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本編
懺悔
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「私たちは一体どこから道を踏み外したのだろうか」
一族の矜恃を踏みにじられた時?
祖国が滅ぼされた時?
自らの誇りを捨てた時?
「……いいえ、取り戻すのよ。私たちは祖国も、誇りも、矜恃も、文化も、何もかもは既に遠い過去に失った」
女は壁に立てかけられた肖像画に問いかけた
「曾祖父様、私たちは貴方様の築き上げた平和の礎を壊します。どうか、ご容赦ください。必ずや私たちは敵を打ち砕き、この負の連鎖を断ち切ってみせます。不浄の浄化は数年前から着々と準備を進め、今日完遂する予定です。我らが繁栄する未来はすぐそこまで迫っております」
女は肖像画に向けて祈るように手をにぎりしめた
「どうか私たちの未来と、貴方様の愛する祖国と民のために、お力をお貸しください。偉大なる狼蘭王よ……」
太平天帝国は侵略と略奪の歴史から今の国際的地位を確立したため、帝政エルバとも呼ばれ恐れられている国家だ。帝国の前身たる天之大安国に滅ぼされた国は八カ国存在するのだ。
「失った誇りを取り戻すときがきたのです」
女はもう一度力ずよく手を握り肖像画へと祈りを捧げた
「……」
その様子を後ろで見守っていた小さな少年は目に涙を浮かべていた
(今日で終わるんだ。幸せな、僕の生活が。ぜんぶ、ぜんぶ!)
少年は祈りを捧げる女の背中を悲しそうにただただ見つめ続けるのだった
一族の矜恃を踏みにじられた時?
祖国が滅ぼされた時?
自らの誇りを捨てた時?
「……いいえ、取り戻すのよ。私たちは祖国も、誇りも、矜恃も、文化も、何もかもは既に遠い過去に失った」
女は壁に立てかけられた肖像画に問いかけた
「曾祖父様、私たちは貴方様の築き上げた平和の礎を壊します。どうか、ご容赦ください。必ずや私たちは敵を打ち砕き、この負の連鎖を断ち切ってみせます。不浄の浄化は数年前から着々と準備を進め、今日完遂する予定です。我らが繁栄する未来はすぐそこまで迫っております」
女は肖像画に向けて祈るように手をにぎりしめた
「どうか私たちの未来と、貴方様の愛する祖国と民のために、お力をお貸しください。偉大なる狼蘭王よ……」
太平天帝国は侵略と略奪の歴史から今の国際的地位を確立したため、帝政エルバとも呼ばれ恐れられている国家だ。帝国の前身たる天之大安国に滅ぼされた国は八カ国存在するのだ。
「失った誇りを取り戻すときがきたのです」
女はもう一度力ずよく手を握り肖像画へと祈りを捧げた
「……」
その様子を後ろで見守っていた小さな少年は目に涙を浮かべていた
(今日で終わるんだ。幸せな、僕の生活が。ぜんぶ、ぜんぶ!)
少年は祈りを捧げる女の背中を悲しそうにただただ見つめ続けるのだった
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