転職バッタのバッタバタ

麻梛 諒

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ミリタリーキャンプ

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私が一番最初に就職をしたのは、かれこれ
数十年前の事になってしまった。


以前は終身雇用制度や年功序列が当たり前だったけれど、外資系企業も増え、転職する事も普通の事になって来たように感じる。


良い事なのか悪い事なのかは、その人の
考え次第だし、キャリアチェンジと見るか、堪え性が無いと見るかも周りの人達の
考え方次第。

最近では転職エージェントがたくさん
CMをやっているから選びたい放題の
ように見えるけれど中身は似たり寄ったり。
担当者がいかに仕事を見つけようとしてくれているかにかかっている。

かくいう私の最初の就職は、ほんの
短い期間で終わってしまったのだった。




学校からの紹介で、良い会社だ、
良い会社だと散々言われて入社したのは
下町にある美容の専門商社だった。


今はどうなったのか分からないけれど
入社研修は泊まりの合宿だったように
記憶している。清里だったかな…。


当時の人事部長は自衛隊出身で
会社の研修なのに、行進の練習やら
回れ右とか何回もやらされた。

夜は夜で社歌?と社訓を暗記させられる。
暗記した社歌と社訓を言えたら
その日の研修は終わり、部屋に帰って
寝られる。


私はといえば、頑張って覚えましたよ。
もうすっかり忘れたけれど…(笑)
よく頑張ったな当時の私!!!


研修の一環として野外で大きな声を出し

“うぉおおー、俺たちはプロだー!”

と叫ぶと言うのもあった。



恥ずかしい事の克服の為にビジネスマンの
研修なんかで駅で大声出したりするのと
同じ目的だったのだろうと今では
理解できるが当時は頭に❓マークが
たくさんだった。


また、研修に参加した男の子の1人に
田舎から出てきたばかりの色白で線が
細い子がいた。まさに草食男子!

名前は忘れたけど、引っ込み思案で
声がとっても小さかった。

普段から声が小さい人が急に声が大きく
なる事もなく…


あいにくと、その子は人事部長に
目をつけられてしまい、部長は
その子の側について、集中的にシゴいた。

私や同期の子からすると、イジメにしか
見えなかったので、とても可哀想だった。


でも彼は、この大声で叫ぶというのが
どうしても出来なくて、ずっと
泣きそうにしていた。


そして、とうとう部長からの
プレッシャーに耐えられず、
倒れてしまい、両側から同期の子に
支えられて部屋に帰ってしまった。


研修が終わって出社すると、彼は
退職届けを出していた。
私は配属が人事だったので、いち早く
それを知ってしまい、残念に感じた。



彼は同期の脱落者第一号となってしまった
からである。


私の配属された人事と総務は受付業務も
交代で担っていたので、たまに一階の
受付にいたのだけれど、入り口に
創業者(会長)の像が展示されていた。


茶色なよくある首から上の銅像ね。


この会長というのが既に故人で、
研修ではなぜか、帰りにこの会長の
墓参りまでさせられたのを記憶している。 


新人研修で創業者の墓参りって…
今ならパワハラじゃないのかな?


それはさておき、受付にいるとたまに
会長夫人が出社してくる。
その像の前で座り込み墓参りのように
像に向かって拝む。

ほぼ毎日だったらしく、個人的に
何の害もないとは言え、ヤバいなと
感じ、転職を決意する事になった。






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