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赤く染まる北の大地
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アメリカ合衆国大統領ルーズベルトにとって、この日を迎えられたことはまさに神の恵みにほかならなかった。
東京湾で行われた日本の降伏文書調印。ラジオを通じて全世界に流された時には歓喜のあまり涙を流さずにはいられなかった。欲を言えば故郷の名を冠した戦艦“ニューヨーク”でと思うが、最新鋭の戦艦とはすべてに劣ってしまう。
――真珠湾で散っていった兵士よ。これで許してくれるかね……。
いくら戦争に勝利したからといって、自らの罪を棚上げすることはできない。日本の襲撃を確実に予期しながらそれをあえて無視したことで、多くの兵士が死亡した。
しかし、その犠牲により国家国民が一体となり、この戦いを勝利で終わらせられた。さらにはソ連との良好な関係も構築でき、戦後は米英ソが世界を統治できることは間違いない。彼らの犠牲分以上の成果を得られたことは確信できるだろう。
「今日は本当に気分の良い日だ。……っ!!」
ルーズベルトは突如胸を押さえ、苦しむ。座っていた椅子から倒れるように床へ落ち、その音ですぐに誰かが部屋に入ってきたことを最後に、彼の人生は幕を閉じることとなった。
降伏調印式の翌日は本来、国民へ勝利宣言が行われる予定だった。しかし、彼の死去により突然予定が変更となり、結局国民に告げられたのはトルーマン副大統領の大統領就任のみだった。
そのトルーマンの初仕事は、留萌に上陸したソ連軍を撤退させるための外交だった。
8月末にマッカーサーから北海道への連合軍部隊の派兵が提案されていたにもかかわらず、まるで裏交渉があったかのようにルーズベルトは一切許可することはなかった。
そして、ミズーリ上で降伏文書が調印された9月2日、ソ連軍が北海道留萌に上陸したのである。
調印式にはソ連からも代表者が参加したにもかかわらず、何ら連絡なしに上陸したのである。そして、アメリカ側からソ連側へ抗議はなされなかった。
既に降伏の準備を行っていた北海道の日本軍は一切反撃することなく、ソ連軍を無血上陸させた。時期が時期だけに、多くの国民は占領軍が来たのだと考えたが、ソ連による全くの独自行為だと知ったのは後の事で、後の祭りだった。
虐殺と強姦と拉致と、非道の限りが行われた留萌事件。本章はここから始まる。
東京湾で行われた日本の降伏文書調印。ラジオを通じて全世界に流された時には歓喜のあまり涙を流さずにはいられなかった。欲を言えば故郷の名を冠した戦艦“ニューヨーク”でと思うが、最新鋭の戦艦とはすべてに劣ってしまう。
――真珠湾で散っていった兵士よ。これで許してくれるかね……。
いくら戦争に勝利したからといって、自らの罪を棚上げすることはできない。日本の襲撃を確実に予期しながらそれをあえて無視したことで、多くの兵士が死亡した。
しかし、その犠牲により国家国民が一体となり、この戦いを勝利で終わらせられた。さらにはソ連との良好な関係も構築でき、戦後は米英ソが世界を統治できることは間違いない。彼らの犠牲分以上の成果を得られたことは確信できるだろう。
「今日は本当に気分の良い日だ。……っ!!」
ルーズベルトは突如胸を押さえ、苦しむ。座っていた椅子から倒れるように床へ落ち、その音ですぐに誰かが部屋に入ってきたことを最後に、彼の人生は幕を閉じることとなった。
降伏調印式の翌日は本来、国民へ勝利宣言が行われる予定だった。しかし、彼の死去により突然予定が変更となり、結局国民に告げられたのはトルーマン副大統領の大統領就任のみだった。
そのトルーマンの初仕事は、留萌に上陸したソ連軍を撤退させるための外交だった。
8月末にマッカーサーから北海道への連合軍部隊の派兵が提案されていたにもかかわらず、まるで裏交渉があったかのようにルーズベルトは一切許可することはなかった。
そして、ミズーリ上で降伏文書が調印された9月2日、ソ連軍が北海道留萌に上陸したのである。
調印式にはソ連からも代表者が参加したにもかかわらず、何ら連絡なしに上陸したのである。そして、アメリカ側からソ連側へ抗議はなされなかった。
既に降伏の準備を行っていた北海道の日本軍は一切反撃することなく、ソ連軍を無血上陸させた。時期が時期だけに、多くの国民は占領軍が来たのだと考えたが、ソ連による全くの独自行為だと知ったのは後の事で、後の祭りだった。
虐殺と強姦と拉致と、非道の限りが行われた留萌事件。本章はここから始まる。
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