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番外編
番外編:レオナルドという存在(4)
しおりを挟む当初の予定を二ヶ月も遅れて、私は帰国した。
二ヶ月も遅れるとはどういうことだ。半年で帰国するつもりだったのに。
調査が思うようにいかなかったのも敗因だが、敵が予想より狡猾だったのは今でも失敗したなと思っている。
それにしても、久しぶりに会ったキャサリンは、本当に綺麗だった。
アマンダの定期連絡も、彼女に内密につけている護衛からの報告も逐一確認していたのに。一年会わないだけでこんなにも彼女が光り輝くなんて、誰が想像できるだろうか。
私が選んだドレスを着て、私の手を握る彼女に私がどれほどの気持ちでいたかなんてキミには到底理解できないだろうね。
ユハン湖で渡したペンダントは何度も何度も返却するという手紙を送ってきたキミのことだからつけてくれないかと思っていたけど、ちゃんとつけてくれて。
やはり似合う。
このペンダントが似合うのはキミだけだ。例えそのペンダントが歴代の王妃に与えられていた歴史ある宝石だとしても、キミの前ではただの石だ。
ドレスよりもペンダントよりも、キャサリンは輝いている。
いつだって私はキミに恋をするんだ。
彼女の学生服は、それはそれはとても可愛らしくて、この制服をデザインしたデザイナーやパタンナーを褒め称えたいと思った。
キャサリンの暗めのプラチナブロンドにとてもよく似合っていて、どことなく禁欲的な雰囲気を感じさせるのが、また良いというか……
この時、初めて自分の性癖に気づいた気がして思わず蓋をした。一生口から出すことはない。思うのは自由として。
そして以前からマークしていた人物、マリアンネ・ブラウンが留学してくるとは聞いていたけれど、まさか入学式当日に倒れるとはね。
これはこれで運が良い。
彼女から検出した量は依存症を通り越して廃人の域に達していた。よくこんな風になっても平常でいられるなと思ったが、今思うと彼女はずっと正常ではなかったのだろう。
眠る彼女の血を抜き取り、そのまま部下に任せればよかったものの、保険医に彼女を任せたのが過ちだった。
目を覚ました彼女に私が助けてくれたのだと保険医が教えたのが、彼女の執着の始まりだったように思う。
その後の彼女のしつこさといったら、本当に辟易する。こんなに負の感情を抱いた事などなかった。
何度彼女の位置にキャサリンがいたらと想像したか。
あーあ、自分でも本当に残念だったんだ。学生生活なんて残り少ないものだし、キャサリンと無条件で会えるのも学園だけなのだから。
まあ私利私欲に満ちた私に神が試練を与えているのだと思えばやれなくもない。
にしても、中身のない人間の会話というのは実に面白くない。こうも無意味な会話ばかりを続けられると頭が沸騰しそうになる。時間の無駄。苦行以外の何ものでもない。
マリアンネ・ブラウンが気に入りそうな男を他に用意しておくべきだった。どうやら彼女はちやほやされたいらしい。少し褒めてくれそうな男性がいればそれで満足するかもしれないな。それこそダヌアにでも押し付けようか。彼も王族だし、きっと気にいるだろう。……まあ現実的ではないが。
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