17 / 24
赤い極東
3-6
しおりを挟む
7月の中盤に入っても、建国以来最大規模のゼネストは続けられていた。
一方、朝鮮半島の戦局は日に日に悪化を続けている。
まず、国連軍は戦局においてほとんど意味を成さなかった。
ソ連による軍事支援を受けた重武装の歩兵師団や機甲師団は、いともたやすく戦線を突破し、国連軍を大いに傷つけた。
国連軍に参加したのは大部分が欧米の白人の国だった。極東の半島でどうして自国民が死ななければならないのか、なぜ第2次大戦が終結しても平和が訪れないのか。彼らの祖国では朝鮮戦争への参戦がどのような価値を持つのか理解できてはなかった。ただ、国連での立場から参戦したに過ぎないのだ。
参戦国の中にはイギリスやフランスと言った戦後復興が求められる国も、多数存在していた。限りある人的資源がこの地でさらに失われたのだ。士気の低下は免れない。
一方の北朝鮮軍は朝鮮半島の統一という理念を掲げ、侵攻を続けていた。ソ連からの支援のほか、非公式ながら中国共産党からも義勇軍が派遣されており、少なくとも人員数では大きく勝っていた。
そして、何より彼らの士気は異常なまでに高い。この戦争で功績を残せば将来の自分やその家族が飢えに苦しむ必要が無くなるからだ。一生に一度の機会が訪れたのだから、それを活かすほかない。
そう考え、多くの北朝鮮軍兵士は並々ならぬ速度で侵攻を続けていたのだ。
問題は韓国軍だった。
彼らにとっても半島の統一は是が非でも成し遂げたい悲願に他ならない。しかし、開戦前の段階で韓国政府内は派閥争いに明け暮れていた。それは、朝鮮半島の北側がソ連率いる共産圏により独裁体制が整えられたこととは正反対だ。
半島の南側は、アメリカをはじめとした民主主義的な西側諸国に支配されていた。その為、独裁体制は認められない。
だからこそ、韓国国内に一様の政府が樹立した後も、その派閥争いは終わることが無い。開戦後も足を引っ張り合い、国家が無くなるか否かの段階にもなって、まだ1つにまとまっていなかった。それは、国家存亡の危機の段階でさえ同じだった。もっとも、その状態は極めて民主主義的なのかもしれないが……。
このような事情から、敗退を続けた連合軍はもはや劣勢を覆せることが不可能なまで追い込まれることとなった。
そして、第1次極東危機の原因とも言える、韓国の亡命政府樹立が山口県で行われたのだ。
8月初日から始められた朝鮮戦争の最終局面、いわゆる釜山橋頭堡の戦いは、わずか2週間で終結した。
一方、朝鮮半島の戦局は日に日に悪化を続けている。
まず、国連軍は戦局においてほとんど意味を成さなかった。
ソ連による軍事支援を受けた重武装の歩兵師団や機甲師団は、いともたやすく戦線を突破し、国連軍を大いに傷つけた。
国連軍に参加したのは大部分が欧米の白人の国だった。極東の半島でどうして自国民が死ななければならないのか、なぜ第2次大戦が終結しても平和が訪れないのか。彼らの祖国では朝鮮戦争への参戦がどのような価値を持つのか理解できてはなかった。ただ、国連での立場から参戦したに過ぎないのだ。
参戦国の中にはイギリスやフランスと言った戦後復興が求められる国も、多数存在していた。限りある人的資源がこの地でさらに失われたのだ。士気の低下は免れない。
一方の北朝鮮軍は朝鮮半島の統一という理念を掲げ、侵攻を続けていた。ソ連からの支援のほか、非公式ながら中国共産党からも義勇軍が派遣されており、少なくとも人員数では大きく勝っていた。
そして、何より彼らの士気は異常なまでに高い。この戦争で功績を残せば将来の自分やその家族が飢えに苦しむ必要が無くなるからだ。一生に一度の機会が訪れたのだから、それを活かすほかない。
そう考え、多くの北朝鮮軍兵士は並々ならぬ速度で侵攻を続けていたのだ。
問題は韓国軍だった。
彼らにとっても半島の統一は是が非でも成し遂げたい悲願に他ならない。しかし、開戦前の段階で韓国政府内は派閥争いに明け暮れていた。それは、朝鮮半島の北側がソ連率いる共産圏により独裁体制が整えられたこととは正反対だ。
半島の南側は、アメリカをはじめとした民主主義的な西側諸国に支配されていた。その為、独裁体制は認められない。
だからこそ、韓国国内に一様の政府が樹立した後も、その派閥争いは終わることが無い。開戦後も足を引っ張り合い、国家が無くなるか否かの段階にもなって、まだ1つにまとまっていなかった。それは、国家存亡の危機の段階でさえ同じだった。もっとも、その状態は極めて民主主義的なのかもしれないが……。
このような事情から、敗退を続けた連合軍はもはや劣勢を覆せることが不可能なまで追い込まれることとなった。
そして、第1次極東危機の原因とも言える、韓国の亡命政府樹立が山口県で行われたのだ。
8月初日から始められた朝鮮戦争の最終局面、いわゆる釜山橋頭堡の戦いは、わずか2週間で終結した。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おめでとう。社会貢献指数が上がりました。
水井伸輔(Mizui Shinsuke)
SF
「正しく」生きれば、どこまでも優しいこの国。
17歳のシュウは、社会貢献指数を高め、平穏な未来を手に入れようとしていた。しかし、システムに疑問を抱く父のランクは最低の「D」。
国家機能維持条項が発令された夜、シュウの端末に現れたのは、父の全権利を支配するための「同意」ボタンだった。
支配か、追放か。指先ひとつで決まる、親子の、そして人間の尊厳の行方。
勇者の如く倒れよ ~ ドイツZ計画 巨大戦艦たちの宴
もろこし
歴史・時代
とある豪華客船の氷山事故をきっかけにして、第一次世界大戦前にレーダーとソナーが開発された世界のお話です。
潜水艦や航空機の脅威が激減したため、列強各国は超弩級戦艦の建造に走ります。史実では実現しなかったドイツのZ計画で生み出された巨艦たちの戦いと行く末をご覧ください。
【時代小説】 黄昏夫婦
蔵屋
歴史・時代
江戸時代、東北地方の秋田藩は貧かった。
そんな中、真面目なひとりの武士がいた。同僚からは馬鹿にされていたが真面目な男であった。俸禄は低く貧しい。娘二人と実母との4人暮らし。
秋田藩での仕事は勘定方である。
仕事が終わると真っ直ぐ帰宅する。
ただひたすら日中は城中では勘定方の仕事をまじめにして、帰宅すれば論語を読んで知識を習得する。
そんな毎日であった。彼の名前は立花清左衛門。年齢は35歳。
娘は二人いて、一人はとめ15歳。もう一人は梅、8歳。
さて|黄昏《たそがれ》は、一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯のことを言う。「|黄昏時《たそがれどき)」。 「黄昏れる《たそがれる》」という動詞形もある。
「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
今回の私の小説のテーマはこの黄昏である。
この風習は広く日本で行われている。
「おはようさんです」「これからですか」「お晩でございます。いまお帰りですか」と尋ねられれば相手も答えざるを得ず、互いに誰であるかチェックすることでヨソ者を排除する意図があったとされている。
「たそかれ」という言葉は『万葉集』に
誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」
— 『万葉集』第10巻2240番
と登場するが、これは文字通り「誰ですかあなたは」という意味である。
「平安時代には『うつほ物語』に「たそかれどき」の用例が現れ、さらに『源氏物語』に
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 夕顔の花」
— 『源氏物語』「夕顔」光源氏
と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
なおこの歌は、帖と登場人物の名「夕顔」の由来になった夕顔の歌への返歌である。
またこの言葉の比喩として、「最盛期は過ぎたが、多少は余力があり、滅亡するにはまだ早い状態」をという語句の用い方をする。
漢語「|黄昏《コウコン》」は日没後のまだ完全に暗くなっていない時刻を指す。「初昏」とも呼んでいた。十二時辰では「戌時」(午後7時から9時)に相当する。
「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる