天の求婚

紅林

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本編

反乱分子

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 太平天帝国の首都機能の殆どが集中し、大天族が住まう宮殿からもほど近い場所である江流波の万代区まんだいく八元田やげんでん町。そこに行政委員会の本部が多く設置されている超高層ビルがあるのだが、そこに今招かれざる客が押しかけていた

「勝手にゲートを通るんじゃない!待ちなさい!」 

 ビルの入口には入館証がなければ通れないゲートがあるのだがそこを顔を布で覆い隠した怪しげな数十人の集団が無理矢理通り抜けていたのだ。それを見て呆気に取られていた警備員はすぐさま止めに入るがスタンガンのようなもので直ぐに気絶させられてしまった

「悪く思うな」

 そう言った怪しげな男はジャケットの胸ポケットから銃を取りだしてビルの入口にあるガラスのオブジェを打ち壊した

「全員動くな!余計な真似をすれば命は無い!」

 一般人が銃を持つことが禁止されている帝国においてその脅しは効果抜群だった。その後はエレベーターに乗るまで誰も彼らを止めることは無く、彼らはエレベーターに乗り込み32階に向かった。
 エレベーターを下りると彼らはオフィスの中を奥へ進み、委員長室と書いてある部屋のドアを勢いよくあけた

「っ!?なんだね君は!ノックもなしに!」

 執務机に腰かけてパソコンに目を通していた初老の男はいきなり入ってきた見覚えのない集団に驚いて声を荒らげた。

坂東ばんどう華族委員長だな?」
「なんだね君は!顔を布で覆い隠していきなり集団で入ってくるとは失礼ではないか!集団ストライキか?」
「よく喋る男だ」

 男は坂東と呼ばれた男に銃を突きつけた

「貴様には帝国にいる全ての華族に対して緊急事態における非常召集宣言を発令してもらう。今すぐ帝都全域の華族どもを集めろ」
「な、何のつもりだ!ここは華族委員会本部だぞ、そんな物を持ち込めば……」

 ─────バンッ

「……次は頭を貫くぞ。これは頼み事では無い。命令だ」

 男が放った銃弾は坂東のすぐ横を通り過ぎて壁に命中した

「ままま待ってくれ!いくら委員会の命令でも華族の腰は重い!華族に対する緊急事態宣言は余程のことじゃないと発令できんのだ!」
「ここは華族の統括と管理をするために設置された部署だろう?なぜ出来ない?」
「華族委員会の実質的な役割りは各家門の同士のいざこざの仲介や行き過ぎた越権行為の取り締まりだ!緊急招集なんてとんでもない!」

「……チッ、やはりあの方の言った通りだ」
「そんなこといいから早く情報を聞きだしなさいよ」

 男は何やら仲間に確認をしてから坂東に近づた

「一度しか言わないからすぐに答えるんだ。いいな?」
「……分かった」
「華族委員会は宮殿内にも部署を置いているな?」
「……だ、第三モノレールのシャーナリア駅前の第四庁舎の五階にある」
「つまり委員長殿は宮殿に顔パスで入れるということだな?」
「顔パスで入れる者は華族委員会にはいない。官公庁車に乗っていれば簡易的な荷物検査のみで入ることが出来る」
「今本部に車は何台ある?」
「……外にいる灰色のスーツを着た男に聞けばわかる」

 坂東の回答に男は仲間にスーツの男を連れてくるように指示した

「連れてきました」

 無理矢理連れてこられた男は先に襲われている坂東を見ていた為か彼よりかはおちついているようだ

「この委員会の車は今ここに何台ある?」
「移動用のセダン型が二台。輸送用のミニバンが五台あります」
「ならそれを……」
「しかしそれを使うことは不可能です」
「……なぜだ?」
「警備システムによってビルが閉鎖された為です。国家を守るためであれば、職員ごと建物に閉じ込めるという最終手段が先程実行されました。……貴方たちはすぐに捕らえられる」

 スーツの男は妙に落ち着いた声でそう言った

「はっ、関係ない。我々の目的は別にある。そしてその目的は先程貴様らと話している途中に部下が終わらせた」
「あのお方には伝えてあります」

 後ろに控えていた女が男にそう伝える

「はははっ、これで全てが変わる。何百年と続くこの不浄が浄化される日は近い。貴様らも見ているがいい朝廷の犬どもよ」

 男は自分の頭に拳銃を向けた。それに習ったかのように後ろに控えていた仲間や委員長室の外にいる者たちまで銃を頭に突き出した

「目的を半分しか果たせず、先に逝く我らをお許しください狼蘭王よ」

 男は目を閉じて深呼吸をした。

「大天族と純血華族に深き鉄槌を!我らが狼蘭の民に栄光を!」

 そうして華族委員会に侵入した謎の一味は目的は果たしたと言わんばかりに全員が自決したのだった
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