いつか君に巡り逢える

原口源太郎

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第1章

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 大樹は左手で頬杖をし、空のコーヒーカップッにスプーンを突っ込んでかき混ぜる真似をしながら話している。
「そしたら、高校に合格したから告白したんだって。なんのこっちゃと思ったら、俺が中学にいるときから俺に憧れてて、俺が高校に行ってからは同じ高校に入るつもりで必死に勉強をしたって。合格したら打ち明けようって決めて、この日のために勉強したって。一途でさっぱりしてて、女と付き合うつもりなんてないなんて言い出せなくなっちまって、どうしようかと思っていたら、ごめんなさいって謝るじゃん。えっと思って見たら、もう、今にも泣き出しそうで。明るく振る舞っていたのは芝居だってわかってさ。何だか感動しちまった。おまけに可愛いだろ。それで、ま、とりあえず俺の悪友の一人に加えてやったわけ。女性第一号の悪友。今じゃ悪友以上の存在かもしれない、なんちゃって」
「焼けちゃうねー。石井にゃもったいないよ」
 勇介が独り言のように言った。
 突然、大樹はがばっと姿勢を正す。
「バカ野郎、何でこんなこと言わせるんだよ。いいか、絶対に誰にも言うなよ」
「言わないよー」
 勇介が大げさに言う。
「お前が一番心配だ」
「でもいい話、聞いたよな」
 僕はお世辞でなく、感じたありのままを言った。
「俺たちは付き合っているっていったって、たまに会って話をするくらいだ。べたべたしたきゃ、高校卒業してからでいい。こそこそ隠すつもりはないけど、内山と鈴木のこともあるし、あまり大っぴらにもしたくない」
 僕は大樹がますます好きになった。大樹は大人だ。相手のこと、自分のことを大切にしている。僕と優花は確かに何も知らないガキのように、自分たちに夢中になって浮かれているだけだった。
 二人が帰ると言うので、僕も帰ることにした。
 店を出ると僕は二人と別れた。駅前をぶらぶらしてから帰るつもりだった。
 大樹は、お前らだから話したんだ、他のヤツには絶対に言うなとしつこいほど念を押してから帰っていった。
 今日は大樹の話を聞いたおかげで足取りも少し軽くなった。暇つぶしに覚えるつもりだった英単語は、またしても一つも覚えることができなかったけど。
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