君がいる今

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君がいる今 19話

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―みかんー
急ぎだったから、アキラは南、みなとは俺と美稀という二組に分かれて、空を飛んで聖菜のいる病院まで行った。
病院内では、ペット禁止だから外のベンチまで聖菜を連れてくるよう兄妹に伝えた。
「もう!だから仕事減らしたほうがいいって言ったじゃん!」
「ごめん、ごめん!お母さん頑張りすぎちゃった」
兄妹二人が聖菜を支えながら、病院から人気ひとけの少ないベンチまで来てくれた。
最近、生活費のために少し仕事を増やしたからな。
その疲れが出たんだろう。
「みかん、来てくれてありがとう!いつも心配かけてごめんね」
「そうだぞ!この俺様にどんだけ心配かけるつもりだ!ほんとにお前は昔から俺に心配かけてばかりで…身体は大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫!あと少しだけ様子を見て大丈夫だったら、帰っていいって!」
「ならよかった。聖菜、こいつがアキラだ」
いきなり名指しされ、これから今まで知らなかった自分の祖母の過去を語られるのかと気づき、緊張した表情に変わった。
「やっぱりあなたがアキラくんだったのね!かずよさんの孫の!!」
聖菜は、アキラを見て、すごく嬉しそうな笑みを浮かべている。
「なんで、南ちゃんのお母さんがおばあちゃんの名を?」
「だって、私かずよさんの親友みたいなものだもん!」
「え?悪魔のおばあちゃんと!?」
いきなりの親友発言は、早すぎだっただろう。
けど、正直俺自身も何から話すべきかわからない。
そのくらい、話すと長い内容だからな。
「ちょっと待って!!アキラのおばあちゃんが悪魔ってどういうこと??ねぇ、なんでみんなそこにツッコまないの?」
急に美稀が大きい声で騒ぎ出した。
「あれ?南ちゃん伝えたんじゃなかったの?」
「えーっとそれが…タイミング逃して、まだ言えてなくって…」
「そういうことか」
どうやら、この中で美稀だけがアキラの正体を知らなかったみたいだ。
てっきりここにいる全員知っていると思っていた。
美稀の気持ちを知っている聖菜は、みなとと先に帰るように伝えた。
みなとは、自分も話を聞くといったが、聖菜が「今度話すから、今は美稀ちゃんを連れて帰って」と言った。
聖菜の言葉に弱いみなとは、すぐに言うことを聞いて帰って行った。


「さぁ、本題に入るとするか…聖菜、俺らが出会った時のことから話せ」
「そうね、あれは私がまだ高校生の頃だったわ。道でまだ小さいみかんを見つけたの。みかんと一緒に遊んでいるとね、いきなりみかんを呼ぶお姉さんが現れて慌てて。」
「もしかして、そのお姉さんって」
「そう、アキラくんのおばあちゃんのかずよさんよ。元々、みかんはかずよさんが魔界で飼っていたペットだったの。」
南とアキラが二人そろって俺の方を見た。
もとからみなとのペットではないこと、かずよと俺が繋がっていたこと…
それぞれ疑問に思っただろう。
それも仕方ない。誰も話さない限り、分かるわけない過去だから。
「かずよさんは、私を見つけたその日から、人間界に遊びに来ては、イタズラばかりして、大変だったわ。でも、かずよさんが悪魔だと知って納得したの。」
「納得できたんですか!?」
「ええ、かずよさんも驚いてたわ」
「おばあちゃんも…」
アキラは、かずよと重ねられ、少し悲しい表情になった。
あの時、聖菜の呑み込みの早さには幼い俺も驚いた。
普通なら、何かされるのではないかと恐怖を感じるのに、聖菜はなにも動じず、自分の中でイタズラのつじつまが合ったのか、一人で納得していた。
逆に俺らの方が聖菜のことを怖がっていた。
「その後、みかんが話せることも教えてもらったわ。婚約相手のいさむさん、アキラくんのおじいちゃんが偉い悪魔の家柄で、厳しいことだらけで、人間界に来たら、イタズラに追加で、私とみかんに愚痴るようになった。でも、楽しかったわ~」
一人なつかしさに浸りながら、楽しそうに話している。
その様子を見て、南もアキラもぽかーんとしている。
いい歳して、一人で突っ走っていくなよな。ほんと呆れるぜ…
「で、かずよさんが結婚するときに二人は魔界に帰ってしまったのしばらくして、私たちは魔界と人間界を通じて、手紙を交換して、互いに近況報告をするようになったの」
南たちは、手紙交換ができることにも驚いた。
その反応を見て聖菜は、のんきに「二人もしてみたら?」なんて言ったが、断っている。
「もう、話が脱線するから、ここから先はこの俺様が話す!」
「え~私が話したい!」
「だめだ!」
「もうケチ!!」
俺が説得すると聖菜は、ふてくされてしまった。
子供か。
聖菜の姿に呆れながらも、俺は話の続きをした。
「数年して、聖菜が結婚したことが分かった。同年に、アキラの両親も結婚した。アキラの母親の妊娠が分かってから、かずよには、未来が想像できたんだろう。俺を危険な目に合わせないようにと一緒に新しい家族を探してくれた。」
「おばあちゃんは、そんな前から俺たち家族が危険な目に合うと気づいていたのに、あんなに優しくしてくれたのか…」
アキラが一人ボソッと呟いた。
かずよは、アキラのことが大好きだった。あの時なんとしてでも守ると必死だったくらいに。
「探して数か月が経った後、捨てられているみなとを見つけた。その頃、人間界の聖菜にも南の妊娠が分かったのだったが、色々あって旦那が家を出て行き、落ち込んでいることを知ったかずよは、聖菜のために誰の子か分からないみなとと俺様を人間界に連れて行った。」
「そんなかずよさんは、私に「この手紙を読んでいるってことは…」なんて始まり方のこの手紙を最後に送ってきたの。そこにアキラくんの名前があってね、この前みかんから「かずよの孫が来たぞ!」って聞いた時には、ほんと驚いたわ。」
ふふっと笑いながら話し、何かを思い出したようで、封筒の中からもう一つの手紙を出し
た。
かずよが、もしアキラが聖菜の近くに現れたら渡してくれと手紙に書いていた、もう一つ
の手紙だ。
聖菜と手紙を読んだ時は、本当現れるのかと不安だった。
だから、アキラの名前と正体を知ったとき、みなとの前ではなかったら、ものすごく驚い
ていたと思う。
実際、心の中ではそのくらいだったし。
「はい、これはアキラくんへの手紙!」
聖菜は、取り出した手紙をアキラに差し出した。
「俺への?」
「そうよ、だから受け取ってちょうだい!!」
アキラは、少し泣きそうな、手紙を読むのが怖そうな表情で、手紙を受け取った。
「南、今まで黙っていてごめんね南が高校生になったら話そうと思っていたけど、アキラくんが南の傍にいるって分かってから、なかなか言い出せなくて…」
「全然いいよ、気にしないで」
「ありがとう」
聖菜は、南に抱きついた。
俺も知っていたとはいえ、娘に言えなくて苦しかっただろう。
もっと俺がサポートできればよかったななんて思う。
もし、かずよが手紙に書いていた通りの運命があいつに待っているのだとしたら、これから先どうなることやら…
さっき、公園で見たあの光景…
あいつが南のことを好きになってめんどくさいことにならなければいいけどな。
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