久遠の海へ 再び陽が昇るとき

koto

文字の大きさ
21 / 24
第1次極東危機

4-1

しおりを挟む
 北朝鮮が勝利宣言を行った8月15日。韓国の領土は朝鮮軍が制海権を奪えなかったため、済州島を残すのみになった。
 しかし、韓国政府は敗戦を認めず、なおも継戦を訴えていた。もっとも、それを支援する国は無いに等しい。
 世界の多くの国は第2次大戦からの復興が最優先であり、極東の内戦にこれ以上関わりたくないのだ。

 北朝鮮の戦勝宣言の後、韓国亡命政府は日本に置かれることとなった。
 日本の実質的な支配者とも言えるGHQが日本政府に対する事前協議無しに、山口県の長門市に大規模な米軍基地を作り、その中に設置されたのだ。

 その日本では、最大規模のゼネストは徐々に収束に向かっていた。
 ゼネストが大規模となったのはもちろん国民の食糧難や経済不況に起因するが、その始まりは朝鮮戦争を優位に進めたい共産主義陣営の国々が日本共産党や社民党とその支持者にゼネストの実行を命じたからだ。
 このため、朝鮮戦争の功績者に彼ら日本共産党と党員が含まれていた。もっとも、このことが世間に明るみなったのは、数十年もの年月を経た後の事だが。

 しかし、朝鮮戦争が終戦した今もなお、日本ではゼネストが継続されている。
 ソ連をはじめとした共産主義陣営にとって、朝鮮戦争が北朝鮮の勝利に終わった以上、日本のゼネストを維持することは不要だった。
 ただし、日本共産党と社民党にとっては、このゼネストは何としても維持したい理由があった。それは、次期衆議院選挙を有意に進めたいがためだ。

 戦後から一貫して、日本の政権は三好率いる親米保守派政権である。戦後初となる選挙では、彼ら保守派が過半数の席を収める結果を残していた。
 しかし、一向に進まない復興や経済不況から脱せない現状、なおも飢えから解放されない不満から、徐々に保守派から革新派に民衆は流れている。
 労働者の不満は党の利益に他ならない。この波を逃すわけにはいかないのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

異聞対ソ世界大戦

みにみ
歴史・時代
ソ連がフランス侵攻中のナチスドイツを背後からの奇襲で滅ぼし、そのままフランスまで蹂躪する。日本は米英と組んで対ソ、対共産戦争へと突入していくことになる

本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。

高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?

俣彦
歴史・時代
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

戦国終わらず ~家康、夏の陣で討死~

川野遥
歴史・時代
長きに渡る戦国時代も大坂・夏の陣をもって終わりを告げる …はずだった。 まさかの大逆転、豊臣勢が真田の活躍もありまさかの逆襲で徳川家康と秀忠を討ち果たし、大坂の陣の勝者に。果たして彼らは新たな秩序を作ることができるのか? 敗北した徳川勢も何とか巻き返しを図ろうとするが、徳川に臣従したはずの大名達が新たな野心を抱き始める。 文治系藩主は頼りなし? 暴れん坊藩主がまさかの活躍? 参考情報一切なし、全てゼロから切り開く戦国ifストーリーが始まる。 更新は週5~6予定です。 ※ノベルアップ+とカクヨムにも掲載しています。

小日本帝国

ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。 大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく… 戦線拡大が甚だしいですが、何卒!

処理中です...