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第3章
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「そういえば去年、駅前で惚れちゃった子、その後何か進展あったの?」
学校からの帰り道、突然思い出したように大樹が言った。
「え?」
僕は動揺しながら大樹を見た。
「あれだけ熱心だったのに、急に何も言わなくなっちまったからさ。もうすっかり諦めた?」
「いや」
僕は何て言おうか考えた。大樹たちには本当のことを言っておきたいけれど、この前、嘘をついてしまったばかりだし、どうしようか。
「何かあったのか?」
僕の言いよどんだ様子を見て大樹が尋ねた。勇介は用事があると言って先に帰った。
「捜していた子が誰かはわかった」
「へえ。それで?」
なかなかシャキシャキと話さない僕を大樹が催促する。
「その後色々あって、今はまだ詳しいことは話せない」
「彼氏でもいたのか」
「いや、そうじゃないけれど。実は話したいことは沢山あるんだ。だけど、そのうち」
「うん。まあ、別に俺だってそんなに聞きたいわけじゃないけど」
「ところで、大樹のほうはどう?」
「俺たち? 何だか変なギクシャクした感じ。やっぱり沢口は何か隠しているんじゃないかと思う」
「そうか」
そうだ、この際はっきりと言ってしまえばいいんだと思った。
「実はさ、この前、沢口から相談を受けたんだ」
「沢口から相談?」
「うん。大樹が他の女の子と、とても親しげにしているって」
「俺が? まさか」
「面白いだろ? 沢口からそんな相談を受けたすぐ後で大樹からも同じような相談をされた」
「どーゆーこと?」
「それはこっちが聞きたいよ。だけどお前と沢口は勘違いをしている、というか、噂なんて全く当てにならない。大樹も沢口もお互いを一番大切に思ってる。そうじゃない?」
「うん。そうだろうな」
大樹はつぶやくように言った。
「ちょっと見せたいものがあるんだ」
そう言って大樹はカバンから白い封筒を取り出した。
あれ? どこかで見たぞ。
「沢口の下駄箱に入ってた。読んでみろよ」
大樹が封筒を差し出す。
「男と別れろ。さもないと、お前を殺す」
僕は封筒の中身を見ずに言った。
「何で知ってんだ」
驚いたように大樹が言う。
「優花のところにも同じものが来てた」
そう言いながら、僕は封筒から紙を取り出した。
やっぱり文面も文字の大きさも一緒だ。
「優花って誰かと付き合っているのか?」
「いや」
「お前ら、よりを戻したのか」
「違うよ。だからこの手紙を送りつけてきた人物は、優花に彼氏がいないことを知らなかったんじゃないかと思う」
「うーん」
大樹は唸るようにして考え込む。
「実は優花の妹にも同じものが送られてきた、というか、下駄箱に入ってた。優花は悪戯かもしれないと言ってたけど、こんな文面のものが何人もに送られていたとすると、もう冗談じゃ済まされないし、俺たちの手には負えない。先生に知らせるべきだと思う」
僕がそういうと、大樹はカバンからもう一通、同じような封筒を取り出した。
「一通目が下駄箱に入れてあった五日後にまた入ってた」
僕は大樹から封筒を受け取り、中の紙を広げた。
『手紙のことは誰にも言うな。言ったら殺す』
僕は読み終えて、ふーっと大きく息を吐き出した。
「これはもう警察沙汰だよ。犯罪じゃん」
「だけど誰にも言うなって書いてある」
「うーん」
結局、どうしたらいいのかわからないまま僕たちは別れた。
学校からの帰り道、突然思い出したように大樹が言った。
「え?」
僕は動揺しながら大樹を見た。
「あれだけ熱心だったのに、急に何も言わなくなっちまったからさ。もうすっかり諦めた?」
「いや」
僕は何て言おうか考えた。大樹たちには本当のことを言っておきたいけれど、この前、嘘をついてしまったばかりだし、どうしようか。
「何かあったのか?」
僕の言いよどんだ様子を見て大樹が尋ねた。勇介は用事があると言って先に帰った。
「捜していた子が誰かはわかった」
「へえ。それで?」
なかなかシャキシャキと話さない僕を大樹が催促する。
「その後色々あって、今はまだ詳しいことは話せない」
「彼氏でもいたのか」
「いや、そうじゃないけれど。実は話したいことは沢山あるんだ。だけど、そのうち」
「うん。まあ、別に俺だってそんなに聞きたいわけじゃないけど」
「ところで、大樹のほうはどう?」
「俺たち? 何だか変なギクシャクした感じ。やっぱり沢口は何か隠しているんじゃないかと思う」
「そうか」
そうだ、この際はっきりと言ってしまえばいいんだと思った。
「実はさ、この前、沢口から相談を受けたんだ」
「沢口から相談?」
「うん。大樹が他の女の子と、とても親しげにしているって」
「俺が? まさか」
「面白いだろ? 沢口からそんな相談を受けたすぐ後で大樹からも同じような相談をされた」
「どーゆーこと?」
「それはこっちが聞きたいよ。だけどお前と沢口は勘違いをしている、というか、噂なんて全く当てにならない。大樹も沢口もお互いを一番大切に思ってる。そうじゃない?」
「うん。そうだろうな」
大樹はつぶやくように言った。
「ちょっと見せたいものがあるんだ」
そう言って大樹はカバンから白い封筒を取り出した。
あれ? どこかで見たぞ。
「沢口の下駄箱に入ってた。読んでみろよ」
大樹が封筒を差し出す。
「男と別れろ。さもないと、お前を殺す」
僕は封筒の中身を見ずに言った。
「何で知ってんだ」
驚いたように大樹が言う。
「優花のところにも同じものが来てた」
そう言いながら、僕は封筒から紙を取り出した。
やっぱり文面も文字の大きさも一緒だ。
「優花って誰かと付き合っているのか?」
「いや」
「お前ら、よりを戻したのか」
「違うよ。だからこの手紙を送りつけてきた人物は、優花に彼氏がいないことを知らなかったんじゃないかと思う」
「うーん」
大樹は唸るようにして考え込む。
「実は優花の妹にも同じものが送られてきた、というか、下駄箱に入ってた。優花は悪戯かもしれないと言ってたけど、こんな文面のものが何人もに送られていたとすると、もう冗談じゃ済まされないし、俺たちの手には負えない。先生に知らせるべきだと思う」
僕がそういうと、大樹はカバンからもう一通、同じような封筒を取り出した。
「一通目が下駄箱に入れてあった五日後にまた入ってた」
僕は大樹から封筒を受け取り、中の紙を広げた。
『手紙のことは誰にも言うな。言ったら殺す』
僕は読み終えて、ふーっと大きく息を吐き出した。
「これはもう警察沙汰だよ。犯罪じゃん」
「だけど誰にも言うなって書いてある」
「うーん」
結局、どうしたらいいのかわからないまま僕たちは別れた。
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