の気に入っている場所を壊されるのは不快だ。失敗は許されない」
ジェイスは頷く。黒いローブに身を包み、差し出された黒い液体を飲み干すと、ジェイスの体はまた人から遠ざかる。むき出しの魂を奪われたら永遠の地獄に囚われる。
古の魔法使いの手の上に光の玉が現れる。
眠るローゼの姿が見える。
「こっちは連れていかなくていいのか?育てるなら早い方がいい」
「俺一人で大丈夫だ」
ジェイスの手には闇に染まる剣が握られている。魂を砕く漆黒の剣は人ならざる者が持つ。
新たな扉を開き、消えていくジェイスを見送り、古の魔法使いは手に入れた宝石をうっとりと眺めた。
と、強い風が吹き込んだ。
墓地の霧を払い、数百年ぶりの古の存在が現れる。
「久しぶりではないか」
互いを知りながらもその存在についてはよくわかっていない。
「良い宝石を見つけたと聞いたぞ」
「わざわざ見に来たのか?」
漆黒の髪の魔法使いの後ろを発光する不思議な存在が追いかける。
光につつまれるガラスの棺と老人の映像の前で足を止める。
「ほぉ……あの呪い、壊れたのか……」
「磨いてみたらこの輝きだ」
漆黒の魔法使いの手の上には輝く球体があり、そこには眠るローゼの姿が映っている。
二人には美しい魂の輝きが見える。
「長い年月を叩かれ、磨かれた輝きだな。時に晒すと劣化して消滅するだろう。どうやって輝きを保っている?」
「色あせない方法を見つけたのだ。生まれ変わらせ、愛を傍に置くことだ。惹かれ合う魂は永遠に求めあい、互いを呼ぶように光り続ける」
突然景色が変わった。
そこは棚の並ぶ板張りの書斎だった。
中央に椅子が置かれ、床には書物が山積みになっている。
古の存在が棚の一つに近づく。
様々な色合いを持つ輝く宝石が並べられている。
「全てが、私に忠実な宝石たちだ。私の駒でもある。気に入った箱庭に置いて、そこで息づく様子を眺めて楽しむこともできる」
その棚の端に黒い瘴気が渦巻く不気味な石が置かれている。
「こうした汚れを払うためにも宝石は有効だ」
「ほお……」
光の存在がその石に手を触れる。混沌とした悪意の中に小さな光が見える。
「あれが、お前の宝石か?」
「そうだ、良い戦いぶりだろう?俺の手足となり埃を払っている。どうしても時間が経つと箱庭の中は淀みがちになるからな。良い箱庭掃除人だ。この世界のことはこの世界の者に任せるのが一番だ。あれは私には逆らえない」
漆黒の魔法使いは手の中の光球に視線を戻す。
白い塔で眠る女が毛布の中で体をもぞもぞと動かし、甘い声をあげている。
「発情期ではないのか?」
「そう管理しているのだ。美しいだろう?今度お前の星の宝石も見に行くかな」
同じ魂収集家の二人はまた数百年後に会おうと、別れの挨拶を交わす。
書斎に一人となり、漆黒の魔法使いは棚に並ぶ宝石を眺め、混沌の闇を覗き込む。
燃えるような目をした男が漆黒の剣を掲げ、死闘を繰り広げている。
その魂の片割れは漆黒の魔法使いの手の中にある。
愛する魂を守るため、古の魔法使いの駒となることを選んだ男の魂もまた美しく輝く。
湯気の立つカップが宙に現れ、男はそれを手にして優雅な仕草で椅子に座る。
手を伸ばし、積まれた書物の中から気紛れに一冊引き抜くと、古の魔法使いは足元に視線を向けた。
『師匠?』
幼い少女の姿が蘇る。
良く読書を邪魔されたことを思い出す。
やはり実際に見に行こうと、古の魔法使いは立ちあがった。
窓から朝の陽ざしが降り注ぎ、毛布がほのかに温かくなると、ローゼは目を覚まし、顔を赤くして中を覗き込んだ。
隠微な香りがふわりと漂い、ぱっと毛布を取り除く。
手が腿のあいだに挟まれ、指が濡れている。
無意識のことだったが、ローゼは周りを見回し、ジェイスがもういないことに安堵した。
毎夜、疲れ果てるまでジェイスに抱いてもらっているのになぜこんなに欲求不満のような真似をしてしまうのか、ローゼにはわからない。
魔の森の魔力の作用だろうかと考え、テーブルに積まれた書物を一冊抜き出した。
魔素材について書かれた本で、幸運の実についても書かれている。
媚薬の材料についてかかれたページを開き、その素材を調べ始める。
突然、窓から強い風が吹き込んだ。
読みかけのページが指からすり抜けた。
窓を閉めようと顔をあげたローゼの表情が固まる。
窓辺に一人の男が立っている。
漆黒の髪とマント、それから白いズボンに黒いシャツ。不思議な色合いのペンダントをぶら下げている。
前世の記憶を失っているローゼには、最果ての魔法使いとしかわからない。
不安そうなローゼの姿を眺め、古の魔法使いは顔を近づけた。
「楽しいことをしていたようだね。肉体があるということがどういうことなのか、時々考えるんだ。
重くて自由に動けず、時にも囚われる。とても不自由で面倒なことのように見えるが、時々うらやましくもなる。体を得てもいいが、この身軽な身も捨てがたくてね。
それに、そうしたことはこうして見にくればいいものだしね」
ローゼは自分が裸であることに気づき、服を探そうとしたが、その体は動かなかった。
まるで、ペットの体をかわいがるように、男はローゼの首から胸にかけて指を滑らせ、そのふくらみを手で包んだ。
「酷く、奇妙だ」
毎夜、ジェイスがしているように、その胸の感触を確かめる。
男の手の上にぽたりと水滴が落ちた。体を動かせないローゼの両目から次から次に涙がこぼれ落ちる。
「なるほど……。触れられたくないなら、一人でしてご覧」
男の指が離れると、ローゼの体がふいに動くようになった。
両腕で肩を抱き、魔法使いを見上げると、ローゼは羞恥に震えながら股間に指を押し当てた。
気持のよくなる場所はわかっているが、恐怖と恥ずかしさが勝り、何も感じられない。
「彼は私の駒としてよく働いている。君も頑張らないと、また引き離してしまうよ」
ジェイスと引き離される恐怖に、ローゼは涙を浮かべた。
不意に木々の葉がざわめく音がして、強い風が吹き込んだ。
震えるローゼの前に黒いローブの男が現れた。
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