いつか君に巡り逢える

原口源太郎

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第1章

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 海は風が強くて寒かった。太陽が雲から出たり入ったりしている天気のせいかもしれない。波の色が夏とは違って、ちょっと物悲しくて新鮮に見えた。
 大樹と勇介は子供のように砂の上でじゃれあった。僕も付き合ったけれど、あまり面白くなかった。ボーっとしていて、気が付くと駅前で見たあの子のことを考えていた。
「お前どうしたの? 進学で悩んでいるのかよ」
 帰りの電車の中で大樹が話しかけてきた。
「いや、別に。ちょっと頭が痛くて」
「そーだろうな、悩むって柄じゃないもんな」
 大樹は多くの人が乗り込む電車の中、大きな声で言った。

 僕たちの高校はトップクラスじゃないにしろ、毎年のように日本のトップ大学に何人か合格者を出している、いわゆる進学校だ。
 僕たちはそろって中より下の成績でいるけれど、三人とも進学を希望している。だから高二の今、夏や秋の休日に遊び回っている身分でもないはずなんだけれど。
 正直な話、僕は時々焦りを感じるようになった。高校に入った時からガンガン勉強している奴がいる。二年になって俄然、張り切り始めた奴もいる。
 僕は別に一流大学に行こうなんて思っているわけじゃない。それなりに勉強して、それなりのところに行ければいいと思っている。でも、出来れば少しでもいい大学に入りたい、というのが本音かな。だからといって休みの日に家に居たって、一日中参考書とにらめっこしていられないのはわかっている。
 大樹はあまり話してくれないけれど、いいところを狙っているようだ。大樹の場合、最初は大法螺を吹いているようでも、やるとなったらとことんやり抜いて、現実のものにしてしまう。努力している姿を見せるのを嫌う男だから、家では猛烈に勉強をしているのかもしれない。
 勇介は大樹とは逆だ。ほどほどに受験勉強して、ほどほどの大学に行って、やっぱりほどほどに勉強して。その代わり自分のやりたいことは目いっぱいやって、遊べるだけ遊んで。今からそんなことを言っているんだから、気楽なもんだ。親が聞いたら泣けてくるよ、きっと。勇介の親ものほほんとしてのんびりとした感じだから、あまり気にしないのかもしれない。
 大樹も勇介も目的は不純かもしれないけれど、ちゃんとしたものを持って大学へ行こうとしている。僕は何もない。学びたいことも、やりたいこともない。将来やりたいことも、就職したい会社もない。何のために大学に行こうとしているのだろう。自分でもよくわからない。ただ、高校を卒業して就職してしまうよりは、大学へ行けば、講義を受けること以外にも、多くのことを学べるような気がする。

 僕たちは駅前でハンバーガーをぱくついてから別れた。

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