久遠の海へ 再び陽が昇るとき

koto

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民主主義の崩壊

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 日本国民が朝鮮半島において戦争が開始されたことを知ったのは、開戦から数時間が経過した後の事だった。
 だが、戦争以上に国民に恐怖を与えたのは、米軍による運動者たちの拘束や、デモ行進の強制解散だった。
 
 5年前まで禁止されていた組合運動が、戦後の民主化の一つとして許可され、国民は自由に組合運動をすることが出来るようになった。それが急に拘束されたのだから、戦前戦中の支配体制を思い出すのは当然のことだ。それは、GHQもまた頭を悩ますことでもあった。
 戦勝国たる連合国陣営は悪の帝国を滅ぼした正義の味方であり、日本に民主化をもたらす“知識人”であると自負していた。だからこそ、極めて民主的な労働者の運動を禁止するのは、とどのつまり帝国と同じ行為をすることを意味していたのだ。
 
 ホワイトハウスでは今次戦争への対応を巡り、結論の出ない会議を永遠に繰り広げていた。
「日米両政府が組合を強制解散させるとなると、今よりもさらに大きなデモが生じることは間違いありません。また、先日より北北海道でソ連軍が大規模演習を行っており、日本の民主化を守ることを大義名分に侵攻を開始する可能性もあります。道内の我が軍は準戦時体制で待機しております」
 GHQからの報告をもとに、国防長官が日本の現状を伝える。
 陸空海全軍省よりも上位の組織である国防総省。そのトップである国防長官は、同時に日本とドイツの占領管理にも口を出せる立場にある。
「日本における民主主義を止めさせることは許されない。国防長官はすぐさまGHQによる圧政を停止すべきだ。」
 その発言を聞くや否や、即座に口を挟んだのは国務長官のマイク・レッドだ。
 アメリカにおいて、各国では外務省と呼ばれる組織が国務省である。その長官であるレッドは日本の民主化を強力に、断固として進めると宣言しており、戦後の日本の民主化に大いに貢献した者でもあった。
「軍部がデモを押さえつけるなど以ての外だぞ!これまでの民主化政策を破滅させるきか!そもそも、なぜ軍人が日本の占領政策に口を出すのか。日本に武力支配は不要だ!」
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