いつか君に巡り逢える

原口源太郎

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第2章

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 教室が変わった。殺風景な造りは一緒で、たいして代わり映えしていない。二階から三階の教室になって、登る階段の数が増えたくらいだ。
 僕たちは当たり前のように(あたりまえだけど)無事三年生になった。
 あまり話には出ないけれど、進学や受験の事にはみんな敏感になっている。その中で一つの話題があった。
 前々から、ちょくちょく噂になっている優花の妹のことだ。
 かなりの美人で、もう見たとか見てないとか男どもは言い合っている。僕は優花が入学した時も、そんな風に上級生たちの話のタネになっていたのだろうと思った。
 男どもに妹のことを聞かれると、優花は私よりブスよとか言いながら、冗談交じりに軽くいなしている。もちろん僕の事は言わない。
 僕は優菜と付き合うようになった。だけど二人の仲は大っぴらにしないつもりだった。大樹や勇介にはいつか言うつもりだけど、まだ隠している。大樹に言わせると、女々しいってことになるんだろう。でも、僕たちはこそこそと付き合うつもりだ。優菜のために、それが一番いいと思う。
 僕たちは、優菜の合格が決まった後、一度だけ会って近くの公園を散歩した。たわいのないことを色々と話した。優花との時と同じように、会話の8割は優菜の言葉だった。僕は優菜と二人でいるだけで嬉しかった。その顔、姿を見るだけでドキドキした。声を聞いているだけでくらくらしそうだった。
 優菜が二つ年下だとか、優花の妹だといった意識は、会った瞬間に消えてしまった。
 電話は週に二回くらいの割合で優菜がかけてきた。照れくさくて、僕からかけたことは一度もなかった。簡単なラインでのやり取りは毎日だった。

 新年度が始まって一週間が過ぎ、みんな新しい環境にも馴染んできた。
 ぽかぽかとした陽気が、春から夏にかけてを思い出させる。気の早い木々は芽吹き出し、例年より開花が遅かった桜が見事に咲き誇っている。
 まだぽかぽか陽気が残る中、僕は例によって自転車通学の大樹と勇介に引きずられるようにして校門を出た。
 僕はドキッとした。
 校門を出たすぐのところで、女の子たちが固まってぺちゃくちゃとおしゃべりをしている。その中の一人が優菜だった。
 僕は全然知らない人のように、無関心を装って優菜の前を通り過ぎた。
「おい、今の優花の妹じゃねーの?」
 しばらく歩いてから大樹が言った。
「うん、見た見た。ほんと可愛い。姉貴より可愛いんじゃないの」
 すかさず勇介が応える。二人ともちゃっかり見てたんだ。
「そんなこと優花に聞かれたら、ぶん殴られるぞ」
 僕も言ってやる。
「颯太は知ってるんじゃないの?」
 と大樹。
「え?」
 僕はまたドキッとした。優菜のことになると、僕の心はドキッとしたり、ドキドキしたり、大変だ。
「鈴木の妹なんだからさ」
「いや、初めて見た。可愛いけれど、優花とはあまり似てないんじゃない?」
 咄嗟に嘘をついてしまった。親友の大樹と勇介に。チクリと胸が痛んだ。けど、今は仕方がない。
「何だ、お前もちゃっかり見てたんじゃん。俺は似てると思うけどな」
「うん、微妙だね」
 大樹に意見に対し、勇介は肯定とも否定とも取れる言い方をした。
 僕たちの後ろで、キャッキャッと声がした。
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