プログレッシブコンキー※番外編

朝。

朝の静寂が部屋を包み込んでいた。窓から差し込む柔らかな朝日を浴び、眠りから覚めたレンヤートが、眼を開けて周りを見回すと、ベッドの中に都姫《ミヤビ》の姿がないことに気づいた。
レンヤートは、しばらく動かずにその場に座る。彼が、もう帰ってしまったのではないかと不安になる。
しかしどこかにいるのではないかと期待もしていた。

レンヤートは、ベッドから起き上がり、キッチンへ向かった。朝の光がキッチンをやさしく照らし、そこには都姫が一つ一つ丁寧に用意してくれたであろう朝食がならんでいた。
白くふっくらと炊き上がったご飯が、木の器に盛られて蒸気を立て、焼き立ての鮭は香ばしい匂いを漂わせ、色とりどりのお漬物が彩りを添えている。温かな味噌汁の薫りが、空間を包み込む。

辺りを見回すと都姫がキッチンで、コーヒー豆を引いている最中だった。
レンヤートは、そっと都姫の背中に近づき、温かな抱擁で包み込んだ。背後から都姫に触れるたびに、レンヤートの指先は肌に触れ、その優しい触れ方はまるで宝物を壊さないように大切に扱うかのようだった。

「おはよう、都姫」とレンヤートは静かにささやくと、彼の肩口に額を寄せて愛情を込めた。レンヤートの声は穏やかで、空間に静寂を保ちながらも彼らの間に温かな絆を築いている。

レンヤートは時折、都姫の首筋に触れるだけのキスをする。その一瞬一瞬が、時間を忘れるほどの穏やかで美しい瞬間だった。彼らは語らずとも、その触れ合いで言葉を超えた会話を交わしているようだった。

都姫は微笑みながら彼の手を取り、ダイニングの椅子に案内した。
「おはよう、レン。今日も甘えたさんだね。朝食、冷めないうちに一緒に食べよう」と都姫は優しく誘う。
彼らはテーブルにつき、朝の食事をゆっくりと楽しむのだった。