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皇太子の婚約者は暗殺者?
13.ヤッテモウタ
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ヤッテモウタ。
「姫様、本当に、本当に何処にもお怪我はないのですね!?」
「はい大丈夫です。ピンピンしています」
王宮の見学をしていたサモフォル王国のシャオヤオ姫が刺客に襲われた。
現場は騒然となり、シャオヤオは急ぎ彼女の住処である屋敷に連れ戻された。
エリム夫人をはじめ同行していた使用人達、そして屋敷に残っていて騒動を聞き付けた使用人達から延々と怪我の有無を問われ散々に心配されたが、シャオヤオは無傷であった。無傷どころか、刺客を返り討ちにしたのはシャオヤオ本人である。
心配してくれる者達には大変申し訳ないが、シャオヤオは内心とても焦っていた。
状況的に取った行動に落ち度はないと自負しているけれど、お姫様としてはどうなのか…と。
暗殺者は無駄を嫌う。暗殺者は騎士や戦士ではない。最短かつ最適な手を即座に打って目的を果たす。その染み付いた習性故に、たった一発で武器を排除して敵を無力化にし、たった一撃で敵を沈めてしまった。
もう一度言うが、対応としてはよく出来たと思っている。だが…。
こんな戦い慣れているお姫様とか、不自然でしょう!!
元々、刺客に襲われる可能性は示唆されていた。だからこその人選であると。大人しく襲われるつもりはなく、いつでも撃退する心構えはあった。
だがそれは、夜な夜な忍び込んでくるとか、シャオヤオが1人の時を狙ってとか、暗殺らしく人目を避けた襲撃の想定だった。それをあんな…あんな公衆の面前で劇場型に襲ってくる奴がいるか! と同業者として説教をかましたい気分である。
確かに縦ロール令嬢とのやり取りで隙は生まれていたし、縦ロール令嬢を上手く隠れ蓑にしていたけれど、シャオヤオ的に狙いやすい個所、狙うべきタイミングはあそこじゃない。我慢しきれずに飛び出してしまったのなら二流も良いところだ。因みに、そう言った点を熟知しあらゆる状況を想定し咄嗟の事態にも即座に対応出来て目的を果たし切ってきたからこそ、シャオヤオは“黒猫”と通り名が付くまでになったのである。
それはともかくとして、このままでは素性について怪しまれる。お姫様じゃないにしろ、平民だったとしてもこんなの怪しすぎる。
早々に逃げた方がいいかとシャオヤオが考え込んでいると、エリム夫人がお茶を淹れてくれた。
「寿命が縮む思いでしたわ。明日わたくしがポックリ逝きましたら、今日で寿命を使い切ったのだと思ってくださいまし」
「いや笑えないから…」
「ふふ、冗談ですよ。無事だったからこそ言えるのですが、姫様の勇ましいお姿に心が少女のようにときめいて、寧ろ若返ったような心持ですもの」
ホホホ、と笑うエリム夫人は大変可愛らしい。よく見ると壁際に控えているメイドの中で、現場に居合わせていた者がエリム夫人の言葉に同意するようにコクコクと頷いていた。
その反応を見て、シャオヤオは恐る恐る聞いてみる。
「えっと、自分で言うのも何だけど…さ。敵を自分で返り討ちにする姫って、変じゃない? 不自然に思わないの?」
「まぁ、そのような事を気にしておいででしたの。姫様が御幼少の頃より難民として大変苦労なさっていた事情は少しながらお聞きしております。体技を習得しなければ生きていけない事もあったでしょう。変だなんてとんでもない。今日に至るまでの姫様の努力の一端を垣間見られた事を、嬉しく思いますわ」
何処から取り出したのか、エリム夫人が手に持ったハンカチで涙を拭う。控えているメイド達も目を潤ませていたり目頭を押さえたりして……前にもこんな事があったような。デジャビュ?
「いや、でも、お姫様とかお嬢様とか言う以前に女で、その…」
「確かに一般的ではないかもしれませんが。もしや姫様は、帝国最強をご存知でない?」
「字面的に帝国で一番強い人って事?」
「さようでございます。フリーデン帝国は旧王朝の頃より近隣諸国と大小の争いが尽きず、軍備には力を入れていました。多くの若者が、殿方が剣を持っていくつもの戦場を駆け抜けたのです」
そうやって男が集まり戦果を上げていくと、自然発生のように、誰が一番強いかと言う話も上がってくる。男の集団とは得てしてそう言うモノだと、エリム夫人は苦笑する。
「帝国最強とは形ある称号ではありません。意識してその称号を目指す者もいれば、気付いたらそう呼ばれていた者も。社交界でも人気の話題となり、その時代、その時々で複数の名が挙がる事もしばしばございました」
「まぁそうなるでしょうね」
「しかし約15年前から帝国最強の称号はただ1人を指す記号となったのです。奇しくも旧王朝の名で行われた最後の戦争での事。その戦いにおいて15年経っても尚、色あせる事無く語り継がれる程のまさしく一騎当千の活躍を見せた騎士様こそがその御方でいらっしゃいます」
姫教育の一環で帝国の歴史についても勉強している。と言っても現王朝の歴史はたかだが15年程しかないので、どうしたって旧王朝の歴史、その変遷を学ぶ事の方が多くなるのだが。
旧王朝の最後の戦いは、確か、既に属国となっていたはずの国が現在の皇帝、当時の宰相によって追い落とされ恨みを抱いた貴族達と手を組んで反旗を掲げた事が始まりだったはず。その結果として旧王朝の皇帝一族の血筋が絶え、現在の新王朝が始まったのだから皮肉な話だ。
現状、フリーデン帝国において最も記録に新しい最も大きな戦いとされている。決着には数週間から数カ月を要すると誰もが思っていたが、予想に反し僅か一日で決着がついたそうだ。その理由について教師は特に触れず新王朝樹立の流れに移っていたので、シャオヤオも気に掛けていなかったが、裏に立役者とも言える人物の大活躍があったなのなら、確かに最強とも呼ばれよう。
「残念ながらその戦いで酷く負傷され引退を余儀なくされたのですが、時々洩れ聞く噂によれば強さは健在なようです」
「ふーん、エリム夫人は会った事あるの?」
「えぇ、引退前にはなりますけれど。独特の雰囲気をお持ちでしたが、素朴でとてもお優しく、可愛らしいお嬢様でしたわ。一見しただけではとてもお強いようには見えないお方です」
「へー………え?」
正直、帝国最強とやらにシャオヤオは興味を持てなかった。皇太子暗殺の障害になるのなら話は別だったが、長く最強と呼ばれながらも現在は表舞台にいないのならシャオヤオにとっては関係ない人だ。
それに今のシャオヤオにとっての関心事項は帝国最強じゃない。何故かこんな話になっているが、自分の素性について疑われていないかどうかである。だからエリム夫人の話も、申し訳ないが王宮見学のように聞き流していたのだが、そのせいでシャオヤオは一瞬聞き逃してしまった。サラリと述べた彼女の言葉を。
「おじょうさま?」
「はい。現在、帝国最強の称号を冠するただ唯一お方は女性です。それも当時は姫様とそう違わない御歳だったはず」
若い。女性である事も驚きであるが、それ以上に驚きの若さである。当時で16歳頃なら、今も三十代前半ではないか。
負傷の程は分からないが、衰えている様子がないのなら、下手すれば今が全盛期と言う事もあり得る。それなら15年も最強の座に君臨し続けているのにも納得だ。
「今でこそ皇帝陛下が実力主義を説き女性の登用も進めておられますが、フリーデン帝国は長く男性優位の国でその意識は今も根強く残っています。けれど彼女に憧れて剣を手に取った貴族子女も、多くとは言えませんが珍しくはない程度に現在はおります。ガーデンベルグ侯爵家のご息女はその最たる例ですね」
ガーデンベルグ侯爵家のご息女、と言う事はあのアズ令嬢か。
確かに彼女なら深窓の令嬢より凛々しく戦く女騎士の方が余程似合う。あの長身で剣を振るえばさぞかし絵になるだろう。どこまでカッコいいんだ、あの令嬢は。
「ですので口さがない者はおりましょうが、姫様に体技の心得があったからとて、それを不自然とまでは思いませんわ」
エリム夫人の笑顔に、シャオヤオは無意識に入れていた肩の力を抜く。疑われていないのなら何でもいい、それに越した事はない。
組んだ両手を真っ直ぐ上へ上げると、肩からゴキッと音が鳴る。ここ最近あまり身体を動かしていなかったし、お姫様生活で気を張ってもいたので少し鈍っているようだ。この状態では刺客が二流で、寧ろ助かったと言えるのかもしれない。
「改めまして、ご無事でようございました。勇ましいだけでなく、その前のご立派なお姿も拝見出来て、今日はわたくしにとって良き日でございます。心から誇らしゅうございますわ」
「日頃の教育の賜物です。エリム夫人も今日は“珍しい事”していたけど、目的は果たせたの?」
「姫様のお陰で、恙無く」
エリム夫人はニコリと笑った。
「姫様、本当に、本当に何処にもお怪我はないのですね!?」
「はい大丈夫です。ピンピンしています」
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現場は騒然となり、シャオヤオは急ぎ彼女の住処である屋敷に連れ戻された。
エリム夫人をはじめ同行していた使用人達、そして屋敷に残っていて騒動を聞き付けた使用人達から延々と怪我の有無を問われ散々に心配されたが、シャオヤオは無傷であった。無傷どころか、刺客を返り討ちにしたのはシャオヤオ本人である。
心配してくれる者達には大変申し訳ないが、シャオヤオは内心とても焦っていた。
状況的に取った行動に落ち度はないと自負しているけれど、お姫様としてはどうなのか…と。
暗殺者は無駄を嫌う。暗殺者は騎士や戦士ではない。最短かつ最適な手を即座に打って目的を果たす。その染み付いた習性故に、たった一発で武器を排除して敵を無力化にし、たった一撃で敵を沈めてしまった。
もう一度言うが、対応としてはよく出来たと思っている。だが…。
こんな戦い慣れているお姫様とか、不自然でしょう!!
元々、刺客に襲われる可能性は示唆されていた。だからこその人選であると。大人しく襲われるつもりはなく、いつでも撃退する心構えはあった。
だがそれは、夜な夜な忍び込んでくるとか、シャオヤオが1人の時を狙ってとか、暗殺らしく人目を避けた襲撃の想定だった。それをあんな…あんな公衆の面前で劇場型に襲ってくる奴がいるか! と同業者として説教をかましたい気分である。
確かに縦ロール令嬢とのやり取りで隙は生まれていたし、縦ロール令嬢を上手く隠れ蓑にしていたけれど、シャオヤオ的に狙いやすい個所、狙うべきタイミングはあそこじゃない。我慢しきれずに飛び出してしまったのなら二流も良いところだ。因みに、そう言った点を熟知しあらゆる状況を想定し咄嗟の事態にも即座に対応出来て目的を果たし切ってきたからこそ、シャオヤオは“黒猫”と通り名が付くまでになったのである。
それはともかくとして、このままでは素性について怪しまれる。お姫様じゃないにしろ、平民だったとしてもこんなの怪しすぎる。
早々に逃げた方がいいかとシャオヤオが考え込んでいると、エリム夫人がお茶を淹れてくれた。
「寿命が縮む思いでしたわ。明日わたくしがポックリ逝きましたら、今日で寿命を使い切ったのだと思ってくださいまし」
「いや笑えないから…」
「ふふ、冗談ですよ。無事だったからこそ言えるのですが、姫様の勇ましいお姿に心が少女のようにときめいて、寧ろ若返ったような心持ですもの」
ホホホ、と笑うエリム夫人は大変可愛らしい。よく見ると壁際に控えているメイドの中で、現場に居合わせていた者がエリム夫人の言葉に同意するようにコクコクと頷いていた。
その反応を見て、シャオヤオは恐る恐る聞いてみる。
「えっと、自分で言うのも何だけど…さ。敵を自分で返り討ちにする姫って、変じゃない? 不自然に思わないの?」
「まぁ、そのような事を気にしておいででしたの。姫様が御幼少の頃より難民として大変苦労なさっていた事情は少しながらお聞きしております。体技を習得しなければ生きていけない事もあったでしょう。変だなんてとんでもない。今日に至るまでの姫様の努力の一端を垣間見られた事を、嬉しく思いますわ」
何処から取り出したのか、エリム夫人が手に持ったハンカチで涙を拭う。控えているメイド達も目を潤ませていたり目頭を押さえたりして……前にもこんな事があったような。デジャビュ?
「いや、でも、お姫様とかお嬢様とか言う以前に女で、その…」
「確かに一般的ではないかもしれませんが。もしや姫様は、帝国最強をご存知でない?」
「字面的に帝国で一番強い人って事?」
「さようでございます。フリーデン帝国は旧王朝の頃より近隣諸国と大小の争いが尽きず、軍備には力を入れていました。多くの若者が、殿方が剣を持っていくつもの戦場を駆け抜けたのです」
そうやって男が集まり戦果を上げていくと、自然発生のように、誰が一番強いかと言う話も上がってくる。男の集団とは得てしてそう言うモノだと、エリム夫人は苦笑する。
「帝国最強とは形ある称号ではありません。意識してその称号を目指す者もいれば、気付いたらそう呼ばれていた者も。社交界でも人気の話題となり、その時代、その時々で複数の名が挙がる事もしばしばございました」
「まぁそうなるでしょうね」
「しかし約15年前から帝国最強の称号はただ1人を指す記号となったのです。奇しくも旧王朝の名で行われた最後の戦争での事。その戦いにおいて15年経っても尚、色あせる事無く語り継がれる程のまさしく一騎当千の活躍を見せた騎士様こそがその御方でいらっしゃいます」
姫教育の一環で帝国の歴史についても勉強している。と言っても現王朝の歴史はたかだが15年程しかないので、どうしたって旧王朝の歴史、その変遷を学ぶ事の方が多くなるのだが。
旧王朝の最後の戦いは、確か、既に属国となっていたはずの国が現在の皇帝、当時の宰相によって追い落とされ恨みを抱いた貴族達と手を組んで反旗を掲げた事が始まりだったはず。その結果として旧王朝の皇帝一族の血筋が絶え、現在の新王朝が始まったのだから皮肉な話だ。
現状、フリーデン帝国において最も記録に新しい最も大きな戦いとされている。決着には数週間から数カ月を要すると誰もが思っていたが、予想に反し僅か一日で決着がついたそうだ。その理由について教師は特に触れず新王朝樹立の流れに移っていたので、シャオヤオも気に掛けていなかったが、裏に立役者とも言える人物の大活躍があったなのなら、確かに最強とも呼ばれよう。
「残念ながらその戦いで酷く負傷され引退を余儀なくされたのですが、時々洩れ聞く噂によれば強さは健在なようです」
「ふーん、エリム夫人は会った事あるの?」
「えぇ、引退前にはなりますけれど。独特の雰囲気をお持ちでしたが、素朴でとてもお優しく、可愛らしいお嬢様でしたわ。一見しただけではとてもお強いようには見えないお方です」
「へー………え?」
正直、帝国最強とやらにシャオヤオは興味を持てなかった。皇太子暗殺の障害になるのなら話は別だったが、長く最強と呼ばれながらも現在は表舞台にいないのならシャオヤオにとっては関係ない人だ。
それに今のシャオヤオにとっての関心事項は帝国最強じゃない。何故かこんな話になっているが、自分の素性について疑われていないかどうかである。だからエリム夫人の話も、申し訳ないが王宮見学のように聞き流していたのだが、そのせいでシャオヤオは一瞬聞き逃してしまった。サラリと述べた彼女の言葉を。
「おじょうさま?」
「はい。現在、帝国最強の称号を冠するただ唯一お方は女性です。それも当時は姫様とそう違わない御歳だったはず」
若い。女性である事も驚きであるが、それ以上に驚きの若さである。当時で16歳頃なら、今も三十代前半ではないか。
負傷の程は分からないが、衰えている様子がないのなら、下手すれば今が全盛期と言う事もあり得る。それなら15年も最強の座に君臨し続けているのにも納得だ。
「今でこそ皇帝陛下が実力主義を説き女性の登用も進めておられますが、フリーデン帝国は長く男性優位の国でその意識は今も根強く残っています。けれど彼女に憧れて剣を手に取った貴族子女も、多くとは言えませんが珍しくはない程度に現在はおります。ガーデンベルグ侯爵家のご息女はその最たる例ですね」
ガーデンベルグ侯爵家のご息女、と言う事はあのアズ令嬢か。
確かに彼女なら深窓の令嬢より凛々しく戦く女騎士の方が余程似合う。あの長身で剣を振るえばさぞかし絵になるだろう。どこまでカッコいいんだ、あの令嬢は。
「ですので口さがない者はおりましょうが、姫様に体技の心得があったからとて、それを不自然とまでは思いませんわ」
エリム夫人の笑顔に、シャオヤオは無意識に入れていた肩の力を抜く。疑われていないのなら何でもいい、それに越した事はない。
組んだ両手を真っ直ぐ上へ上げると、肩からゴキッと音が鳴る。ここ最近あまり身体を動かしていなかったし、お姫様生活で気を張ってもいたので少し鈍っているようだ。この状態では刺客が二流で、寧ろ助かったと言えるのかもしれない。
「改めまして、ご無事でようございました。勇ましいだけでなく、その前のご立派なお姿も拝見出来て、今日はわたくしにとって良き日でございます。心から誇らしゅうございますわ」
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